「(新聞の)写真は私の息子です」 難病指定へ賛同署名の呼び掛ける伊藤さん
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140828-00000043-mai-soci
<先天性ミオパチー>難病指定へ自ら決起 患者団体設立
毎日新聞 8月28日(木)12時46分配信
筋力の低下で歩行や呼吸が困難になっていく難病「先天性ミオパチー」を患う北九州市八幡西区の伊藤亮さん(23)が、国の難病指定を求めて患者団体を作り、活動を続けている。難病法が今年5月に成立し、難病指定は来年から現在の56疾患から約300疾患に増える見通しだが、厚生労働省による27日の第1次選定からは漏れた。患者たちの危機感は強まっており、伊藤さんは難病指定への賛同署名の呼び掛けに力を入れている。
6歳で先天性ミオパチーと診断された伊藤さんは、高校2年の時、慢性呼吸不全となった。肺活量は正常な人の2割以下で、手動の人工呼吸器が手放せない。現在も週1回病院へ通い、呼吸のリハビリを続けている。
「他の患者が同じ苦しみを味わわないためにも、病気への支援や理解を広げたい」。2012年5月、母の初江さん(44)や支援者らと「先天性ミオパチーの会」(事務局・北九州市若松区)を設立した。
難病に指定されれば、医療費の助成や治療薬の研究開発促進だけでなく、「病気の知名度が上がることで患者数の把握も進む」(伊藤さん)と期待される。会はミオパチーの語呂合わせで308万人分の賛同署名集めを目標に掲げる「308プロジェクト」を展開。イベント会場やオンラインで募り、伊藤さんも体調が良ければ自ら街頭に出て呼び掛ける。これまでに12万人分以上を集めて国に届けた。
しかし、助成対象の難病を決める厚労省の指定難病検討委員会は27日、免疫異常で目や口が乾燥する「シェーグレン症候群」(患者数約6万6300人)など110疾患を先行して選定、先天性ミオパチーは漏れた。落胆する患者たちは秋以降に選定される残りの枠(約190疾患)に入れるよう期待をかける。伊藤さんも会の活動にさらに熱を込める考えだ。
10月26日には「社会に埋もれて苦しむ難病患者が社会にアピールできる場を作ろう」と、北九州市小倉北区の山田緑地で「全国難病フェスタ」を開き、講演会や難病患者団体のパネル展示などを実施する予定。伊藤さんは「難病指定を求める活動を通して、病気のことを一人でも多くの人に知ってもらえたらうれしい」と話している。署名への協力は先天性ミオパチーの会093・791・9274。【内田久光】
【ことば】先天性ミオパチー
遺伝子の何らかの異常で呼吸を支える筋肉が再生できなくなり、呼吸不全や歩行障害が徐々に進行する原因不明の病気。厚生労働省によると、患者は10万人に1人とされるが、実態は不明。治療法も確立されていない。18歳まで医療費を助成する国の小児慢性特定疾患で、東京都は独自の難病指定で医療費を助成している。