貴方は一切が自分自身の為になる様に、行動している。
学問をするにしても、自分の為だ。
運動をするにしても、自分の為だ。
旅行をするのも、自分の為だ。
朝早く起きて労働するのも、自分の為だ。
夜寝るのも、自分の為だ。
子供の面倒を見る事さえ、結局は自分の為なのだ。
自分は自分の為に生きている…。
それは素晴らしい事なのだ。
そこで、その自分の為に生きる人生を、もう一つ深めて生きる為には、自分の為に行動している、その根元的な「行為者」は決して自分ではなく、宇宙の生成力、つまり天徳の力によるという事を発見する事なのだ。
天徳は、私がオギャーと生まれてから今日まで、空気を鼻や口を通して肺までしっかり引き入れ、また間段なく体外へ放出してくれた。
天徳は「自分の為」に尽力してくれた。
「徳を以て徳に報いん」と、孔子は言う。
人間も宇宙の心の様に「自分の為」にだけ生きるのではなく、「人の為」にも生きる事だ。
自分の栄達出世の為、意欲的に仕事に取り組んでいる姿は、その努力という点だけでも、人として大いに評価されていい。
注意しなくてはならない点は、地位を得たり、出世したりすると、責任がぐーんと重くなるという事だ。
廻りの人の信頼を裏切らない為に、ますます「自分がやらなければ…」と、自分のカラの中に入る。
その時妻への愛も、子供たちへの情も、友への思いやりも、すっかり忘れてしまう。
そうなると、出世したところで、一番大切な愛を失う。
天徳の心とは人を愛する情である。
妻や子や兄弟や友を無視して、生きがいはない。