呪縛
金融腐蝕列島Ⅱ
高杉良著
1997年、大手の朝日中央銀行(ACB)本店は
本部の東京地検特捜部強制捜査を機に 大手証券会社への不正融資疑惑が持ち上がる。
会長、頭取、ACBの役員等トップの人間に危機感は薄い。
東京地検特捜部の強制捜査となっても責任を回避しようとする ボード(役員)達の態度に激怒し、腐敗した銀行の正常化を願うミドルのACBマン達が、
銀行の再生を願って立ち上がるのだった。
証券会社の不正融資、総会屋対策、大蔵官僚接待など、
これらの「腐蝕」に目をつむりつつ日本の経済は発展して来たが、
バブル景気から急転下、大不況に陥っている。
お金を巡るいろいろなしがらみや癒着など、
経営トップ人たちが長い事捕らわれていた「呪縛」から解き放たれなければ、再生の道はないという窮地の中で上層部の人間とエキセントリックに立ち向かう、ミドルのACBマンたちの震えるほどの勇姿をリアルに描いている。
時には涙し、どん底の中で底力をみせるミドルたちに、まだまだ日本は捨てたものではないとおもわせる作品だ。
映画化されて、そちらのほうもずいぶん話題になった。
上層部と、若手たちの駆け引きに手に汗握る思いで一気に読めた。
文章は会話形式がほとんどでわかりやすい。
新聞でも、トップに立つべき立場の人間の不祥事があとを絶たない現実をみて、
若いころは、熱い志をもっていたであろう人たちを、ここまで腐らせるものはなんなのだろうと考えてしまう。
地位、名誉、金が、本来あるべきの人間の崇高な気持ちまでも 麻痺させてしまうのだろうか。
30代に読んだ。
主人も読んだ本だ。
図書館に寄付
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