私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

頌歌 ―不死なる幼きころに 五連目①

2013-11-07 00:17:06 | 英詩・訳の途中経過
Ode:
Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood

William Wordsworth

V [ll.59-66]

Our birth is but a sleep and a forgetting:
The Soul that rises with us, our life's Star,
Hath had elsewhere its setting,
And cometh from afar:
Not in entire forgetfulness,
And not in utter nakedness,
But trailing clouds of glory do we come
From God, who is our home:


頌歌 ―不死なる幼きころに

ウィリアム・ワーズワース

V[59-66行目]

生まれてくるとは眠ること そして忘れてくることだ
吾らとともに明けそめて 生をみちびくたましいは
此処ならぬ 彼方できざし
来たるもの
すべてを忘れ果てはせず
なにもまとわぬことはなく
輝きの 雲のもすそをたなびかせ 吾らの来たる
みなもとは 神のみもとのほかになく




 ※60行目「生」はアレとお読みください。吾。在れ。生。我が最愛の単語その①。
 そしてやはりGODか…。この語だけは神としか訳しようがありません。
 日本の八百万の神とは根本的に違う概念なのだから「神」と訳すのはおかしい! と独りさみしく息巻いたこともありましたが、考えてみますと、英語でもギリシア・ローマの八百万の神々はgods and goddessなのですよね。大文字のGODも初めから唯一無二の抽象概念だったわけではなく、きっと一柱の天空神だったのでしょう。光に充ちた虚ろな天にGODは独り坐したもう。……具象化するとあまりにもさびしい。聖母が被昇天するわけです。

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