「画期的な一歩です」。

京都朝鮮第一初級学校(現・京都朝鮮初級学校)の関係者はほっとした表情を浮かべた。「在日特権を許さない市民の会」(在特会)の会員らによるヘイトスピーチ(差別的憎悪表現)をめぐる訴訟で、在特会側の上告を退けた最高裁決定。絶えないヘイトスピーチの歯止めになり得る司法の判断に、関係者は期待を寄せている。

 決定を受け、京都朝鮮初級学校を運営する京都朝鮮学園の柴松枝(シソンジ)理事(72)らは10日夕、京都市内で急きょ記者会見を開いた。柴理事は「全国の朝鮮学校を守る重要な足がかりになることが期待されます」と述べて、こう続けた。「子供たちの明るい笑顔を取り戻すために努めてきました。民族的誇りを育み、社会の一員として成長していく環境を守っていきたい」

 確定した7月の大阪高裁判決によると、在特会員らは2009年12月~10年3月、同校周辺で3回演説。「犯罪者に教育された子ども」「朝鮮半島へ帰れ」などと訴えた。高裁判決は「児童が人種差別という不条理な行為で多大な精神的被害を受けた」と認めた。

 会見には、演説時に長女が幼稚園の年長だった保護者の金秀煥(キムスファン)さん(38)も参加。「ヘイトスピーチはいけない、という社会風土がつくられてほしい」と語った。長女が小学生だった朴貞任(パクチョンイム)さん(46)は「日本の良心が私たちの民族を守ってくれた。感謝です」と喜んだ。