広島、長崎に原爆が投下されて75年。この過ちを二度と繰り返すまいと活動している名古屋市原爆被爆者の会の「被爆75周年原爆絵画展」が、名古屋市民ギャラリーで開かれています。8月2日まで。
同会によると現在、全国の被爆者は13万6682人、愛知県内では1746人、名古屋市内では682人。
高齢化によって一年に約1万人ずつ減っており、平均年齢は83歳。長らく名古屋市原爆被爆者の会長を務めていた堀三郎さんはこの春、92歳で亡くなりました。
千羽鶴で飾られた会場には、小中高生だった被爆者たちが描いた体験絵画や爆心地の写真、岡山放送局から広島へ駆けつけた故牧野俊介さんの絵も並んでいます。
焼けただれた遺体の列、「お母さん、死にたくないよ」の声が次第に小さくなっていく子、燃える街、苦しむ被爆者でいっぱいの防空壕、男性優先で被爆者を積んだ非常トラック、黒い雨で汚れた卒業証書・・・。
限られた貴重な絵画や写真だけにこれまでにも目にしたものが少なくありませんが、改めて原爆の悲惨さと平和の尊さを思い起こします。
しかし、アメリカの科学誌「科学者会報(BAS)」は今年1月、核戦争などによって人類が絶滅するまでの時間を示す世界時計の残り時間は、昨年より20秒短縮され過去最短の100秒(1分40秒)と発表しました。
地球規模の気候変動もあるにせよ、米中や米ロ対立などによる深刻さを物語っています。
愛知県原水爆被災者の会の理事長代理で、名古屋市原爆被爆者の会の新しい会長になった金本弘さん(75)は「核保有国が対立する一方で、核兵器禁止条約の署名・批准国は少しずつ増えており、発効に向けて取り組んでいく。高齢化によって語り部(かたりべ)が減っているが、被爆体験が無くても被爆者一人ひとりの次世代の語り部になってもらえる人を養成していきたい」と話していました。