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北星学園大学:元朝日記者雇用継続~暴力的な脅迫を許さないとの議論の広がりが抑止力に

2014-12-19 03:15:54 | 紹介

☆北星学園大学:元朝日新聞社記者 雇用継続

学長は記者会見で、「暴力的な脅迫を許さないとする議論が広がり、社会的合意が形成されつつある。これが、脅迫という卑劣な行為に対する抑止力になってきている」と


金 煕哲さんのフェイスブックより
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北海道の私立大学・北星学園大学(札幌市厚別区)が、右翼などから、従軍慰安婦問題に関わった「元朝日新聞記者の非常勤講師を辞めさせないと、学生に危害を加える」と脅迫を受けていた問題で、田村信一学長が17日に記者会見を開いた。

学長はその席で、「暴力的な脅迫を許さないとする議論が広がり、社会的合意が形成されつつある。これが、脅迫という卑劣な行為に対する抑止力になってきている」と述べ、元朝日新聞記者・植村隆氏を、本年度限りで雇い止めにするとしていた意向を撤回、来年度も雇用を継続することを正式に明らかにした。

この問題では12月3日、ニューヨーク・タイムズ(NYT)東京支局長のマーティン・ファックラー記者が植村隆氏をインタビュー、同氏が右翼勢力から不当な攻撃を受けていることを踏まえ、「日本の右翼が戦史を書き換え、新聞を攻撃する」という見出しの長文の分析記事を掲載、これを受けて翌日の4日、NYTは「日本の歴史のごまかし」という見出しの社説で、日本国内での朝日新聞に対する批判は、「日本の右翼による新聞攻撃」だと断じる記事を載せた。

韓国や中国のメディアも、おおむねNYTの論調と軌を一にしたことで、この問題が国際問題化したことも、日本国内の良心の声に大きく加勢したようだ。

それにしても、大学によると、大学への脅迫や抗議は、5月から11月半ばだけでもおおよそ2千件に上った模様だし、植村隆さん本人はもちろんのこと、家族への脅迫、特に娘さんへの「自殺をしなさい」と言う脅迫などを見るにつけ、病んでいる日本社会の裏の一面が、おどろおどろしく、暗闇く薄汚い。




沖縄の人々が辺野古への移設を支持しないなら再考しなければならないージョセフ・ナイ元米国防次官補

2014-12-19 02:58:12 | シェアー

 「沖縄の人々が辺野古への移設を支持するなら私も支持するが、支持しないなら我々は再考しなければならない」
ージョセフ・ナイ元米国防次官補(琉球新報 12.09)

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沖縄タイムス

http://www.okinawatimes.co.jp/article.php?id=95243より転載

社説[「辺野古」新局面]確かに山が動き始めた

2014年12月18日 

 県知事選と衆院選沖縄選挙区で米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対する陣営が完勝したことは、衝撃波となって各方面に広がった。早くも局面打開を模索する新しい動きが表面化している。

 翁長雄志新知事は、就任後初めての県議会で「辺野古に新基地を造らせないということを私の県政運営の柱にしていく」と語った。

 現行案に対してこれほど明確に拒否の姿勢を示した知事はいない。沖縄選挙区で当選した4人の議員が国会で知事を支える。この構図ができたのも初めてだ。

 安倍晋三首相や沖縄基地負担軽減担当相を兼務する菅義偉官房長官は衆院選期間中、一度も沖縄に入らなかった。9月の所信表明で「沖縄の方々の気持ちに寄り添う」といいながら、選挙応援にも入れなかったのである。

 共同通信社が衆院選後の15、16両日に実施した全国緊急電話世論調査によると、辺野古移設について「計画をいったん停止」と答えた人が35・0%、「白紙に戻す」が28・7%だった。

 移設賛成が反対を大きく上回っていた昨年12月の調査に比べ、世論に変化が生じていることがうかがえる。

 対日政策に影響力を持つジョセフ・ナイ元米国防次官補は今月初め、朝日新聞の取材に答え、次のように語っている。

 「沖縄の人々が辺野古への移設を支持するなら私も支持するが、支持しないなら我々は再考しなければならない」(8日付朝日新聞)。この踏み込んだ発言が、知事選後だという点に注目したい。

    ■    ■

 米国は民意に敏感である。普段、民主主義の大切さを説いているだけでなく、敵意に囲まれた基地は機能しない、ということを経験で知っているからだ。

 ナイ氏は、中国の弾道ミサイル能力が向上したことで沖縄の基地がぜい弱になり、基地を沖縄に集中させることがリスクになりつつある、との見方を示したという。

 東アジアの安全保障環境も沖縄の民意も全国世論も、大きく変わってきているのである。

 選挙で翁長陣営と争った県議会野党も、初心に帰ってこの変化に正面から向き合ってもらいたい。

 この期に及んで辺野古移設を強硬に進めようとすれば、民意の猛反発は避けられず、島ぐるみの反対運動に発展するのは確実だ。辺野古埋め立てを強行するよりも計画を見直すほうが、普天間の危険性除去は早まる。

    ■    ■

 仲井真弘多前知事が、埋め立て承認以前に、何度も強調していたのは、そういうことである。

 問題をリセットする時がきた。

 政府が「普天間の固定化」という脅し文句を使うのなら、自民党の国会議員や自民党県連は、堂々と反論すべきである。そういう役人は「無能」であり「一種の堕落」だ、と。仲井真前知事がそう言って反論した時期があったことを県民は忘れていない。

 県議会と県民が結束して政府にあたることが大切だ。



真宗大谷派 『不戦決議』

2014-12-19 02:18:49 | ご案内
Naohisa EndoFB憲法九条の会                            真宗大谷派『不戦決議』
 
 


 

私たちは過去において、大日本帝国の名の下に、世界の人々、とりわけアジア諸国の人たちに、言語に絶する惨禍をもたらし、佛法の名を借りて、将来ある青年たちを死地に赴かしめ、言いしれぬ苦難を強いたことを、深く懺悔するものであります。

この懺悔の思念を旨として、私たちは、人間のいのちを軽んじ、他を抹殺して愧じることのない、すべての戦闘行為を否定し、さらに賜った信心の智慧をもって、宗門が犯した罪責を検証し、これらの惨事を未然に防止する努力を惜しまないことを決意して、ここに 「不戦の誓い」を表明するものであります。

さらに私たちは、かつて安穏なる世を願い、四海同朋への慈しみを説いたために、非国民とされ、宗門からさえ見捨てられた人々に対し、心からなる許しを乞うとともに、今日世界各地において不戦平和への願いに促されて、その実現に身を捧げておられるあらゆる心ある人々に、深甚の敬意を表するものであります。

私たちは、民族・言語・文化・宗教の相違を越えて、戦争を許さない、豊かで平和な国際社会の建設にむけて、すべての人々と歩みをともにすることを誓うものであります。
右、決議いたします。

1995年6月13日                   
真宗大谷派 宗議会議員一同
1995年6月15日                   
真宗大谷派 参議会議員一同




戦争をしないために、何が必要なのか 「森永卓郎の戦争と平和講座」

2014-12-19 02:18:16 | ご案内

by志葉 玲


http://www.magazine9.jp/article/morinaga/16791/より転載

2014年12月10日up

森永卓郎の戦争と平和講座

森永卓郎

第65回戦争をしないために、何が必要なのか

 私は経済が専門なので、ここでは経済の問題を書くべきだと思う。特に総選挙でアベノミクスが最大の争点になっているのだから、その評価をきちんとすべきだ。ただ、私は今回、そのことを書きたいのではない。アベノミクスの評価は単純だ。第一の矢と第二の矢の効果は確実に存在した。景気動向指数をみると、野田内閣が解散総選挙を宣言した一昨年11月以降、ほぼ一直線で上昇した。円安と株高が進んだだけではないかという批判もあるが、雇用情勢は大きく改善したから、庶民にとってもメリットはあった。
 問題は、景気動向指数が今年3月にピークをつけ、その後坂道を転げ落ちるように景気が悪化していることだ。もちろん、景気悪化のタイミングは消費税率の引き上げだから、犯人は消費税引き上げ以外に考えられない。消費税引き上げに伴う大きな物価上昇が実質所得を減らし、消費を減退させたのだ。だから、アベノミクスが失敗したのではなく、消費税の引き上げが失敗だったのだ。ただ、消費税については、少なくとも2017年3月までは再引き上げをしないということで、意見の対立はない。つまり、そこで争っても、ほとんど意味がないのだ。
 本当に議論を進めなければならないのは、「戦後レジームの転換」についてだ。

 俳優の菅原文太さんが亡くなった。私たちの世代にとっては、『仁義なき戦い』や『トラック野郎』などに主演した映画スターだが、菅原さんは、もうひとつ、平和活動家としての顔も持っていた。特に東日本大震災をきっかけとして、映画俳優を引退してからは、積極的に活動していた。沖縄県知事選挙のときにも、辺野古移設反対を掲げて、街頭に立った。そのときに菅原さんは、こんなことを言っていた。「政府の役割は2つあると考えています。ひとつは、国民を飢えさせないこと。そして、一番大切なことは、戦争をしないことです」。
 菅原文太さんは、当たり前のことを言っていただけだが、実はこれが当たり前でなくなってきているのが、いまの日本だ。
 一番の問題は、戦後70年近く経つと、人々の記憶から戦争の悲惨さが消えていくことだ。菅原さんは昭和8年生まれだから、直接戦争を経験している。しかし、そうした人たちが、いま日本から次々に姿を消していっているのだ。そうなると、社会全体としても、戦争への危機感が薄らいでいく。危機感が薄らげば、威勢のよいことを言う人が、支持を広げていくのだ。
 経済の世界でも同じことが起きている。この200年間で、世界では70回以上のバブルが発生している。バブルは必ず崩壊し、その後に残されるのは、荒廃した経済だ。2008年9月に発生したリーマンショックも、いまから振り返れば、アメリカの投資銀行が中心となって作り出した巨大な金融バブルの崩壊だった。それから数年間、世界経済は立ち上がれなかった。
 世界で最初のバブルと呼ばれているのが、1630年代にオランダで起きたチューリップの球根バブルだった。球根への投機が始まり、やがてその値段は数千万円に達した。人々は利益を求めて、銀行から借金して球根に投資し続けた。そしてバブルが崩壊し、人々のもとには価値を失った球根と莫大な借金が残った。オランダに破産者があふれたのだ。それでも、人々は反省しない。100年後、オランダではヒヤシンスバブルが発生する。世代が入れ替わって、記憶が薄れてしまったからだ。
 それでも、球根にとんでもない値段がついていれば、普通はおかしいと思うはずなのだが、そうはならない。バブル研究に生涯を投じたガルブレイスは、その理由を、人々がユーフォリア(陶酔的熱狂)に陥るからだと分析している。一度、ユーフォリアに陥ると、人間は、なかなか他人の声に耳を貸さなくなる。「いまはバブルですよ」という警告が、耳に届かないのだ。だから、どんどん極端なところに走ってしまう。
 それでは、ユーフォリアに陥らないためには、何をすればよいのか。ガルブレイスは、バブルが発生する前提条件の一つに、「情報の遮断」を挙げている。普通の人がみて、普通におかしいことは、おかしいのだと伝えることができれば、バブルの発生は防げるのだ。


 
 不戦の誓いも同じだ。冷静に考えたら、戦争をしてはならないという主張に反対する人は誰もいないだろう。右派の人、主戦論を唱える人も、一様に平和の大切さを口にする。ただ、平和の守り方に意見の違いがあり、明らかに誤った議論もなされている。だから、どのようにすれば平和を守ることができるのかを、常に考え、話し合い続けることが、平和への王道なのだ。
 そこで、日本の平和を守るために、いまどうしたらよいのかを冷静に考えてみよう。
 太平洋戦争のあとの日本は、他国に侵略されることも、他国を侵略することもなく、平和が続いた。平和憲法のおかげで他国を侵略することは許されなかったし、日米安全保障条約のおかげかは断言できないが、日本を侵略する国はなかった。平和憲法+日米安全保障条約という戦後のシステムは、結果的には、有効に機能してきたと言えるだろう。
 ところが、最近になって「戦後レジームの転換」を主張する人たちが増えてきた。戦後の安全保障の枠組みを変えようというのだ。もし彼らが「もう戦後70年も経つのだから、米軍に守ってもらうようなことは止めて、自分たちの軍隊を持って日本を守ろう」と主張するなら、それは一つの見識だ。もちろん私はそうした考えに賛成しないが、筋道は通っている。
 しかし、戦後レジーム転換派は、そんなことは考えていない。彼らは、日米同盟を深化させようと言うのだ。もっと露骨に言えば、日本の対米従属を一層強め、自衛隊を米軍の支配下に置くことによって、軍事力を強化しようというのだ。誰も明言はしないが、彼らの仮想敵国は中国だ。日米合同の戦力で、中国を封じ込めたいと考えているのだ。
 戦後レジーム転換派は、戦前に日本が中国を侵略した事実を認めない。だから、たとえ閣僚になったとしても、A級戦犯が合祀されている靖国神社に参拝する。戦争指導者たちも、国を守るために戦った立派な英雄と考えているからだ。
 私には、彼らがなぜそこまで中国を嫌うのかまったく理解できないのだが、その問題は別にしても、彼らの「米軍と手を握って、中国を孤立させる」という戦略は、あまりに筋が悪すぎると思う。

 まず、そもそもアメリカが、中国と対決してまで、日本を守ることはなくなったのだ。戦後、アメリカの中国に対する防衛ラインは、日本列島だった。共産主義の拡大を防ぐため、日本が反共防衛の砦だったのだ。だから、日本に手を出せば、米軍は中国に宣戦布告をしただろう。ところが、中国自身が資本主義を大幅に採り入れて変質したため、反共防衛の必要性はなくなった。だから、アメリカは防衛ラインを日本列島から、グアムに下げることにした。
 それなら沖縄の基地を日本に返還して、グアム以東で再編成すればよいと思われるかもしれない。しかし、そうはいかない。沖縄は、米軍がアジアや中東に戦争を仕掛けるときに、実に便利な前線基地だからだ。しかも、その前線基地は、人件費を除けば、すべて日本政府が経費を負担してくれる。そんなおいしい利権をみすみす手放す必要はないのだ。
 それどころか、アメリカはさらなる負担を日本に求めてきている。沖縄の米軍の一部をグアムに撤退させるための経費の一部として、日本政府は3000億円以上の経費を負担する。それに加えて、辺野古の海を埋め立てて、米軍に新たな最新鋭の大型軍事基地をプレゼントするのだ。
 何故、そこまでしないといけないのか。それは、戦後レジーム転換派が、日本が再び中国と戦争になったとき、アメリカの協力なしでは、とても中国を打ち破ることができないと考えているからだろう。
 しかし、アメリカは、日本と一蓮托生だとは、まったく考えていない。アメリカはすでに中国と相互不可侵の関係を結ぼうとしている。先日のAPECで、習近平国家主席が、安倍総理とは数十分の会談しかしなかったのに、オバマ大統領は国賓待遇で迎えて、8時間にもわたる会談をしたのは、その証拠だ。
 そうしたなかで、日本がアメリカの威を借りて、中国の神経を逆なでするようなことを続けたら、戦争のきっかけを作り、国民の生命と財産を危険にさらすだけだということは、子どもでも分かるだろう。安倍総理が靖国神社を参拝した時、アメリカ政府が「失望した」という声明を発表したのも、中国を不用意に刺激するなという強烈なメッセージだった。アメリカは、日本が反中の姿勢を示すことを快く思っていないのだ。
 にもかかわらず、戦後レジーム転換派は、反中親米を貫く。彼らの中国嫌いという個人的感情のために、あるいは中国侵略を認めたくないという個人的な歴史観のために、日本の平和が脅かされているのだ。
 そしてついに彼らは行動に出た。憲法に明確に違反する集団的自衛権を行使しようというのだ。集団的自衛権の行使を容認したら何が起きるのか。それは、アメリカが引き起こす戦争に日本が巻き込まれるようになるということだ。
 先日、独立総合研究所の青山繁晴氏とテレビで話す機会があった。私とは安全保障観が真逆の青山氏とは、事実認識から違うのだと思っていたのだが、共通点がたくさんあって、驚いた。世界で最も軍事的に凶暴で喧嘩っ早い国はアメリカであるということと、そのアメリカは、正義のために戦争をするのではなく、利権のために戦争をするということ、さらに集団的自衛権の行使を容認したら、アメリカから自衛隊の参戦を要請してくるだろうという事実認識は、ほとんど一緒だったのだ。
 判断の違いは、その後の展開だ。青山氏は、日本は独立国なのだから、アメリカから大義のない戦争への参戦要請が来たら、堂々と拒否すればよいという。私は、日本政府が拒否できない、あるいはしないのだと思う。
 理由は二つある。一つは、日本がアメリカに対して、圧倒的に弱いということだ。これまでのさまざまな日米交渉のなかで、私は日本がアメリカに勝ったケースを一つも知らない。だから、参戦要請を断ることなどできないと思う。いままで断れたのは、集団的自衛権の行使ができないという歯止めがあったからだ。それを失えば、もう参戦を断る口実がなくなってしまう。
 もう一つの理由は、もともと、戦後レジーム転換派は、アメリカの参戦要請を断る気などないということだ。彼らのやりたいことは、反中だ。日本の2倍以上の軍事費を持つ中国を抑え込もうと思ったら、どうしても米軍の力添えが必要になる。だから、アメリカに逆らうことなど考えられないのだ。
 もちろん、中国を軍事力で抑え込もうなどということは、妄想に過ぎない。そうした考え方自体が戦争を誘発する。
 日本の平和を守るために必要なことは、まず、戦争にならないように近隣諸国と良好な関係を保つ外交努力の地道な積み重ねであり、それ以上に大切なのは、戦争の悲惨さを伝え続け、ユーフォリアに陥っている国民に「分かりやすい主戦論」がいかに危険かを説き続けることだろう。

もりなが たくろう:経済アナリスト/1957年生まれ。東京都出身。東京大学経済学部卒業。日本専売公社、経済企画庁などを経て、現在、独協大学経済学部教授。著書に『年収300万円時代を生き抜く経済学』(光文社)、『年収120万円時代』(あ・うん)、『年収崩壊』(角川SSC新書)など多数。最新刊『こんなニッポンに誰がした』(大月書店)では、金融資本主義の終焉を予測し新しい社会のグランドデザインを提案している。テレビ番組のコメンテーターとしても活躍中。



自民党の改憲草案=首相が緊急事態を宣言すれば、憲法を停止する形で事実上の独裁が可能になる

2014-12-19 02:00:50 | シェアー

自民党の改憲草案では、首相が緊急事態を宣言すれば、憲法を停止する形で事実上の独裁が可能になる。

東京新聞 TOKYO WEB

http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2014121802000160.htmlより転載

<衆院選を終えて>「カネ優先」見直す時 思想家・内田 樹氏

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 有権者の二人に一人が棄権した衆院選。結果は自民党が二百九十議席を獲得し、「一強」の時代が続くことになった。私たちはこの時代をどのように受け止めて生きていくべきなのか、識者に意見を聞いた。

 今回の選挙で有権者が示した判断は、判断しないということでした。ある人は経済が悪くなったと言い、自民党は良くなっていると言う。どちらが本当か分からない。だから、判断を保留した。いずれ判断するけれど、今は中腰(ちゅうごし)の姿勢で見ているという感じです。

 結局、有権者数を分母にした全国の比例代表の得票数でみれば自民党は千七百七十万票で、17%にすぎない。それを圧勝というのはおかしい。戦後最低の投票率も「安倍政権の結果が出るまでもうちょっと待とう」と大きな変化を望まなかったせい。世の中を変えたいと思えば、若い人たちも投票するわけですから。

 自民党は「争点はアベノミクス」と言った。要は経済成長すればいいんでしょう、と。有権者の多くも最優先事はカネだと同意した。ならば結論は簡単で、国を株式会社みたいに管理運営すればカネがもうかるようになりますよ-となる。

 国を株式会社化するのに民主主義は邪魔です。独断で早く決めて、早く結果が出るのが好ましい。株式会社のサラリーマンのそんなマインドが国民に共有されてきている。それがトップダウン好きの安倍さんとマッチして急速に強権的な政治が定着してきています。

 いわばワンマン社長のような安倍さんですが、その政権は戦後最も危険だと思います。自民党の改憲草案では、首相が緊急事態を宣言すれば、憲法を停止する形で事実上の独裁が可能になる。集団的自衛権も米国が要請すればですが、中東で米軍の戦闘行為の下請けのようなことをやる。人を殺したり殺されたりして、結果的に国内外でテロの標的になって民間人が殺傷されるということは起こりえます。

 日本の戦後七十年の民主主義の政体を根本から変える問題です。安倍さんはそれを語らず争点隠しをした。逆から言えば、何をしようとしているか分かった段階で国民の支持が失われるのを彼らは知っている。最後までウソをつき、だましながら、ひそかに実現できるのか。安倍政権が抱える最大のジレンマです。

 私たちにできるのは、カネ以外のことを考えてみることです。カネもうけを考えると、原発を動かすとか、武器輸出しようとか、戦争やろうとか、カジノ呼ぼうという話になる。かつて皇軍無敵と言い続けたように経済成長を追い求めるプランもあるけれど、経済成長なしでも生きていけるプランBも用意しないと。

 日本国は倒産しましたのであとは勝手に生きてください、とはいきません。「grow(グロウ) or(オア) die(ダイ)(成長か死か)」じゃ駄目なんです。経済成長なき世界での「how(ハウ) to    (トゥ) live(リブ)(どう生きるか)」を問うべきときではないでしょうか。

  (聞き手・辻渕智之)

<うちだ・たつる> 神戸女学院大名誉教授。思想家、武道家。専門はフランス現代思想。近著に「街場の戦争論」。東京都大田区出身。64歳。