窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

野付湾のヤドカリ

2019-09-07 19:23:38 | 生き物バンザイ

潮が引いたアマモの干潟。以前は砂地でしたが、いつの間にかアマモが生え出し

貝や魚、ゴカイがたくさん棲みつく豊かな自然度になってきました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

            ◆  ホンヤドカリ  ◆

それを食べにシギ・チドリが集まってきます。夏から秋の2カ月ばかりですが、

ゴカイや小魚を捕って食べています。最近歩いていると今まで私の目に留まら

なかった生き物を良く発見するようになりました。

ここにはツブガイがばらばらいるのですが、じっと見ているとき、動くツブガイを

に気づきました。ツブガイは日ごろ動くことはありません。でも、動いて移動して

行くのです。

シギそっちのけで動くツブガイに神経を集中しました。拾い上げてみると貝殻の

中にカニのような足があります。これで歩いているのです。貝殻の入り口に大きな

鋏爪があります。ヤドカリです。

すごく臆病そうです。危険を感じ貝殻の奥に体をひっこめ動きません。危険を感じた

カメみたいです。

そっとアマモの上に置き、離れて観察。しばらくすると右側の大きな鋏を出してきて

長い触角を動かし、周囲を探っています。触角は伸ばしたり、曲げたり、横に広げたり

ムチのように̪しなり、アンテナとしてはすごく機能させているのが伺えます。

双眼鏡でアップしてみると目が印象的。黄色の瞳の中に黒い目。カタツムリみたいな

目の柄の先に付いています。ヘッドライトみたいになっていて、自由に動かせるのが

感激。

まさか、マイナス20度以下になる地域にもヤドカリがいるとは知りませんでした。

調べてみるとホンヤドカリしか該当しませんでした。

 

 


アオサギたちの一服

2019-09-05 21:51:06 | 山野の鳥

巣立ったアオサギのヒナや親アオサギ、ダイサギが砂の中州でくつろいでいます。

干潮から満潮に潮がどんどん上がってきて、それまでバラバラに餌捕りをしていた

サギたちが集まってきています。

おばんです。小太郎でごじゃります。

            ◆  アオサギたちの一服  ◆

ヒナが巣立って、親鳥と一緒にエサが捕りだすと、営巣地から連れだって飛んできます。

決まって潮が引きだしてからです。森の営巣地にいては、潮が引いて行くのを視覚では

確かめられません。どうやって引き潮になって行く時間を把握できるのか分かりませんが、

彼らはきちんとわかってやってきます。

真夜中に干潮になるときはどうしているんだろうと考えますが、そこまで確認する情熱は

今のところありません。きっと来ていると思うのですが、みなさんはどう思われますか。

大潮の時と小潮の時では、餌取りにかける時間が違います。アオサギはそれにどう対処

しているのでしょう。

干潟でたらふく食べたあと、アオサギたちは自分のお気に入りの休みどころに集まって

きます。干潟の中の草むらや砂の丘が多く、ほとんどが遠くから目立ちにくい場所です。

集まるのはオジロワシが偵察に来るからです。集まっているとき逃げたりはしませんが、

中に体調が悪く、変な動きを取る個体を見つけると襲ってきます。そんな時、みんなと

いる見つけられません。

体の手入れをしていても、落ちついてやれます。一服できるのです。

集まっている風景はのんびりとした、とってもいい風景です。


野付半島生まれのアカアシシギ( T. totanus)

2019-09-04 19:16:41 | シギ・チドリ

野付半島の干潟にアカアシシギの幼鳥がやってきて食事をとっています。今年生まれの

野付半島で生まれたアカアシシギです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

           前がアカアシシギの若鳥、後ろはキアシシギ

          ◆  野付半島生まれのアカアシシギ  ◆

今でこそ野付半島でアカアシシギが繁殖していることは図鑑等にはっきり記載されていますが、

1960年代は日本での繁殖記録は確認されていませんでした。

1972年、野鳥研究家・写真家の高野信二さんと国立科学博物館動物研究部の森岡弘之さんが

野付半島全域を調査し、ヒナを発見しました。前年夏季にかなりの数のアカアシシギを観察し

3羽を採収されていました。それに基づき翌年に本格調査されたのです。

           成鳥に比べ脚の橙色が薄い幼鳥

当時は野付半島の道路状況は整備されておらず、漁師が番屋に車で行く踏み分け道のみでした。

観光客は皆、歩いて先の方まで行っていました。人の影響をあまり受けない環境がありました。

調査によると野付半島の基部から先端まで、アカアシシギが観察されています。半島全域の

草原で繁殖していたのです。

私は74年の8月に基部から先端まで歩いて行きましたが、あいにく気づきませんでした。

1980年ころから野付半島に通いだし、アカアシシギを観察しました。当時もまだ論文で確認

された場所にはアカアシシギがいました。

すでに道路が整備され、竜神灯台まで車で入って行けました。観光客も増加し始め、

道路の周辺に人の気配による影響が出始めました。

2000年に入り、道路の拡幅と観光地化に力が入りだしました。

そのころからでしょうか、野付半島の基部から今のネイチャーセンターまでのアカアシシギが

観察されなくなりました。

今季は、竜神岬灯台周辺から半島先端に広がる草原で姿や鳴き声を確認できるだけになりました。

沢山の人がやってこない環境に退避して、繁殖しています。

調査に入っても、以前ほどアカアシシギの警戒する姿に出会えなくなりました。

それでも、今年も生まれたアカアシシギのヒナが干潮時に干潟にやってきてくれます。


野付半島のアマツバメ(A. pacificus)

2019-09-02 22:55:11 | 山野の鳥

 8月から9月にかけ、野付半島にアマツバメががやってきます。5月、6月、7月は

全く見かけないので、遠征してくるのです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

 

           ◆  野付半島のアマツバメ  ◆

普段は知床連山の山間の森林や山頂部に発生する昆虫を飛びながら捕り棲息している

アマツバメです。この時期に大発生する野付半島の草原や森林の昆虫を捕りに来て

いるのです。

確かに8月や9月は羽化した昆虫が草原の上を飛んでいるのが私でも分かります。

飛びながら虫を食べるツバメチドリやハジロクハラアジサシ、クロハラアジサシなどが

渡りの途中に寄って行くことがあります。それほど多くの昆虫が普段見られない渡り鳥

を引き付けるようです。

さらに根室海峡の洋上で魚を捕り生活するウミネコが集まってきて、上昇してくる虫を

捕っている光景をたびたび見かけます。

アマツバメの体の中には虫が羽化し、上昇気流に乗り移動する時期と場所が記憶され

伝承され、世代が変わってもやってくるのです、きっと。

毎日、地上に降りて休むことなく飛びながら生活するアマツバメ。時速160キロ以上の

スピードで飛ぶんですから100キロ、200キロを移動してくるくらいどってことない

はずです。

以前からアマツバメは飛行し続けて生活すると言われていました。ヨーロッパアマツバメ

が10か月間にわたり、一度も着地することなく連続で飛行することが立件された研究

結果が、2016年10月、アメリカの科学誌カレント・バイオロジーに発表されたんです。

飛び続け、食事をし、寝て休む、排便をし、交尾をし、子育ての時だけ地上に降りる

天空の鳥なのです。

野付半島で私がカメラに収められるのは天気はいいが、海霧が発生しているときです。

朝、太陽が出て地上を温め、上昇気流が起こり、虫が気流に身をゆだね、上へ、上へ

と飛んでいくが、海霧のせいで急上昇にならず、地上に近いところでふわふわしている。

それを狙いアマツバメが地上近くで飛び回る。高速で目の前を通過して行くところで

シャッターを押しまくるのです。

ユスリカみたいな小さな虫を口を大きく開き、吸い込んでいく。繰り返しているうちに

咽喉が膨らみ、凸ぱってきます。直径2センチの塊になるほど虫を固めていきます。

数えた人によると1000匹以上の虫が固められていました。

何ともすごい量です。写真で見ると咽喉ちんこみたいです。笑ってしまいます。

 


ヒシクイがやってきた

2019-09-01 19:06:51 | コクガン・ヒシクイ・ガン類

ガン・ハクチョウの渡りがいよいよ始まりました。今朝、8時10分にヒシクイ5羽

野付半島の基部、茶志骨川の河口上空に現れました。

おばんです。小太郎でごじゃります。

              ◆  ヒシクイ初認  ◆

ガハハハッ、ガハハハッと快晴の空から声が大きくなってきて気づきました。

上空を見上げると白いお腹と白い尾羽の大きな鳥が翼を広げ飛んでいきます。

北から南へ。朝陽が下から当たっているので脚の橙色がしっかり確認できました。

ヒシクイに間違いありません。

知床半島の方角からやってきて、降下をはじめ、翼を広げゆったり滑空を始めて

います。茶志骨川河口に広がる三角州のヨシ帯へ降下して行きました。

ガンカモネットのメールで、8月26日にサロベツ原野の豊富町の兜沼でオオヒシクイ

約100羽が確認されていました。

こちらにヒシクイが現れるのも、近いと思っていました。運よく今日9月1日に

先発隊を確認できました。

*例年だともう3、4日遅いかと思っていましたが。いつもこんなに早く来てたのね?