思う様にならない。行き詰まる。
何をしていいか分からない。
こんな時に、悩みやストレスの重みに耐えられないと、「ああ、もうやめた」となる。
一休(1394~1481)さんは、この世を去る時、弟子を集めて「もし困った時が有ったら、この箱を開けなさい。ただし、本当に困った時にだぞ」と言って、風呂敷に包んだ大きな箱を置いていった。
弟子たちは、それから数年みんなで力を合わせて頑張った。
が、どうにもこうにも、寺の運営が出来なくなったので、その箱を開ける事にした。
その箱を開けると、また箱がある。
それを開けるとまた小さな箱がある。
いくつもいくつも開けていくと、最後にマッチ箱ぐらいの箱があった。
この中にどんな宝が入っているのか、弟子たちが恐る恐る小箱を開けると、クルクル丸めた小さな紙がある。
何だこれはと、紙をめくる。
「何とかなるよ」と書いてあった。
人生はどんな事があっても、何とかなる。
私は40歳の時に名門校を退職し、「心の教育」の為に独立し「道塾」を創設した。
誰もが、何故そんな馬鹿げた事をするのか、と笑った。
が、その通りだった。
「心の塾」などへ月謝を出して来る人は、いるはすがない。
家は借家だ。家賃が払えない。
米が買えない。
月に18万の赤字だ。
退職前は43万円も貰っていたのに…。
もうダメだ、と毎朝思った。
生まれて初めて借金をした。
開塾して三年間は玄米で一日二食にした。
ある日「なるようになれ」と思った。
いままで「失わんことを恐れ」ていたから、悩み苦しんでいたのだ。
「つぶれてもいい」と思ってやっていたら、いまは何とかなっている。