花と山を友として

何よりも山の花が好き、山の景色が好き、山で出逢う動物が好き、そして山に登る人が好き。
写真と紀行文で綴る山親父日記

思い出の登山・思い出の花・尾瀬その七

2010年01月07日 | 登山
2009年6月8日 御池駐車場→燧裏林道→段吉新道→平滑の滝→三条の滝
→うさぎ田代→燧裏林道→御池駐車場と廻って見て来た戸隠ショウマと尾瀬の花々の記録その七(最終章)


三条の滝に別れを告げて、いよいよ御池駐車場に向かって出発。

いきなり足場の悪い急登に少々うんざり、もうちょっと食後の休みをとれば良かったか。
それにしてもブナの緑の清々しい事、ブナは一本の木で数万の葉っぱをつけるという。
誰かが数えて発表していたが、4万だったか5万だったか、正確な数が思い出せない。
不思議なのは、その葉っぱに落ちた雨を うまい具合に幹に集めて自分の根本に静に流すと言う。
何でもその現象を樹幹流と言うらしいが、葉っぱに落ちた雨をどうやって幹に集めているのだろう。


踏み跡の土が流れて 根っこが露出した急登に悪戦苦闘 自分では上げたつもりの足が
根っこに躓いてよろめく、うーん疲れが出てきた証拠である。
どこかで一休みしよう。


いい加減くたびれたところで、湿原らしいなだらかな木道に着いた。
もしかしたらここが兎田代なのかも知れない。標柱ぐらいほしいよなー。


この小さい湿原には、タムシバの花があっちにもこっちにも咲いている。
誰も来ないので、ザックを降ろして一休み。


あたりを見回すと、ゼンマイのようなものが生えている。
そして木陰には


ツクバネソウが開きかけている。
この花は、実がなると羽子板でつく羽子にそっくりな姿になることから、ツクバネソウ
と呼ばれている。

小さな小さな湿原を抜けて、林の中を登っていくと、どこかで人の話し声がする。
どうやら燧裏林道の分岐に近づいたのかと思ったら


小沢平まで5.4キロと書かれた標柱が立っていた。
うかつにも一つの分岐点を見落としていたのだ。
あわてて地図を広げて確認すると、兎田代と燧裏林道の間に、渋沢温泉小屋のそばを通って
国道352号線の小沢平入り口に抜けるルートが有った。

さっきの話し声は右から聞こえていたから、段吉新道を歩いていた登山者だったのだろうか。
気をとり直して歩き始めたら


木陰でようやく陽が当たり始めて 開きかけているコミヤマカタバミの群落が寄り添うように
咲いていた。


そして木道の脇には、おなじみのタテヤマリンドウが一輪、廻りには筆の穂先のような
蕾が沢山群がっている。
タテヤマリンドウの花も、陽が差さないと花を開かない。
ところが、この花が実を結ぶと、全く逆の変化を見せる。
下の写真は、2008年の7月下旬、尾瀬の笠ヶ岳に行く途中で撮影したものです。

真ん中に二枚の花弁が開いたように見えるものが何か判りますか。
最初に見たとき、私はタテヤマリンドウの突然変異か新種かとびっくりしました。
自宅に帰って、図鑑を調べても判らない。
やむなく尾瀬保護財団に問い合わせのメールをしました。実はブログの最初の記事にも書いたように
私は保護財団の友の会にも入会しているのです。
しかしメールした後も、自分の手持ちの図鑑を片っ端から調べて、新井幸人さんの書かれた
「尾瀬の植物図鑑」(偕成社)に写真と解説が出ているのを見つけました。

そこには「タテヤマリンドウの実」であると書かれていたのです。
そして、友の会からも「タテヤマリンドウの果穂」であると返信が有りました。

それには後日談も有って、私が足繁く通っている奥日光の「県立日光自然博物館」の
ブログに、実はこタテヤマリンドウの実は、雨の日に開いて実を水に流して頒布するため
雨の降りそうな天気の悪い日に開く性質があると書いてありました。

花は天気の良い日に開き、実は天気の悪い日に開くという 驚くべき花なのです。
そう言えば、笠ヶ岳の時は、一時小雨が降ったので、運が良かったのかも知れません。


ようやく燧裏林道の分岐にたどり着いたとき、午後の2時を過ぎていました。
これは急がねばと思いつつも、美しい風景や美しい花が有れば、撮らずにいらないさがで
知らず知らずにシャッターを切っているのです。


傍らの渓流の小滝の輝き


青空と木道と水芭蕉


ついに広い湿原の上田代に到着です。ここまで来れば御池はもうすぐです。
しかしこの時間に木道を歩いていたのは、私と私の遙か前を行くご夫婦らしい3人だけ
静かな燧裏林道の午後でした。


御池田代でもう一度リュウキンカの写真を撮り、御池駐車場に至る直線の木道に入ったら


今日の花の旅のフィナーレを飾るように、サンカヨウの清楚な花が咲いていました
ようやく陽が当たって花がひらいたのでしょう。
どこまでも汚れのない白い花、いつかまた合おうぜ。


(駐車場に着いたら3時半だった)

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