おじいちゃんのメガネ(3)

2017-09-25 21:37:03 | 童話
『もっと本物の自転車のようにしよう。』
僕はお母さんに爪楊枝を3本もらって、お兄ちゃんに1本を短く切ってもらった。
僕はお母さんからもらった糸で、長い2本をメガネの丸い所に結び付けた。
そして、長い2本に短い1本を糸で結び付けてハンドルにした。
『やった、ハンドルができた。』

しかし、僕の自転車は立たない。
『よしっ、自転車を立てるスタンドを作ろう。』
僕はお母さんからまた爪楊枝を3本と、結び付ける糸をもらった。
僕は3本を糸で結び付けて三角形を作り、後の車輪に糸で結び付けた。
『やった、やった、立ったよ。』

そして、お兄ちゃんに小さくなって丸くなった消しゴムを貰って、車輪と車輪との間に糸で結びつけてサドルにした。

僕はおじいちゃんに僕の作った自転車を見せると
『おぅ、すごいね。』
と言ってくれたので、お父さんやお母さんやお兄ちゃんにも見せた。
みんな
『すごい、すごい。』
と言ってくれた。

僕はこの自転車を大切にして、本当の自転車を買ってくれた後も、机の上に置いてある。
おじいちゃんはもう居なくなってしまったが、僕とおじいちゃんとの宝物の自転車は、いつまでも僕の机の上に飾っている。

      おしまい

おじいちゃんのメガネ(2)

2017-09-24 10:24:29 | 童話
今日はお兄ちゃんと一緒に歩いて行くのではなく、おじいちゃんのメガネの自転車で行くので、何も持っていかない。
やっと小川に着いた。
『やぁ、メダカやフナがいっぱいいる。メダカ君、フナ君、今日はお家に連れて行ってあげないよ、また今度ね。』
僕は小川でメダカ君とフナ君に会ったので、今日はもう帰ろう。
『メダカ君、フナ君、バイバイ。』

おじいちゃんが僕の所にきて
『新聞を読むからメガネを使うよ。』
『うん、いいよ。』
何日か後でおじいちゃんのメガネが壊れてしまった。
メガネの鼻に当たる所が1個取れてしまったのだ。
『このメガネは古いから仕方が無いなぁ、新しいのを買ってこよう。』
と言っておじいちゃんはメガネ屋さんへ行った。
そして、おじいちゃんは帰ってきて
『レンズを新しいフレームに付けたので、これをあげるよ。』
と言って僕に古いメガネをくれた。
『わぁ、ありがとう、大切にするね。』

僕はお父さんに頼んでメガネの耳に掛ける所を取り外してもらったので、二つの丸い所だけになって本当の自転車のようになった。

おじいちゃんのメガネ(1)

2017-09-23 10:45:20 | 童話
僕は自転車で公園へ行った。
坂を登る時はハアハアと大変だったが、丘の上にある公園は見晴らしが良くて気持ちがいい。
公園を3周したらかえろう。
帰りは下り坂なのでラクチンだ。

そこへ、おじいちゃんが帰って来た。
『またおじいちゃんのメガネで自転車ごっこをしているのかい? メガネのガラスは汚れるから、ガラスにさわったらダメだよ。』
『うん、ガラスじゃない所を持っているから大丈夫だよ。』

おじいちゃんは優しいので全部がダメだとは言わない。
『さっきね、自転車で丘の上の公園に行ってきたんだよ。』
『悠太君は、まだ三輪車も上手く乗れないから、自転車は来年買ってあげるね。』
『うん、まだ三輪車を押してもらっているから、自転車は来年でいいよ。』

明日、自転車で何処へ行こうか、と考えていると楽しくなる。
おじいちゃんの円いガラスのメガネ、おじいちゃんに借りた僕の自転車。
そうだ、明日は近くの小川に行こう。
少し前にお兄ちゃんと一緒に行った小川だ。
この小川は、水が僕のヒザの高さまでしかなく、ゆっくりと流れているから安全なんだとお兄ちゃんが言っていた。
その小川にはフナやメダカがたくさんいて、僕の家でも水槽に入れて育てている。

20センチの巨人(6)

2017-09-22 21:42:02 | 童話
そして、みんなが勉強をしている時には、巨人さんは箱の穴から僕達が勉強をしているところを見ていました。
体育の時間は箱から出て体育館でみんなと一緒に体操をし、給食は僕のを、わけてあげて、みんなと一緒に食べました。

そして、下校時間になったので、みんなとバイバイしました。
『巨人さん、バイバイ。』
『巨人さん、またね。』
『巨人さん、今度いつ来るの?』
『巨人さん、楽しかったね。バイバイ。』
『みんな、バイバ~イ。』
家に着いて、僕が宿題をしている時に、巨人さんは僕の宿題を見ていました。

そして、巨人さんが本の中に帰る時間になったので、また物干しさおをつたって帰って行きました。
『巨人さん、バイバイ。』
『今日はすごく楽しかったよ。バイバイ。』
『そう、良かったね。バイバ~イ。』
巨人さんは本の中の巨人なので20センチですが、僕は大きいので本の中には入れません。
だから、巨人さんが本の中から出て来た時に一緒に遊びます。

おしまい

20センチの巨人(5)

2017-09-21 21:15:37 | 童話
『ねえお母さん、この物干しさおはこのままにしていていいでしょ?』
『何に使うの?』
『巨人さんが、また僕の所に来る時に使うんだよ。』
『ええ、いいわよ。』
『巨人さん、この物干しさおはこのままにしておくから、次に来る時に使ってね。』
『ああ、ありがとうよ。』

四月になって僕は小学生になり、毎日ランドセルを背負って、黄色いぼうしをかぶって学校へ行っています。

ある日、巨人さんが
『わしも学校へ行ってみたいなあ。』
と言ったので、箱の中に入ってもらって連れて行ってあげることにして、箱に穴を開けて外が見えるようにして、
『巨人さん、学校へ行く用意ができたよ。』
と教えてあげました。
すると、巨人さんは物干しさおを伝わって上がって来ました。

『この箱の中に入るのかい?』
『そうだよ。』
そして、僕は巨人さんの入った箱を持って学校に行きました。

すると友達がみんなで
『それは何なの?』
『巨人さんなのに小さいんだね。』
『どこから来たの?』
『へえ~、いつもは本の中にいるんだ。』
『もう大きくならないの?』
『巨人さんの学校はどこに有るの?』
と言いました。