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切目川ダム竣工式、待望の完成祝う 〈2015年3月29日〉

2015年03月30日 08時30分00秒 | 記事

テープカット、くす玉開披で完成を祝う 

校歌を歌う清流小児童


 県が印南町高串地内に建設してきた県営切目川ダムが完成し、県と印南町の共催で28日に竣工式が行われた。県や町関係者、移転者、地元小・中学生、地元民ら300人が出席し、テープカットやくす玉開披、餅まきなどで待望の完成を祝った。切目川ダムは高さ44・5メートル、長さ127メートル、総貯水量396万立方メートルで集水面積は21・9平方キロメートル。洪水調整、水道用水の供給、流水の正常な機能の維持を目的とした重力式コンクリートで建設。完成で下流域の洪水被害軽減のほか、1日最大1000立方メートルの水道水が供給できる。事業費は付け替え道路分も含め159億円。

 オープニングで清流小・中学校の児童・生徒106人が小・中学校の校歌を合唱し花を添えた。仁坂知事は、民主党政権時のダム建設の再検証を振り返り「私は動じなかった。それはダムを切望している皆さんの基になっていた渇水と洪水にいつも悩まされている地域の実情を分かっていたからだ」とし「(ダム完成で)この地域は大丈夫だと思う。道路も良くなった。精々利用してこの地域を盛り上げていってほしい」と式辞。地元の日裏町長は、建設で移転を余儀なくされた元高串区民の協力に深く感謝し「この尊い思いを風化させることなく、後世の人々に正しく伝えていくことも私たちの大切な務めである。このダムを私たちの安全と誇りの象徴として、後世に末永く引き継いでいくことを誓う」とあいさつ。 来賓の鶴保参議院議員、坂本県議会議長らが祝辞。公務のため欠席した二階自民党総務会長はビデオレターで祝辞を寄せた。堀口町議会議長の音頭で万歳三唱し式を締めくくった。
 式終了後、ダム堤防の一番高い天端(てんば)から地元消防団が放水する中、仁坂知事や日裏町長、児童代表の花本悦男君(5年)、生徒代表の稲田嵩人君(2年)らがテープカット、冨安、花田、中村各県議、切目川多目的ダム対策促進協議会長の藤本町議らがくす玉開披し、合わせて児童・生徒が風船を飛ばし完成を祝った。最後に餅まきもあり、多くの地元民らでにぎわった。
 式典に出席した移転者の一人で元高串区長の堀清治さん(67)=日高町=は「予定地にと要請があった時は怒りしかなかった。一時は新規採択を見送られるなど困惑、動揺した」と高串区に建設話が持ち上がった平成3年から今日までの24年間を感慨深げに振り返り「ダムが今後下流域の安心と安全を守り続けていくことを願ってやまない」と話した。
 切目川ダムは、平成3年度に現地予備調査がスタート。平成20年にはダム建設に伴い、全世帯が移転した高串区15世帯を対象に移転者離村式が開かれ、平成22年に本体工事着工に備えて転流工(川のバイパス工事)に着手。平成24年2月からは堤体工事が始まり、昨年10月から最終段階となる堤体や基礎地盤などの安全性を確認する試験湛水が行われていた。完成した切目川ダムは、洪水調節はゲートなどの操作を行わず流入量の調節を行う自然調節方式を採用。4月1日から供用開始される。


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