大幣を振って豊作と安全を祈願するおとう
日高平野に春の訪れを告げると言われる県無形文化財指定の「おとう祭」は10日、御坊市塩屋町南塩屋の須佐神社(小竹伸和宮司)で執り行われた。時折雪がちらつき、風も強く、寒い中での祭事だったが、多くの見物人やアマチュアカメラマンらが訪れ、祭りを盛り上げた。
主役のおとうは、同神社氏子の長男が務める。今年のおとうは、松山幸世君(10)=南塩屋=、佐藤歩武君(8)=日高川町江川=、中尻橙真君(5)=岩出市畑毛=の3人で、おとうの該当者がいない森岡区(山田裕司区長)と切山区(新田秀彦区長)は区長が代行した。
御祭神の武塔天神(スサノオノミコト)のオロチ退治にゆかりのある祭りとしても知られる。
3人のおとうは、紋付きに裃、はかま姿で頭に冠をいただき、地に足をつけてはならないとの習わしで一人ずつ駕籠に乗り参道と太刀持ちを従えて社務所へ。社務所で修祓の儀、本殿下で長床の儀、本殿脇の庭に青竹で立てた幔幕の中で執り行ったあと、本殿で、後方に座っている世話人総代が三方の洗米を頭上高くまくなか、おとう一人ひとりが小竹宮司から受けた2メートル近い大幣を、儀式にのっとり左右に3度振り、神意を慰めて氏子たちの豊作と安全を祈願した。
祭式のあと、来年度の当番役が神殿に供えている椎の木に挟んだ大鏡餅を各地区氏子に配った。このあと、広場で厄除けの餅まきを行い、多くの地元住民らでにぎわった。
同祭りは毎年、氏下5地区から選ばれた、15歳以下の5人の男子が1年間毎月1日に神殿に参拝し、翌年の3月10日に、冠・裃を着け駕籠に乗り、榊持ち、太刀持ち、家族親族を従えて神社に参集。修祓、御神酒拝戴の後、神殿で大幣を振って祭り素戔鳥命の御威徳に感謝し、氏下中の平安を祈願している。
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