『ファントム』のスーツは このように作られる
オペラ劇場の地下に住むファントム。仮面を付けて華やかなスーツを着ていました。
仮面の下の顔がどんなに醜かろうが
こうしたスーツ姿を持つ男性なら無条件で許されそうですが・・・(私だけそうなの?)
クリスティーン:服装が良い男性が理想です。顔は見ないから すぐに仮面を取って。
ファントム:耐えられるかい?
こういう素敵なスーツ姿、だいたい作るところは出てこないでしょう?
ファントムの衣装は
衣装チーム 約30名が精魂込めて
100%オーダーメイド制作しますが
ファントムの
衣装デザイナーに ファントムたちのスーツはどうやって作るのか直接訊ねてみました。
ファントム:私のスーツ姿の秘密 あなただけに教えましょう
ひとまず ファントムのスーツは作品の背景になる
19世紀末 フランスのスーツの様式を
考証してデザインしました。
初演時は衣装制作に4ヶ月かかりましたが 今回は再演なので 少し短くなって
2ヶ月ほどかかったそうです。
(全体の制作期間ははるかに長いという・・・)
Q.制作過程はどうなるのですか?
まず
デザイナーが直接採寸しなければなりません。
どんなデザインが似合う体なのか
俳優の体を把握する重要な過程だからです。
その次は
紙にパターンを落として。紙の型どおりに生地を切ります。
デザイナー:広い肩と長い首のラインを持つ俳優なので 丸い襟が似合うでしょう~ 何かこういう方式ですね。
その次は
1次(臨時)
仮縫いです。
本当に服を作る時に使われる生地の代わりに 比較的安い
木綿生地でテスト用のスーツを作って着てみます。
袖の幅、ジャケットの長さ、ズボンの幅などを俳優の
体型に合うよう修正します。
デザイナー:舞台衣装用生地は空輸も難しいから台無しにしたらダメでしょう。ひとまず別の生地でフィッティングしてみるのが安全です。
その次は
2次仮縫い。
今回は
舞台衣装用の生地を使って 本当に着るスーツを作ります。
こうした過程の間 デザイナーは俳優と とても
細かな部分まで意見をやりとりします。俳優に最もよく似合うものを一緒に探すということです。
デザイナー:考証による衣装コンセプトと大きくかけ離れなければ 俳優の意見を反映する方ですよ。
次は
テスト・オン・ステージ段階です。
舞台照明に照らした時 服の感じが
違うこともあるからチェックします。
俳優は舞台で動くのに
不都合な部分はないのか確認する段階で。
バックステージで
服を着替えるテストもしてみるそうです。
シャツのボタンのような物は
マジックテープで処理して
脱ぎ着しやすく作りますが
それでも実際脱ぎ着してみながら補完点を探してみるそうです。
デザイナー:19世紀末のフランスでは タキシードジャケットにボタンがなかったそうです。これを反映したおかげで もう少し脱ぎ着しやすくなった点!
Q.
俳優別に好むスタイルがありますか?
パク・ヒョシン ファントムは
シャツ生地を慎重に選びます。手触りが
ザラザラすると演技の没頭に邪魔になるからだとか。
手触りはシルクが最高ですが管理が難しいので
スパンデックスを混ぜたコットンシャツで作りました。
ファントム:袖が短いと手を動かす時 苦しいんです。デザイナーの先生に ちょっと長くしてと言いました。
パク・ウンテ ファントムは
首の部分が苦しくなくてこそ発声が楽だと言って チョッキの
ネックラインを他の俳優より もっと
深くしたそうです。
その他にも
ズボン姿にもう少し気を使ったといいます!
チョン・ドンソク ファントムは・・・
難しい要求事項はなかったそうです。
「先生を信じて着ます」と言ってくれましたね。(どう着てもよく似合うから・・・?!)
デザイナー:きちょうめんな俳優も良いし 信じて任せてくれる俳優も良いし 3人のファントム全員 作業する時ハッピーな俳優たち
Q.ファントムごとに
衣装の色も違うようでしたが?
俳優の髪色、肌のトーンを考慮して
メインカラーも変えましたが
パク・ヒョシン、チョン・ドンソクは 照明を照らした時 緑色の光がほのかにしみ出てくる
グリーンブラック、
パク・ウンテは赤い光が漂う
レッドブラックを使いました。
Q.仮面もスーツもよく似合いましたが、仮面が先に作られたのですか、スーツが先に作られたのですか?
先にスーツ、後で仮面! スーツが先に作られて それに合わせて仮面が作られました。
俳優の
感情によってスーツも仮面も変わりますが、
悲しい場面では
ロングコートと
涙を流す仮面を付けます。
衣装にも感情があります。
Q.激しい場面で
スーツが破れたらどうしますか?
こういう突発的な状況に備えて
衣装チーム8名が公演が終わる時までバックステージで
待機するそうです。
服が破れたら
超スピーディに修繕したり
スペアの衣装に換えます。
デザイナー:この場所がファントムの衣装作業室です。今は制作を終えてデザイン室になりましたよ。
Q.
体重が違えばスーツ姿が崩れるじゃないですか。公演中に修繕する場合はないんですか?
体重に大きな変化があれば 再仮縫いして修繕します。
ですが3人のファントムみんな
自己管理にとても徹底して 修繕することはなかったそうです~!
デザイナー:スパンデックスが混ざった生地を使って伸縮性は良いです。それでも破れる場合が時々あります。
Q.公演が終わったら
スーツはどこに行きますか?
公演制作会社が所有し管理します。
アンサンブル衣装の場合 よく管理して次のシーズンの公演で
再び着たりもしますが
主演俳優の衣装は 大部分がシーズンごとに
新しく制作します。
ファントムのスーツは本当に精魂込めて作られて
衣装ごとに特別な意味が込められていると思うともう一度見に行きたい!(しくしく・・・私の通帳・・・)
今も作業室で苦労する
衣装デザイナーの皆さん ファイティン!!!
回答:アン・ヒョンジュ衣装デザイナー