なぜだろう(1)

2022-01-26 09:53:33 | 童話
『おはよう。忘れ物は無~い? 教科書とノートは全部持ったの? 宿題のプリントも持ったの?』
『おはよう。全部持ったよ。』
僕に毎朝、玄関の花瓶の花が話し掛けてくる。
『おかえり。学校は今日も楽しかった? 宿題は有るの?』
『ただいま。宿題はね、プリントが2枚だよ。』
僕は玄関の花瓶の花に話し掛ける。

僕が宿題をしていると、机が話しかけてくる。
『今日も学校で頑張ったね。』
『うん、勉強も運動会の練習も頑張ったよ。』
『宿題が終ったらどこへ行くの?』
『友達とグラウンドで野球をするんだよ。』
『ケガをしないでね。』
『うん、わかったよ。』
『宿題が終ったからグラウンドへ行ってくるからね。』
『行ってらっしゃい。』
僕は机に行ってきますを言ってグラウンドへ向った。

家に帰って手を洗っていると、水道の蛇口から声が聞こえる。
『今日も楽しかった? せっけんをよく付けてゴシゴシと洗ってね。』
『うん、わかった。』

お母さんが用意してくれていたオヤツのケーキを食べようとするとフォークが話しかけてくる。
『今日のケーキはね、高いケーキだから特別おいしいよ。』
『そうだね、いつものケーキよりおいしいね。』
『終ったら片付けてね。』
『うん、わかった。』
『これから、どこへ行くの?』
『これからお母さんとお買い物に行くんだよ。』
『何を買いに行くの?』
『スニーカーを買ってもらうんだよ。』
『カッコいいのを買ってもらうの?』
『ううん、普通のだよ。走りやすいのがいいんだ。』
『お母さんが来たよ、行ってらっしゃい。』
『うん、行ってくるからね。』


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