ドッコイショ(1)

2020-11-14 09:04:12 | 童話
僕のおじいちゃんはおもしろいおじいちゃんです。
座っていて立ち上がる時に
『ドッコイショ』
と言いますが、座る時も
『ドッコイショ』
と言います。

僕はおじいちゃんに
『なんでドッコイショと言うの?』と聞きましたが、
『ドッコイショは、ドッコイショだからドッコイショなんだよ。』と言いました。
だけれど、座っていて立ち上がる時に
『ヨイショ』
と言う時があります。
その時は、座る時も
『ヨイショ』
と言います。
僕はおじいちゃんに
『なんでヨイショと言うの?』と聞きましたが、
『ヨイショは、ヨイショだからヨイショなんだよ。』と言いました。
ドッコイショとヨイショはどう違うのか分かりません。

ある日、おじいちゃんが『みんなが居る場所で立ち上がる時は、みんなに「これから立ち上がるよ。」と言うためにドッコイショと言うんだよ。
だから、座る時もドッコイショなんだよ、でも、誰も居ない時は自分のためにヨイショと言うんだよ。』と教えてくれました。

『ふぅ~ん、そうなんだ。』
僕は、ドッコイショとヨイショは違うんだと分かりました。

僕はどっちかな?(3)

2020-11-13 09:37:55 | 童話
家に帰るとお母さんが
『あらっ、おかえり。』
と言ったので、僕が『ワンワン』と言うと、タロウは
『ただいま。』
と言いました。

タロウが居ない時は普通なのに、タロウが居る時は僕が犬になっているのは変だなぁと思いました。
そして、このまま、僕が犬でタロウが人間になってしまうのかなぁと思いました。

ある日、タロウの『ワンワンワン』と言う声でお昼寝から目がさめました。
タロウの方を見ると、タロウが人間の僕になっていて、『ワンワン』と言っていました。
そして、僕の姿を鏡で見ると犬のタロウになっていて、人間の言葉を話していました。

あれっ、いつの間に反対になったのかなぁ? そして、お外へ行くと、近所のおばさんが
『タロウは今日も元気ね。』と言ったので、僕は『うん、元気だよ。』と言いました。
人間になったタロウは毎日お母さんに注意されます。
『ちゃんと歯をみがきなさい。顔を洗ったら顔をブルブルッしないで、タオルで拭きなさい。お風呂ではよく洗うのよ。お野菜も食べるのよ。』

人間になったタロウが注意されなくなったある日、僕とタロウはお昼寝の夢の中で『ワンワン』、『なぁに』とお話しをしている時に目がさめました。
今度は、タロウが『ワンワン』と言って、僕が
『なぁに。』
とお話しをしました。
今は夢の中なのかどうか、僕は分かりません。

そして、僕とタロウは、また今度交代するか分かりません。分かっている事は、僕とタロウは、いつまでも仲良しだという事です。

おしまい

僕はどっちかな?(2)

2020-11-12 09:40:05 | 童話
スーパーマーケットの入口でお母さんが
『タロウはお店に入れないので、ここで待っていてね。』
と言うと、タロウは
『うん、わかった、ここで待っているね。』
と言いました。
僕は『ワン』と言ってお母さんと一緒にお店の中に入って行きました。
お母さんと僕がお店から出てくるとタロウが
『早かったね。』
と言ったので、僕も『ワンワンワン。』と言いました。
そして、お店から出てきた時に僕はお昼寝から目がさめました。

僕がタロウに『ワン』と言うと、タロウも『ワン』と言ったので、僕は夢の中と違うなぁと思いました。

ある日、僕は寝そべっているタロウに寄り掛かってお昼寝をしました。
そして、僕は体が重たくて目がさめると、タロウが僕に寄り掛かっていたので、僕は『ワン』と言いました。するとタロウが
『なぁに?』
と言ったので、あれっ、前の夢の時と同じだなぁ、と思いました。

タロウが『何して遊ぶ?』
と言ったので、
『今日は駆けっこをしようよ。』
と言いたかったが『ワンワンワン』と言いました。
また夢の中と同じだと思いました。

そして、僕とタロウは公園へ行き、駆けっこをしました。
タロウが
『早くおいでよ。』
と言ったので、僕は『ワンワン』といってタロウを追いかけました。
近所のおばさんが『二人とも元気ね。』と言ったので、僕は『ワンワンワン』と言いましたが、タロウは
『そうだよ、二人とも元気だよ。』
と言いました。
僕は夢の中ではないのに変だなぁと思いました。

僕はどっちかな?(1)

2020-11-11 09:11:28 | 童話
僕の家には大きな犬がいます。色は白で名前はタロウです。
僕とタロウは仲良しで、いつも僕がお昼寝する時は、寝そべっているタロウに寄り掛かって寝ます。
時々、体が重たくて目がさめるとタロウが僕に寄り掛かって寝ています。その時僕はタロウに『ワン』と言います。するとタロウは目がさめて立ち上がります。

今日もタロウが僕に寄り掛かっていたので、僕は『ワン』と言いました。するとタロウが『なぁに?』と言いました。
僕は『僕に寄り掛かっていると重たいから起きなよ。』と言いたかったのですが、『ワンワンワン。』と言ってしまいました。
『わかった、わかった、起きるよ。』とタロウが言いました。

僕は、お母さんが作ってくれたクッキーを、タロウと一緒におやつの時間に食べようと思って『ワンワン』とタロウに言いました。するとタロウが『おやつを食べるの?』と言ったので、僕はなんだか変だなぁと思いました。

おやつを食べ終った時に、お母さんが
『お買い物に行くけれど、一緒に行く?』
と言ったので、僕は『ワン』と応えました。するとタロウが『僕も一緒に行く。』と言いました。お母さんは『はいはい、では3人で行こうね。』と言いました。

グー、グー、グー(4)

2020-11-10 09:18:54 | 童話
僕が目をさますと、映画のスクリーンの中では、ロケットから大きなアンテナを出して、電波の来ている方角と距離を測っていた。
クルーたちが
『この方角のまま、あと3日飛ぶと電波を出している星に着くね。』
『そうだね、このまま流星に気を付けて飛んで行こう。』
と話しをしていた。
そして、3日後にロケットの船長が
『順調に飛行しているので、あと5時間で目的地に着きます。』
とクルーのみんなにアナウンスした。
『あと5時間か、やっと着くね。』
『どんな星で、どんな生き物がいるのだろうかなぁ。』

『間もなく着陸します。』
ロケットの外に出るので、みんな宇宙服を着た。
ロケットの外へ出て周りを見渡したが、赤茶色の土と岩以外は何も見つからなかった。
そして、宇宙用の自動車で少し高くなった丘の上に登った。すると、丘のふもとに宇宙船が有るのを発見した。
『あれはっ、XY星の探査に成功し、5年前に地球に帰還する時に流星とぶつかって行方不明になった無人の探査機だ。』
と船長が言った。
探査機は遭難信号を地球へ何年間も送り続けていたのだ。
そして、丘を下りて行って探査機に乗り込んだ。
『XY星にしか無い、新たなエネルギー物質は無事だ。この貴重なデータを持ち帰ろう。』
と船長は喜んだ。そして、クルー全員でエネルギー物質を僕達のロケットに乗せた。当然、クルーの僕も手伝った。
『これから地球に向って飛んで行きます。』
ロケットはゴーと大きな音をたてて、飛び立った。
しばらく飛んでから
『帰りは土星や火星には寄らずに、そのまま地球に向って飛行するらしいから、ロケットの中で寝るよ。』
とお父さんが言った。
今度起きたら僕はどこにいるのかなぁと思った。

『今日は日曜日でも、早く起きなさい。お父さんと一緒に宇宙探検の映画を見に行くのでしょ。』
『あれっ、今度は家の中だ。ロケットの中でも、映画館の中でもないや。まだ映画館へも行っていないのだった。
本当の僕は今どこにいるのかなぁ?』

      おしまい