ドッコイショ(1)

2021-12-18 11:50:55 | 童話
僕のおじいちゃんはおもしろいおじいちゃんです。
座っていて立ち上がる時に
『ドッコイショ』
と言いますが、座る時も
『ドッコイショ』
と言います。
僕はおじいちゃんに
『なんでドッコイショと言うの?』
と聞きましたが、
『ドッコイショは、ドッコイショだからドッコイショなんだよ。』
と言いました。

だけれど、座っていて立ち上がる時に
『ヨイショ』
と言う時があります。
その時は、座る時も
『ヨイショ』
と言います。
僕はおじいちゃんに
『なんでヨイショと言うの?』
と聞きましたが、
『ヨイショは、ヨイショだからヨイショなんだよ。』
と言いました。

ドッコイショとヨイショはどう違うのか分かりません。

ある日、おじいちゃんが『みんなが居る場所で立ち上がる時は、みんなに「これから立ち上がるよ。」と言うためにドッコイショと言うんだよ。
だから、座る時もドッコイショなんだよ、でも、誰も居ない時は自分のためにヨイショと言うんだよ。』と教えてくれました。

『ふぅ~ん、そうなんだ。』
僕は、ドッコイショとヨイショは違うんだと分かりました。

おじいちゃんのメガネ(3)

2021-12-17 09:44:49 | 童話
僕はお父さんに頼んでメガネの耳に掛ける所を取り外してもらったので、二つの丸い所だけになって本当の自転車のようになった。

『もっと本物の自転車のようにしよう。』
僕はお母さんに爪楊枝を3本もらって、お兄ちゃんに1本を短く切ってもらった。
僕はお母さんからもらった糸で、長い2本をメガネの丸い所に結び付けた。そして、長い2本に短い1本を糸で結び付けてハンドルにした。

『やった、ハンドルができた。』
しかし、僕の自転車は立たない。『よしっ、自転車を立てるスタンドを作ろう。』
僕はお母さんからまた爪楊枝を3本と、結び付ける糸をもらった。
僕は3本を糸で結び付けて三角形を作り、後の車輪に糸で結び付けた。
『やった、やった、立ったよ。』

そして、お兄ちゃんに小さくなって丸くなった消しゴムを貰って、車輪と車輪との間に糸で結びつけてサドルにした。

僕はおじいちゃんに僕の作った自転車を見せると
『おぅ、すごいね。』
と言ってくれたので、お父さんやお母さんやお兄ちゃんにも見せた。みんな
『すごい、すごい。』
と言ってくれた。

僕はこの自転車を大切にして、本当の自転車を買ってくれた後も、机の上に置いてある。
おじいちゃんはもう居なくなってしまったが、僕とおじいちゃんとの宝物の自転車は、いつまでも僕の机の上に飾っている。

  おしまい

おじいちゃんのメガネ(2)

2021-12-16 15:38:58 | 童話
今日はお兄ちゃんと一緒に歩いて行くのではなく、おじいちゃんのメガネの自転車でいくので、何も持っていかない。
やっと小川に着いた。
『やぁ、メダカやフナがいっぱいいる。メダカ君、フナ君、今日はお家に連れて行ってあげないよ、また今度ね。』
僕は小川でメダカ君とフナ君に会ったので、今日はもう帰ろう。
『メダカ君、フナ君、バイバイ。』

おじいちゃんが僕の所にきて
『新聞を読むからメガネを使うよ。』
『うん、いいよ。』
何日か後でおじいちゃんのメガネが壊れてしまった。メガネの鼻に当たる所が1個取れてしまったのだ。
『このメガネは古いから仕方が無いなぁ、新しいのを買ってこよう。』と言っておじいちゃんはメガネ屋さんへ行きました。
おじいちゃんは帰ってきて『レンズを新しいフレームに付けたので、これをあげるよ。』と言って僕に古いメガネをくれました。
『わぁ、ありがとう、大切にするね。』

おじいちゃんのメガネ(1)

2021-12-15 10:06:33 | 童話
僕は自転車で公園へ行った。
坂を登る時はハアハアと大変だったが、丘の上にある公園は見晴らしが良くて気持ちがいい。公園を3周したらかえろう。帰りは下り坂なのでラクチンだ。
そこへ、おじいちゃんが帰って来た。

『また、おじいちゃんのメガネで自転車ごっこをしているのかい? メガネのガラスは汚れるから、ガラスにさわったらダメだよ。』
『うん、ガラスじゃない所を持っているから大丈夫だよ。』
おじいちゃんは優しいので全部がダメだとは言わない。
『さっきね、自転車で丘の上の公園に行ってきたんだよ。』
『悠太君は、まだ三輪車も上手く乗れないから、自転車は来年買ってあげるね。』
『うん、まだ三輪車を押してもらっているから、自転車は来年でいいよ。』
明日、自転車で何処へ行こうか、と考えていると楽しくなる。

おじいちゃんの円いガラスのメガネ、おじいちゃんに借りた僕の自転車。
そうだ、明日は近くの小川に行こう。少し前にお兄ちゃんと一緒に行った小川だ。この小川は、水が僕のヒザの高さまでしかなく、ゆっくりと流れているから安全なんだとお兄ちゃんが言っていた。その小川にはフナやメダカがたくさんいて、僕の家でも水槽に入れて育てている。

タヌキとキツネと人間と(9)

2021-12-14 08:54:27 | 童話
また、タヌキが神社の神主さんに
「人間はキツネと同じように、僕を騙さないでほしいなあ。」
と言いました。すると、神主さんが
「タヌキとキツネが石のお金で人間を騙したのではないか。人間は優しいから神様の使いのキツネには騙されてやったのだよ。」
と言いました。

タヌキは
「そうだね、僕たちが騙したんだね。」
と言いました。
そして、キツネとタヌキは
「もう人間を騙さないようにしようね。」
と言いました。

おしまい