山の巨人(2)

2017-07-26 21:17:05 | 童話
次の日、巨人がいつものように、右の足で山の頂上にポン、今度は左の足で次の山の頂上にポン、そして、右足左足と山の頂上をポンポンポンと跳んでやって来ました。

そして、町に着くと巨人は小さくなったのですが、小さくなり過ぎて大人の手のひらに乗る大きさになったのです。
小さくなり過ぎた巨人は、町の人の足で踏みつぶされないようにして歩きました。

『さっき豆粒みたい物が走って行ったね。』
『そうだねぇ、あれは何だったのかねぇ。』
『もう来ないのかなぁ。』
そして、巨人は食堂に入ったのですが、お店の人は気がつきません。
巨人は小さくなり過ぎたのに気が付き、誰もいない所で大きくなって大人と同じ大きさになり、いつものように、町の食堂でお昼ご飯を食べて、お買い物をして、山に帰って行きました。
もちろんいつもの巨人のように大きくなって、右の足で山の頂上にポン、今度は左の足で次の山の頂上にポン、そして、右足左足と山の頂上をポンポンポンと跳んで帰ったのです。

その次の日、巨人がいつものように、右の足で山の頂上にポン、今度は左の足で次の山の頂上にポン、そして、右足左足と山の頂上をポンポンポンと跳んでやって来ました。
町に着くまで、着いたら小さくなるのを忘れないようにしていましたし、あまり小さくならないようにすることも忘れないようにしていました。
そして、いつものように町の食堂でお昼ご飯を食べて、いろいろな買い物をして帰りましたが、帰る時に山の中で暗くなってきました。その時、巨人は普通の大人の人と同じ大きさであることに気が付きました。
元どおりの巨人の大きさになるのを忘れていたのでした。
そして、巨人は、また大きくなって、山の頂上をポンポンポンと跳んで帰りました。

それから巨人は、小さくなることや、元のように大きさなることを、もう忘れ無いだろうか?
君達みんなで『もう忘れないでね。』と言ってあげようか。

『山の巨人さ~ん、忘れないでね!』

おしまい

山の巨人(1)

2017-07-25 20:03:47 | 童話
昔、ある山に巨人が住んでいました。
山の頂上に足があり、足から上は雲の上にあるので、みんなは巨人だとは分かりません。
その巨人は、山から町にやって来る時に、右の足で山の頂上にポン、今度は左の足で次の山の頂上にポン、そして、右足左足と山の頂上をポンポンポンと跳んでやって来ます。

町に着くと巨人は小さくなって普通の大人と同じ大きさになり、町の食堂でお昼ご飯を食べて、いろいろな買い物をして帰ります。
帰る時には、また大きくなって、山の頂上をポンポンポンと跳んで帰ります。

山の巨人は小さくなっても力持ちで、町にいる時にみんなの手助けをします。
お年寄りが荷物を持っている時は代わりに荷物を持ってあげ、自動車が子供にぶつかりそうになった時には自動車を止めて子供にぶつからないようにします。
だけれど、巨人は町にいる時は普通の大人と同じ大きさなので、みんなは巨人だとは分かりません。

ある日、巨人が山から町にやってきた時に小さくなるのを忘れて、巨人のままでした。
みんなは巨人の足しか見えないので、巨人だとは気がつきません。
『今、大きな足が通り過ぎていったね。』
『そうだねぇ、大きかったねぇ。』
『ドスン、ドスン、ドスンと大きい音がしていたね。』
『もう来ないのかなぁ。』

巨人は食堂に入れないので、小さくなるのを忘れていたことに気が付き、誰もいない所で小さくなりました。
そして、いつものように、町の食堂でお昼ご飯を食べて、お買い物をして、山に帰って行きました。
もちろん帰る時は、また大きくなって、右の足で山の頂上にポン、今度は左の足で次の山の頂上にポン、そして、右足左足と山の頂上をポンポンポンと跳んで帰ったのです。

真夜中のお話し仲間(3)

2017-07-24 21:37:20 | 童話
次の日、僕が自転車に乗ると、自転車は喜んで、僕とみんなで歌を歌いながら公園へ行きました。
すると、僕の友達が
『自転車がきれいでピカピカだね。』
と言ったので、
『うん、自転車に頼まれたんだよ。みんなの自転車もきれいに洗ってやると、自転車が喜ぶよ。』
と言ってあげました。

僕達が野球をしている間、みんなの自転車が
『今日、家に帰ると僕も洗ってきれいにしてくれるかなぁ?』
『きっと洗ってきれいにしてくれるよ。』
とお話しをしていました。

『バイバイ。』
『バイバ~イ、また明日。』
次の日、宿題を終らせてから公園へ行くと、友達みんなの自転車もピカピカになっていました。

僕達がみんなで野球をしている間、自転車達は、
『僕が一番きれいだよ。』
『ちがうよ、僕の方がピカピカだよ。』
と自慢しました。

おしまい

真夜中のお話し仲間(2)

2017-07-23 09:23:39 | 童話
次の日、学校から帰って来た男の子は、宿題を終らせてから、物置から自転車を出して、友達と約束をしている公園へ行った。

ペダルは頑張って漕いで、ハンドルはグラグラしないように頑張って支えて、タイヤは頑張って地面の上を転がって、ベルは危ない時に頑張って音を出して、みんなで協力して、公園へ走って行った。
そして、公園に着いて、男の子が友達と野球をしている間、みんなでワイワイガヤガヤとお話しをしていました。
今度は友達が乗って来た自転車ともお話しをしたので、にぎやかでした。
『バイバイ、また明日。』
『うん、バイバ~イ。』
そして、またペタルは頑張って漕いで、ハンドルはグラグラしないように頑張って支えて、タイヤは頑張って地面の上を転がって、ベルは危ない時に頑張って音を出して、みんなで協力して、家に帰り始めた。

『今日の野球は楽しかった?』
とハンドルが男の子に話しかけた。
『えっ、君は話せるの? うん、野球は楽しかったよ。だけれど、いつから話しができるの?』
『ずっと前から話しができるのだよ。』
『それで、物置でもお話しをしていたんだね。』
『うん、そうだよ。』
『僕も話しができるよ。』
と、ペダルもタイヤもベルも話しました。
そして、ハンドル達が
『僕達は汚れてしまったので、きれいにしてほしいなぁ。』
と、男の子にお願いをしました。
『ああ、いいよ。家に帰ったら洗ってあげるね。』

そして、家に着いて、お母さんに
『ただいま。』
と言ってから、お水で洗っていると、お母さんが
『あらっ、えらいわね。』
と言ったので、
『自転車からきれいにしてほしいと頼まれたんだよ。』
『えっ、自転車から頼まれたの? そうね、ずいぶん汚れているわね。』
僕はきれいに洗ったあと、車輪の回転する所には油をさしました。
『これでいいや、きれいに洗った。』

すると、自転車は喜んで、ハンドルをブルブルブル、ペダルをクルクルクル、タイヤをポンポンポン、ベルをリンリンリンと楽しそうにしました。そして、いつものように自転車を物置にしまってから、僕も物置で、みんなと一緒にワイワイガヤガヤと、お話しをしました。
『もうすぐご飯だから家に帰って手を洗いなさい。』
とお母さんが言ったので、僕は
『バイバイ、また明日ね。』
と言って家に帰りました。

真夜中のお話し仲間(1)

2017-07-22 10:37:35 | 童話
『バイバイ、また明日。』
『うん、バイバ~イ。』
もう帰る時間なので、公園で遊んでいた男の子が、友達と別れて自転車で家に帰ってから自転車を物置に入れて家の中に入って行った。
『外から帰ったら、セッケンでよく手を洗いなさい。』
『はぁ~い。』

しばらくして、自転車を1台入れているだけの物置で、ワイワイガヤガヤと、話し声が聞こえ始めた。
その時、男の子が、自転車のカゴに入れて忘れていたボールとグラブを取りに来た。
『あれっ、誰かいるのかなぁ?』
男の子が物置の戸を開けると、急に静かになった。
『有った、有った。』
男の子は自転車のカゴに入れて忘れていたボールとグラブを持って、物置の戸を閉めて家の中に入って行った。
すると、また物置で、ワイワイガヤガヤと、話し声が聞こえ始めた。

『今日は、僕が頑張って漕いであげたので、速く走れたんだよ。』
とペダル言うと、
『ちがうよ、僕がグラグラしないように頑張ったから速く走れたんだよ。』
とハンドルが言った。
『ちがうよ、僕が頑張って地面の上を転がってあげたから速く走れたんだよ。』
とタイヤが言った。
すると、ベルが
『危なかった時に僕が頑張って音を出したから、ぶつからないで速く走れたんだよ。』
と言った。
そして、ワイワイガヤガヤは夜通し続きました。