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必読 『ルポ 貧困大国アメリカ』 生存権を奪って若者を軍と戦争へと供給する「経済的徴兵制」を見事に描写

2014-09-04 22:48:53 | 紹介

http://www.jca.apc.org/stopUSwar/notice/book-hinkontaikoku.htm

[書籍紹介] 『ルポ 貧困大国アメリカ』堤未果著 2008年1月 岩波新書)

生存権を奪うことで、若者を軍と戦争へと供給する「経済的徴兵制」を見事に描写



「もはや徴兵制などいらないのです。政府は格差を拡大する政策を次々と打ち出すだけでいい。経済的追い詰められた国民は、イデオロギーのためでなく、生活苦のために黙っていても戦争にいってくれますから」(「世界個人情報機関」のスタッフ)


 本書は、マスコミでは報道されないアメリカの貧困の実態と、それをもたらし加速させる新自由主義政策を多くの実例で告発している。そのひとつひとつが驚きである。


--日本では低所得者向け貸し付けなどと訳されるサブプライム問題であるが、そのターゲットは、「過去5年以内に破産宣告を受けている」「返済額がなど収入の50%を超えている」などおよそ新たなローンを組むことなどできそうもない底辺の人々である。彼らは、ほんのつかの間マイホームの夢を見せられ、やがては借金地獄につき落とされ、捨てられる。
--アメリカでは、「自己破産」「多重債務」「不法移民」など様々なブラックリストが出回り、社会的弱者を顧客とする「貧困ビジネス」が増殖している。究極の「貧困ビジネス」は戦争である。


--貧困家庭でフードスタンプや無料給食プログラムに登録する子どもたちは、マカロニにチーズがべっとりと乗っただけのチーズ-マカロニというジャンクフードやマクドナルド、ピザハットなどを毎日毎日食べさせられ、深刻な肥満状態にある。肥満は裕福ではなく貧困の象徴である。
--「一度の病気で貧困層に転落する人々」。急性虫垂炎で入院したために破産宣告された男性が登場する。個人破産年間204万件(2005年)の内、理由の半数以上が高額の医療費だという。これも、ニューヨークでの盲腸手術の入院費用が平均243万円と聞けば納得がいく。
等々。
 重大なのは、これらが別々に存在するのではなく互いに深く絡み合いイラク戦争への兵士調達のメカニズムとして機能しているということである。特に後半では、弱者が食い物にされ人間らしく生きる生存権を奪われたあげく、最後のよりどころとして軍と戦争へと供給されていくシステムが見事に描かれている。以下これを中心に報告したい。



貧しい若者を軍隊に動員する「経済的徴兵制」

 1972年に徴兵制が廃止されたアメリカで、イラク戦争で若者を軍隊に動員する(志願させる)ために「貧困」が利用されている。
 2007年、ブッシュ政権が打ち出した教育改革法(「落ちこぼれゼロ法案」といわれる)の中に、全米のすべての高校に生徒の個人情報を軍のリクルータに提出することを義務付ける一項がある。拒否すれば補助金がカットされる。貧しい地域の高校は、補助金を受けるために提出せざるを得ない。軍のリクルータは、そのリストで入隊を勧誘する。入隊する若者の入隊動機の1位は大学の学費の軍による肩代わりだ。貧困から抜け出すために大学にいく。その限られた選択肢としての入隊。本人が18歳未満の場合、学費免除が親の了解を得る手段としてつかわれる。だが、学費を受け取るには1200ドルもの前金が義務づけられるなどの法外な取り決めがあり、実際に除隊後に大学を卒業できるのはわずか15%に過ぎないという。
 入隊動機の2位はなんと医療保険だ。入隊すれば家族も兵士用の病院で無料で治療が受けられるというものだ。貧しい地区の高校生は、家族も含めて無保険の家庭が多い。2005年、ブッシュ政権が「低所得家庭児童向け医療保険基金」予算を大幅にカットしたことで、この傾向はますます強まる。だが、ブッシュは帰還兵のケア予算を削減し軍病院を次々に閉鎖していることから、どれだけ「恩恵」に預かれるのかも疑わしい。


 「教育」と「医療」という、人が人らしく生きていくために不可欠な条件が奪われ、弱者切り捨ての政策によって拡大された格差と貧困によって多くの子供たちが生存権をおびやかされた結果、やむなく戦地に行く道を選ばされているのである。
 さらに兵士の調達のために、不法移民の若者に触手を伸ばしている。2007年にできた「夢の法律2007」。これまでは入隊と引き換えに市民権を得る手続きを始められるのは合法移民に限られていたが、不法移民もできるように法改正されたのだ。これは移民対策強化法案とセットで出された。強制送還されたくなかったら軍の庇護に入るしかないという究極の選択を迫られるのだ。不法移民の若者は軍にとって「宝の山」なのである。


 高校生だけでなく「学資ローン」や「多重債務」に苦しむ短大生、大学生、大学院生もターゲットにしている。クレジットカードが発達したアメリカでは、学費だけでなく文房具や教科書代などもカードで払い、借金漬けになる学生が多くいるという。彼らは卒業と共に滞納者リストに名前が載せられ、就職もままならない。ここでも奨学金予算の大幅カットと軍の「学資ローン返済免除プログラム」が一体となって機能する。学費の一部肩代わりという誘惑に負け、在学中から軍入隊を選択させられてしまうのだ。
 イラク前線に送られる新兵の年収は15,500ドルにすぎず、生命の危険だけでなく、除隊後の身体的、精神的障害に苦しむことになる。生活は改善されず、薬物依存症に陥る者、ホームレスになる者も少なくない。「アメリカ帰還兵ホームレスセンター」によると2007年現在、全米350万人のホームレスのうち3分の1が帰還兵だという。



戦争の民営化で世界中の貧困層をかき集め、派遣会社はぼろもうけ

 さらに、世界中のワーキングプアが支える「民営化された戦争」の実態も壮絶である。高卒のトラック運転手のマイケルはある日突然携帯電話がかかり、年収6万5000ドル(715万)の仕事を保証するといわれる。多重債務者のブラックリストを使っての派遣会社への登録の勧誘だ。なんと職場はイラク。説明会では、化学兵器や放射能物質などで死亡した場合は、遺体の本国送還はせず、現地で火葬との説明をうける。派遣登録した会社はKBR社だ。マイケルは1年間、毎日40℃の炎天下で武器をトラックで輸送する過酷で危険な仕事についた。

米兵たちは基地内のペットボトルの水を飲むのに対しマイケルたち派遣労働者は現地の水を飲むよう会社が指示。米軍が使用する劣化ウラン弾の影響で放射能に汚染されている水である可能性が高い。マイケルは10ケ月を過ぎるころ肺に痛みを感じる。だが現地で火葬されてはかなわないと何とか持ちこたえて帰国。約束された年収は支払われたが、ほとんど帰国後の医療費に消えた。白血病の診断。派遣で稼いだ金はあっという間に底をつき、結局家族はイラクへ行く前よりもひどい貧困状態に陥る。現在マイケルはほとんど寝たきり、妻は昼間だけでなく夜もはたらき、トレーラーに引っ越し、政府発行のフードスタンプで食いつないでいるのである。
 ガルフケータリング社(クエートの大手派遣会社)のフィリピンでの求人に応じた、パブロの場合はこうだ。3000ドルの仲介料をはらってクウェートで月収4000ペソ(約1万円)の仕事。実際はイラクでの米軍支援作業。炎天下で週7日働いても残業代ゼロ。夜は他国から来た人とトレーラーに押し込まれる。そこにはフィリピン、中国、バングラディシュ、インド、ネパール、シエラ・レオネ…など最貧国から少しでも高い賃金を求めてきているのである。食事時間は40℃近い炎天下、米軍の残飯を貰う列にならぶ。戦闘地域での仕事にも武器は供給されない。軍事訓練も受けていなければ、危険性すら知らされていない。米兵と同等に「武装勢力」の標的になる。

米兵は武器を持たず戦闘地域に入ると軍法会議にかけられるが、派遣社員の場合、武器なしで戦闘地帯に派遣しても派遣会社は法的責任を問われない。武装勢力の攻撃を受け同僚が次々と死んでゆく。昼間は灼熱の炎天下、夜は零度以下で暖房のないトレーラーやテントで寝かされる。派遣員は何人も衰弱死する。彼らの死はニュースになることさえない。派遣社員は民間人なので戦死者には入らない。政府に公表の義務はない。
 派遣されている労働者の中には2005年のハリケーン・カトリーナの被災者もいるという。2006年に被災者への生活保障をカットしてから急増した。多くはワーキングプアや学歴や保険もあるのに突然の失業や入院で一気に貧困層に転落した中流階級の人たちなのである。
 ハリバートン社は2005年の時点で4万8000人をイラクに派遣しており、うち35%は第3国からの出稼労働者だという。ブラックウォータ社は、米国防総省の最強のボディガードとして名を広め、ついに常時出動態勢にある20機の飛行機と兵士2万人を擁する世界最大の民間軍事基地を備えた会社に成長した。
 戦争の民営化が極限まで進んでいる。基地建設、兵士たちの食事・健康管理ばかりか兵士そのものが傭兵会社に発注されている。スパイ活動(予算の7割が外注)や拷問までもが委託されている。責任の所在があいまになり国家は責任を取ろうしない。戦争請負業界では、イラクはゴールドラッシュとよばれている。


生存権を取り戻すまで声を上げ続ける それが戦争のない社会につながる

 米国民ひとりひとりに個人情報入り磁気カードの所持を義務づける「国民身分証法」が2008年から施行されるという。究極の国民管理・監視に突き進もうとしている。
 個人情報を握る国家と民営化された戦争ビジネスの間で人間は情報として売り買いされ、安い労働力として消費される商品になる。戦死しても名前も出ず数字にもならない。この顔のない人間たちの仕入れ先は社会保障や教育切り捨てにより拡大した貧困層と2極化した社会の下層部だ。地球規模で格差化-貧困が拡大すればするほど戦争ビジネスは活性化する。


 「世界個人情報機関」のスタッフ、パメラは言う。「もはや徴兵制などいらないのです。政府は格差を拡大する政策を次々と打ち出すだけでいい。経済的追い詰められた国民は、イデオロギーのためでなく、生活苦のために黙っていても戦争にいってくれますから。ある者は兵士としてある者は戦争請負会社の派遣社員として巨大な利益を生み出す戦争ビジネスを支えているのです。」


 州兵に登録しイラク戦争に参加した日本人の若者が登場する。彼もまた、学費が出るし実際に戦争に行くことはないだろうと応募した。彼は、イラクでの戦争体験を語った後、9条を持つ国の国民として戦争に参加した事を問われ、なぜ責められなければなければならないのか、と言い返す。「アメリカ社会が僕から奪ったのは25条です。人間らしく生き延びる生存権を失った時、9条の精神より目の前のパンに手が伸びるのは当たり前。狂っているのはそんな風に追い詰める社会の仕組みの方です。」

 この本は、新自由主義政策と侵略戦争への加担でアメリカの後を追う日本に対する警告である筆者は、生存権という人間にとって基本的な権利を取り戻すことが戦争のない社会につながるとして、憲法9条を守る闘いを一歩前へすすめるため、25条をまもる闘いを結びつけることを強く主張する。

2008年4月1日
アメリカの戦争拡大と日本の有事法制に反対する署名事務局

 


アメリカに近づく…?日本も「経済徴兵制」になると言われるワケ

2014-09-04 22:48:33 | シェアー

http://matome.naver.jp/odai/2140478244240465801より部分転載

アメリカに近づく…?日本も「経済徴兵制」になると言われるワケ

日本がアメリカみたいな経済徴兵制に近づく日はくる? 更新日: 2014年07月08日

最近やけに多い、日本が徴兵制になるというウワサ・・

ところで…徴兵制ってなんだっけ?出典blogs.yahoo.co.jp

徴兵制は、国民が軍隊に入ることが義務となる制度のこと。

現在は、日本の自衛隊は、志願制になっている

いま、日本で集団的自衛権が認められたことで「いずれは徴兵制になるのではないか?」という意見が多く見られる

ただ、いまは憲法18条で『何人もその意に反する苦役に服させられない』と定められ、『徴兵制が出来ない根拠』になっている
 

 出典www.47news.jp

集団的自衛権は、自分の国が攻撃されなくても、自国と深い関係にある国が攻撃されれば、実力で阻止できる権利のこと。

これまで憲法9条で許される自衛権は、わが国を防衛するための必要最低限にするべきとされてきた

集団的自衛権の実行を認めると、自衛隊が海外で活動しやすくなるのは確か。

憲法9条を新しい解釈で見直せば、自衛隊が武器をとる危険が高まり、死傷者が出れば、自衛隊への「志願制」での維持は難しくなる

実際、どの国も外国の戦争に混ざると、志願兵が集まらなくなるのを経験してきているんだそう。

そのためアメリカなどは、格差によって拡がる貧困層が、最前線や危険なところに行く形の社会を保っている

出典なんで集団的自衛権のネタで徴兵制の話がこんなに出てくるんですか?自衛隊...

皮肉って、アメリカは経済徴兵制だと言う人もいる。

アメリカは、なんで経済徴兵制って言われるの?

国籍もくれ、学生ローンも肩代わり、給料・手当、年金など。支援制度を充実させ、兵士を経済的に兵士になるように誘導することだそう。

【若者の入隊動機の1位】
大学の学費を軍が肩代わりしてくれるから

貧困から抜け出すため大学にいく。その限られた選択肢として入隊するんだとか。 【若者の入隊動機の2位】
なんと医療保険があるから。
入隊すれば家族も兵士用の病院で無料で治療が受けられる

貧しい地区の高校生は、家族も含めて無保険の家庭が多いらしい。

米国では、大学院に行くための奨学金を目当てに入隊する低所得層出身の学生が多く、実はこうした優秀な人材が、装備のハイテク化を現場で支えてきた

兵器もIT化が進んでいるため、ある程度数学力、読解力などが高くないとうまく武器を扱えない可能性があるみたい。
兵器は、さらにハイテク化していく

ロボット兵器やIT装備などを扱える知的な兵士でなければ、武器の操作すらろくにできなくなるかもしれない。

日本もアメリカの経済徴兵制みたいになる?

貧しさから抜け出すチャンスを求める優秀な若い人材が増えていけば・・・。

若年失業率を比べると、イギリスの18.9%、アメリカの17.6%、日本は9.1%となっている

日本には、もっと多くの若者の失業者や、失業者になる可能性が高い人がいると言われている

日本は、企業や社会にはじき出された人を守るシステムが弱く、家族に頼らなければならない。問題は家庭で解決できない時にどうする

給料をもらうために兵役につく「志願制」は一見自由な選択に見える。しかし、経済的機会に恵まれないから軍隊に入らなければならないのなら、それは「強制」なのではないか?


「貧困層に経済的徴兵制?」

2014-09-04 21:39:27 | 紹介

 ◆9月3日ブログ ⇒ 現役米兵士62万世帯 食糧支援を受ける 退役後も深刻化する貧困

 ◆9月3日ブログ ⇒ お金がないと軍へ…貧困ビジネスが激化戦争で誰がいちばん儲かるのか? 森永卓郎

 ※次回に関連の記事をブログに掲載
 
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安倍改造内閣 中身は変わらぬ「お友達極右政権」

2014-09-04 21:00:25 | シェアー

女性登用といっても安倍思想に近い人材、相変わらずの「お友達極右政権」であることに違いはない。

うち15人が右翼組織(日本会議)に所属。

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http://www.huffingtonpost.jp/2014/09/03/abe-cabinet-reshuffle_n_5762294.htmlより部分転載

「改革」か、それとも「保守」か 第2次安倍改造内閣をめぐる5つの数字

ABE CABINETby時事通信社

第2次安倍改造内閣が9月3日に誕生した。安倍首相は内閣改造によって、自身の政策をどのように進めようとしているのか。ポイントとなる5つの数字を紹介する。

 

 ■「10%」〜消費税率は予定通り引き上げるのか

・・・新しく自民党の幹事長になった谷垣禎一氏は、3日の就任記者会見で消費税率引き上げについて「法律上は消費税を10%に上げるレールが敷いてある。(中略)基本は法律通りに進めることだ」と述べ予定通り引き上げるべきだとの考えを示した。

 

 ■「100%」〜TPP自由化率、農水省に送り込まれた西川公也氏

・・・環太平洋パートナーシップ協定(TPP)推進もこれまでどおり進められるとみられる。・・・TPPでは交渉に参加する各国は、関税を無くす品目の割合を示す「自由化率」を、95%程度で進めるとしていた条件を100%にまで引き上げるとしている。日本が関税維持を求めてきたコメや牛肉・豚肉などの重要5品目を「聖域」としたままでは、交渉は難しいと見られており、どのように広げるのかが今後の議論の対象となる。

 

■「1万5728円35銭」〜株価に影響与える厚生労働相

・・・「積極運用」を唱える(経済通の)塩崎恭久氏が厚生労働相に就いたことで、巨額の年金資金が株式市場に流れ込むとの期待が高まっており、3日の東京株式市場では、日経平均株価の終値は1万5728円35銭と7カ月ぶりの高値をつけた。・・・塩崎氏の辣腕がどのぐらい株価に与えるか注目だ。

 

■「5人」〜女性閣僚登用に識者から「人気取りに終わるな」の声

、「女性の積極活用」を政策に掲げる安倍政権としては、女性の閣僚を目玉にしたいところ・・・安倍政権で規制改革などを議論している産業協力会議の民間委員である竹中平蔵・慶応大教授は、新閣僚の顔ぶれから経験などを理由に、新内閣は次の内閣改造までの一時しのぎの「つなぎ内閣」だと分析。「規制改革までは無理」と評価する。

 

■「78.9%」〜閣僚19人のうち15人が保守派

・・・イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙は今回の内閣改造について、今回発表された閣僚のほとんどが夫婦別性反対や、男系天皇の正当性を主張する保守系団体「日本会議」のメンバーだと指摘。なかでも目立つのは、靖国神社を参拝するグループで、せっかく女性5人を登用しても、伝統主義的・国粋主義的理念を推進すると批判した。

 

・・・今回の内閣改造のなかで、代理人を通しての参拝を含めて、靖国神社への参拝を報じられているのは19人中15人。

 


【メッセージ】 『何もできないような病の体であっても』 保田広輝(やすだ ひろき)

2014-09-04 19:24:22 | 紹介

http://www.christ-hour.com/archive/view_detail.php?select_id=347

2014年 8月24日の説教

 『何もできないような病の体であっても』

姉妹サイト ふくいんのなみ保田広輝 長丘教会 会員

保田広輝 (やすだひろき)    日本キリスト改革派 長丘教会 会員

兵庫県神戸市在住の23歳。クリスチャン。デュシェンヌ型筋ジストロフィー患者で電動車椅子とNPPVの人工呼吸器を使用

35歳までの余命宣言を受けている

 

聖書の言葉

ローマの信徒への手紙 12章1節

こういうわけで、兄弟たち、神の憐れみによってあなたがたに勧めます。自分の体を神に喜ばれる聖なる生けるいけにえとして献げなさい。これこそ、あなたがたのなすべき礼拝です。

 

保田広輝によるメッセージ

先週はイエス様の憐れみについてお話しました。イエス様は私たち人間を罪と死から救うために、十字架でご自身をいけにえとして献げられました。イエス様のおかげで、私たちイエス様を信じるクリスチャンは、信仰により救われ、罪が赦され、復活の命が与えられ、聖霊が心に住まわれ、神の子とされました。イエス様にあって数々の祝福が与えられました。

私たちにはこのような憐れみが与えられて、神様の愛を受けているのですから、神様の愛にかりたてられて、自分自身を神様に献げて生きることが大切です。今日の御言葉にある「なすべき礼拝」の「なすべき」という言葉は、原文ギリシア語では「ロギコス」です。「ロギコス」は「霊的な」という意味です。聖書で「霊的な」と言う場合、それは「神の言葉に基づいた」という意味です。つまり、礼拝とは、神様の言葉に従って自分を献げることなのです。

神様に自分を献げて生きることは神礼拝そのものです。クリスチャンは心だけでなく、自分の身体も、自分の全てを神様に献げます。今日の御言葉にある「聖なる」とは、神様のために取っておかれたという意味ですが、クリスチャンにとって毎日の生活のすべては神様のために取っておかれるものなのです。私たちはこの世に生きていながらも、この世に属するのではなく、イエス様によって救われた神様の子どもとして、新しい人生を生き始めています。だからこそ、聖書を読むたびに、祈るたびに、教会の礼拝に集うたびに、神様の子どもとしての生き方を繰り返し示されながら、私たちの暮らす社会で毎日の生活のすべてを神様に献げるのです。学校にあっても、職場にあっても、家庭にあっても、病院で入院していても、私たちは神様のものなのです。毎日の生活が礼拝だと思って神様のご栄光をあらわしていくのです。

旧約聖書時代の動物のいけにえは、イエス様がご自身を献げられたことによって、永遠に不要になりました。しかし、自分を献げる生けるいけにえは、常に求められています。いけにえが神様に喜ばれるためには、神様の御心に一致したものでなければなりません。クリスチャンは聖書の御言葉と祈りを通して心を新たにでき、毎日の生活が神様の御心と一致して、自分が神様に喜ばれる聖なる生けるいけにえとなるように、生き方が変えられていきます。

私は御言葉と祈りを通して生き方が変えられていると感じています。私はデュシェンヌ型筋ジストロフィーという難病を抱えています。この病は遺伝子の異常により、次第に全身の筋肉が壊れてゆく進行性の難病で、現代の医学では治療法がありません。今の身体の状態は、人工呼吸器がなければ命を維持できません。自由に身体を動かせるのは手の指だけです。余命は残り12年です。病の進行で、ますます身体が動かなくなって、以前は当たり前のようにできていた事ができなくなります。それが死ぬまで繰り返されます。だから、これから先、ますます身体が動かなくなることや早く死ぬことが恐くてたまらなくなります。

だから、数年前までは病の自分が嫌いでした。こんな何もできないような病の身体で、毎日の生活を通して神様のご栄光をあらわしていくことは無理だと思っていたんです。早く死へと向かう自分の病が永久に変わらない欠陥だと思っていたんです。私は病の進行でますます身体が動かなくなることや早く死ぬことが恐くて、いつも思い煩っていましたが、自分の意志と人生を明け渡して、自分の体を神様に喜ばれる聖なる生けるいけにえとして献げるんだ、できなくなったことや動かなくなった体の部分は神様にいけにえとして献げたものなんだ、と思うようになったら、思い煩いから解放されました。

そして、いつも御言葉と祈りを味わい、神様との交わりがますます親密になることで、新しい自分になって、神様のご栄光をあらわす者になっていけるのだから、何もできないような病の身体であっても、毎日の生活を通して神様のご栄光をあらわしていけるんだと思えるように変えられました。歳を重なるごとに、私の病の体は死に向かって衰えていくけど、天国で完全な神の子どもになる未来を目指して、霊的には栄光から栄光へと造り変えられていることに、感謝を献げられるように変えられました。私にとって神様に自分を献げて生きることは本当に喜びなんですね。

今日の御言葉をもう一度お読みします。「こういうわけで、兄弟たち、神の憐れみによってあなたがたに勧めます。自分の体を神に喜ばれる聖なる生けるいけにえとして献げなさい。これこそ、あなたがたのなすべき礼拝です。」

では最後に「生きた供え物として」という賛美をお聞きください。

♪讃美歌