奥秩父の山々は早朝だけで、昼前から曇天だろう・・・ドンテン、ドッテン返しに遭うのは嫌だから、とっととハンドル握って中央高速飛ばして、甲府盆地に降り立った。
毎週のように来てるけんども、甲斐の里山は桃の花が最盛期になってる。
サクランボの白い花も満開、じきに実がなり狩り狩りで賑やかになるんだろうが、いまは人も少なく良い塩梅。
さっさと里山を抜けて大菩薩嶺の横を駆け上がって、北側から見渡す山々を目指した。
冬の山景色そのもの、里山の派手やかな色とりどりが嘘のような、殺伐として寒々と冷え込んでおって、雪もたくさん残っておったがや。
アイゼンや冬装備はいらないが、厚着する服は担いでおった。
ツツジやシャクナゲの季節もまんだまんだ、ずっと先の話だろう。
蕾すらなかった。
登り降りの繰り返し、汗が噴き出して、すぐに乾いて寒くなり、そうやって歩きながら風向きが変わるたんびに、風上から獣の強烈な臭いに襲われてるような感じ。
みな春を感じて、歩き回ってるんだろう。
昨日、山で出会った生き物、人間0人、鹿5頭、子熊1頭、大猪1頭、猿4匹。
案の定、午後から曇って寒くなり、帰り路の最後に温かいコーヒーを飲んだ山頂では、これから降りて行く登山道を毛並みの良い狸が1匹、クンクンしながらのんびり登って来てた。
・・・おうおう、そんなとこをお前さんも歩くのか? 一緒に一服するかいや?
こっちに近づいて、しばし立ち止まって、不思議そうな顔して俺を眺め、そのまんま谷へと降りていった。
人間の姿してたが、おかしな生き物が居ったと、今頃は仲間と笑い話の最中か・・・。
見渡す大菩薩嶺の北側斜面には雪がべっとり付いておった。
まだまだ、春は遠い。
獣たちも里山へと降りてゆく時期だ。
せいぜい皆さんも、仲良くしてやってな。
帰路はそのまんま丹波に降り、奥多摩から狭山湖へと抜け、所沢から関越に乗ってのんびり戻って来た。
途中、西武ドームの横を通ったり、寄り道もいろいろだったけんども、いつもの多趣味のことだ。
丹波に降りる青梅街道では猿がなんども道を横切って、危ないな~とハンドルを握っておったが、とうとう1匹の親猿が車にはねられて血だらけで死んでるのにも出くわした。
車やバイクを運転するだけで、ドライブが趣味? いつも想うが、こんな山奥にワザワザ来ておって山には登らないのか? もったいない、車文化と言う詐欺に騙されておる都会の猿、阿呆やな。
それで山猿をはねて車も潰して、ご愁傷様とはそんなこと。