窓辺の小太郎

野付半島の渡り鳥や動植物の生き生きした「瞬間の美」を目指します。

ショウドウツバメ 崖で婚活中

2020-06-09 17:19:33 | 山野の鳥

 尾岱沼の南に海に面した崖があります。ここは8000年前くらいまでは国後島

 まで陸地であり、その時代の地層が海岸段丘になり露出しているところです。

 おばんです。小太郎でごじゃります。

        ★ ショウドウツバメ 崖で婚活中 ★

露出した崖にショウドウツバメが毎年、5月から7月にかけ営巣します。地層は

有機質の粘性土と火山灰質の砂質土からなっていて、彼らが巣として穴を掘る

には適した柔らかさと快適さを持っているようです。

海水により浸食されるために毎年すこしずつ土砂が削られ、新しくなります。

5月の後期、崩れたがけの上の方、残された草地が庇状になった下に巣穴を掘り

ます。見ているとオスとメスが共同で必死になって巣作りをします。

崖に取りついているショウドウツバメは波が押し寄せ、引いて行くように集まり、

しばらくすると一斉に飛び出します。

なぜか分かりませんが、外敵に狙われないように定期的に繰り返している節が

見られます。カラスやカモメ、ハヤブサがやって来るからです。

去年は巣が多くなかったところに今年はたくさんの個体が集まっています。巣の

リニューアルをしているところです。6月7日に行ってみると巣穴が増えています。

庇状になりクマザサの根が垂れ下がったところに4、5羽のツバメが止まってい

ます。1羽が巣穴に止まると2,3羽がやってきて止まろうとします。カップリン

グ中なのか必死でアタックする様子が伺えます。

落ちつかず、さっと飛び出し、周辺を飛びまわります。そして帰ってきます。

その繰り返し、忙しいのです。

もうすぐ産卵が始まり、巣の周りはさらに出入りがにぎやかさを増すかな。


ヤマシギ Eurasian Woodcock ・日没になって飛ぶ

2020-06-08 16:10:19 | シギ・チドリ

夕方、我が家の上空をチッとよく透る高音で鳴きながら、飛んでいくヤマシギが

います。タワラマップ川の湧水が湧く湿地で繁殖するヤマシギです。

おばんです。小太郎でごじゃります。

    ★ 日没になって飛ぶヤマシギ Eurasian Woodcock  ★

毎年、5月の初めに鳴きだします。渡ってきてすぐのころです。そのあとに

オオジシギがやってきて、夕方の協演が始まります。

その後、鳴き声を聞かなくなりますが、再び、夕方になると鳴き声が聞こえて

きます。オオジシギと違い、ヤマシギは直線で飛びます。

観察していると谷から飛び出したヤマシギは丘陵に沿って高度を上げてきます。

チッと鳴きつつ樹冠の上を飛んでいきます。次の谷を超し、次の谷へ跨ぎ飛行

します。オオジシギと違い、羽ばたきがゆったりとして、直線で飛んでいきます。

ときどき、となりに縄張りを持つヤマシギと飛行コースが重なり、鳴きあいし

ながら追いかけ合ってることがありますが、普段は穏やかな飛行を続けます。

その範囲はよく分かりませんが、私が毎日散歩をする1周2キロほどの楕円コー

スが3個以上入る1周コースです。ほぼ同じコースを3、4周くらいは旋回します。

観察しているとやって来るコースが読めるようになりました。時間帯も分かって

きました。

飛んでいる姿を撮ろうと日が沈む前から待機していると、太陽が地平線に沈み、

西の空が茜色に染まりだすころ、声が聞こえてきます。毎日、時間帯で待って

いると日が射してくる間には決してやってきません。必ず沈んでからです。

おそらくオオタカやハイタカ、ノスリなどの天敵が活動しなくなる時間帯のよ

うです。

ロシアでは夕方になると猟師がヤマシギ撃ちに出かけていたそうですから、納得

です。コースが読めるようになり、ようやく姿だけ撮影できました。


子育て、一息

2020-06-06 22:22:20 | キタキツネの生態

厳しい気温が続いた5月。それでもキタキツネたちは子育てに邁進していました。

野付半島のキタキツネは数が増え、縄張りが持てない個体が増えています。

おばんです。小太郎でごじゃります。

            ★ 子育て、一息 ★

半島の先端、ハマニンニクが生い茂る砂浜に若きキタキツネのペアが子育てして

います。以前には考えられない環境にやってきて、繁殖を始めるのですから驚き

です。

草地に入って行くと目の前からキタキツネが飛び出してきました。初めは餌探しに

やってきた個体がびっくりして飛び出したんだと思っていましたが、逃げません。

いつもなら、警戒して遠くに走り去るのに、私の目の前で堂々と日向ぼっこを

するのです。目をつぶり、とってもリラックスした様子です。

少し近づくと、起き上がり、無視するかのように大あくびをして、知らんぷり

するかのように歩きだしました。すぐに腰をかがめ、おしっこをします。姿勢

からメスです。

終わると私の方に向かってゆっくりした足取りでやってきました。あまりにも

堂々としている行動に、こちらがドギマギしてしまいます。

向かってきて、目の前を通り過ぎていく大胆さ。変です、異常です。あまりにも

大胆なので、考えました。どうもこれは自分に注意を引かせる行動ではないか。

シロチドリが見せる擬傷行動に似ているのでは、とふと思いました。隠れる場所

もなく、巣の近くに陣取った不法侵入者に注意を向けさせ、子供を守ろうとする

親の本能ではないかと。

あまりにも大胆な行動に、すごく感激して、ゆっくりと離れました。

 


タンチョウとオジロワシ・魚を巡る攻防

2020-06-05 18:35:46 | タンチョウのいる風景

干潟は食べ物の宝庫です。水は多くの生き物を育みます。タンチョウも恩恵を

たくさん受けています。魚を捕る名人です。野付湾の干潟で良く捕るのがギン

です。

おばんです。小太郎でごじゃります。

        ★ タンチョウとオジロワシ・魚を巡る攻防 ★

水が引いた浅瀬でタンチョウは嘴から頭を水に入れ、アマモなどに隠れている

ギンポを掴んで引き上げます。20㎝から30㎝ほどの細長いギンポはくねくね体を

ねじらせ、逃れようと暴れます。

普段は嘴に挟んだまま、陸地に歩いて行き、落ちても逃げられなくして、弱らせ

てから頭の方から飲み込みます。

捕ったところを近くにいたオジロワシが見つけました。体がボロ雑巾のように

茶褐色した若い個体が素早く飛んできて、タンチョウに向かって来ました。

それに気づいたタンチョウが体を低く前傾、翼を半開きにして身構えました。

魚を持っているので、身軽に攻撃できません。威嚇し、盗られないような姿勢

になります。

さらに気づいた他のオジロワシも急遽集まってきます。前から、横から1羽が2羽、

3羽と矢継ぎ早にタンチョウの魚を狙ってきます。

正面から捕りに来た個体には飛び上がって、翼を広げ、威嚇します。咄嗟の判断、

攻撃です。

オジロワシもこの反撃にはブレーキをかけ、躊躇した様子です。横に逸れ、通過

して行きます。さらに上に来ていた個体が取りに来ます。正面からも来ます。

オジロワシたちは自分が手に入れることができなくても、次々に襲うことで誰

かが手に入れる戦略をとる雰囲気です。

 

 

 

あまりにもしつこい攻撃にタンチョウが諦めました。持っていた魚をぽとんと

落としたのです。それを見て、確かめたオジロワシたちは即座に行ってしまい

ました。

運がよかったのは魚。漁夫の利です。


ダイゼンの白黒、けっこう目立つ

2020-06-04 20:22:55 | シギ・チドリ

ダイゼンという大型のチドリの仲間がいます。大型といえキジバトくらいの大きさ

です。が、干潟に出るとけっこう目立ちます。

おばんです。小太郎でごじゃります。

        ★ ダイゼンの白黒、けっこう目立つ ★

冬と夏で全く羽色が変わる鳥は多いのですが、ダイゼンは白黒の羽色に大変身、

なぜか目立ちます。

嘴と眼を結ぶ線から下、顔、頸、胸、腹にかけ真っ黒です。上面は額から頭、

背中、翼、腰、尾まで白地に黒のスポットが混じるものの、遠くからだと白く

見えます。ツートンカラー

下の面の黒さがはっきりしているせいで白地に混ざった黒が白くなってしまう

錯覚を見ます。このコントラストがとても上品で優雅に見えるから不思議。

行動も、干潟をゆったり歩き、時にチドリらしく小走りに走る、時にぴたりと

止まり、砂の中のゴカイを引きだす、この仕草が優雅なんです。

野付湾に姿を見せるのは5月。すっかり夏羽に衣替えし、このまま北極海沿岸に

向かう姿になっています。

関東では数百という大きな群れになるそうですが、こちらでは多くて10羽ほ

どの群れでやってきます。

メダイチドリやハマシギ、トウネンなどに混じり、干潟でエサを捕っています。

飛ぶと翼が長く、高速で飛ぶ形をしています。

警戒心が強くなかなか近寄れません。すぐに飛んで行ってしまうのです。