古里の暮らしの中で

私の住んでいる地域の文化を紹介する

みんなのおかげで

2010-08-03 20:31:10 | 乳がん
先日のこと、同じ日に同じ言葉を2度聞いた。「みんなのおかげで」と。

以前、事情があって金に困っていた友人が、悪いことは重なるもので
ご主人が病気になり、その上息子まで入院する事態が起った。
ようやく、その状態から抜け出すことができたようで、
その日、訪ねた私に友人は「みんなのおかげで」今、生きていると言った。

同じ日の夜、運動がてら私が訪ねた知り合いは何年前からかわからないほど長期間、うつ病で引きこもっている。

「寂しい」と言いながら「人に会いたくない」と言っておられ、じゃあどうすればいいんだろうと思い、
うつ病から回復した私の同級生の友人に聞いてみた。
そうしたら、時々声を掛けてくれるのがいい と教えてくれた。

そうだ、がんになった当時の私の心境と同じだ と思った。
「どうですか、どうですか」とうるさいのもいやだが、「どう声をかけていいかわからない」と
結局何の声もかけてくれなかった友人には、寂しさも感じたことを思い出した。
それからは、何かのついでがあって家の前を通るときは、訪ねて行き、出て来られなかったら
「また覗くからね」と言って帰り、出てこられたら簡単な世間話をして帰るようにした。

その夜の知り合いは、見違えるほど良くなって、何年ぶりに笑顔を見せてくださった。
その方が「みんなのおかげで」ようやく元気になったと言われ、本当にうれしかった。
「お互いに無理をしないようにしようね」とその家をあとにした。

帰り道、いろいろ思った。
私も「みんなのおかげで」と思っていることがたくさんある。

抗がん剤治療の副作用で何も食べられず、すいかばかり口にしていた。
店頭からすいかが消えた頃、すいかを作っている友人に電話したら「もっと早く言えばいいのに」と言って
大きな美味しいすいかを送ってくれた。
近所の奥さんは、「あそこの家の畑にほったらかしにしてあるすいかがあるから」とその家に行って
私のためにすいかをもらってきてくださった。

近所の仲良しは、「主人が貴女に元気をだしてほしいといってこと付けたよ。よその女の人にこんなことをするなんて
初めてのことだし心配だわ」と笑いながら、梅をレンゲの蜂蜜に漬けた瓶を届けてくださった。
今年はレンゲの蜂蜜がなくて、ようやく手に入れられたものだったと聞いた。

まだまだ、思い出せばいろいろある。
「みんなのおかげで」その日、私はそれを声に出して言ってみた。
あらためて私もその思いを強くした一日だった。