古い底に雲が流れる
一直線にひかれた白線は
空を二等分にした
上は青く下は薄青く
大地に根付いた無数の空気
透明色の強い荘厳は
輝く粒の針ささり
どこかしこも音速の調べ
しとねに夢の靴跡は
大地に沈み眠りにつく
叶わなかった順番に花が咲く
そこに宇宙をあてはめる
北極星、北斗七星、オリオンと
胸を打ちつける稀有さながらの華美
襲いかかる圧倒の
自然賛美の色彩そして造形
音色に香り
景色にとけて無と帰す
「ホテルローヤル」
桜木柴乃 著
住む場所によってそのひと個人の、
身に付いたものはやはり違ってくるのだろう。
雪降る町や暖かいところや。
雪の輝きをみた経験、雪に接する毎日。
桜木柴乃の眼差し。
さて、ラブホテルという日本独特の空間が舞台の、
訪れる様々な人々。
7編からなる物語の時間軸が過去へとながれる、
異空間。
穴の内奥と、矢印が生活の中の性へとなる、
肌のぬくもりは凍えた一部分を確かにあたためる。
信じるつながりがある。
性は日常を迷いもさせ、愛しさにもなる。
動物ごっこ
動物に一色の色をつけて
人間にたとえて感情を表現する
鳴き真似は純粋に鳴く
月の雨
雨は夢
夢は月
光はどこにも存在し
闇もどこにもある
表裏する着古しに
もう勘弁してと口にする
水に浮かぶ月と夢
交じり合う雨と月
甘い香りにふわりと誘導されて
泣き虫になり水の中へ
笑い上戸に水の外へ
それもいいし
これもいい