(2023年6月30日投稿)
【はじめに】
今回のブログでは、高校世界史において、キリスト教の誕生(成立)と布教について、どのように記述されているかをみる。
欧米の文化を知るためには、キリスト教の存在は避けては通れない。ローマ帝国において、キリスト教がどのように受容されたのかについて、みておこう。つまりキリスト教の誕生(成立)と布教について概観しておこう。
例によって、参考とした世界史の教科書は、次のものである。
〇福井憲彦、本村凌二ほか『世界史B』東京書籍、2016年[2020年版]
〇木村靖二ほか『詳説世界史 改訂版』山川出版社、2016年[2020年版]
また、前者の高校世界史教科書に準じた英文についても、見ておきたい。
〇本村凌二ほか『英語で読む高校世界史 Japanese high school textbook of the WORLD HISTORY』講談社、2017年[2018年版]
補足として、ギリシア語とキリスト教について、記しておく。次のものを参考にした。
〇左近義慈『新約聖書 ギリシャ語入門』新教出版社、1953年[1991年版]
〇You Tubeにおいて、古典ギリシャ語を丁寧に解説している動画がある。
「パタオの古典ギリシャ語学習」の「聖書ギリシャ語を読む 「受胎告知」―名画と共に」
(前半:2023年5月1日付、後半:2023年5月15日付)
〇川北稔・桃木至朗監修『最新世界史図説 タペストリー(二十訂版)』帝国書院、2022年
【本村凌二ほか『英語で読む高校世界史』(講談社)はこちらから】
本村凌二ほか『英語で読む高校世界史 Japanese high school textbook of the WORLD HISTORY』講談社
〇本村凌二ほか『英語で読む高校世界史 Japanese high school textbook of the WORLD HISTORY』講談社、2017年[2018年版]
【目次】
本村凌二『英語で読む高校世界史』
Contents
Introduction to World History
1 Natural Environments: the Stage for World History
2 Position of Japan in East Asia
3 Disease and Epidemic
Part 1 Various Regional Worlds
Prologue
The Humans before Civilization
1 Appearance of the Human Race
2 Formation of Regional Culture
Chapter 1
The Ancient Near East (Orient) and the Eastern Mediterranean World
1 Formation of the Oriental World
2 Deployment of the Oriental World
3 Greek World
4 Hellenistic World
Chapter 2
The Mediterranean World and the West Asia
1 From the City State to the Global Empire
2 Prosperity of the Roman Empire
3 Society of the Late Antiquity and Breaking up
of the Mediterranean World
4 The Mediterranean World and West Asia
World in the 2nd century
Chapter 3
The South Asian World
1 Expansion of the North Indian World
2 Establishment of the Hindu World
Chapter 4
The East Asian World
1 Civilization Growth in East Asia
2 Birth of Chinese Empire
3 World Empire in the East
Chapter 5
Inland Eurasian World
1 Rises and Falls of Horse-riding Nomadic Nations
2 Assimilation of the Steppes into Turkey and Islam
Chapter 6
1 Formation of the Sea Road and Southeast Asia
2 Reorganizaion of Southeast Asian Countries
Chapter 7
The Ancient American World
Part 2 Interconnecting Regional Worlds
Chapter 8
Formation of the Islamic World
1 Establishment of the Islamic World
2 Development of the Islamic World
3 Islamic Civilization
World in the 8th century
Chapter 9
Establishment of European Society
1 The Eastern European World
2 The Middle Ages of the Western Europe
3 Feudal Society and Cities
4 The Catholic Church and the Crusades
5 Culture of Medieval Europe
6 The Middle Ages in Crisis
7 The Renaissance
Chapter 10
Transformation of East Asia and the Mongol Empire
1 East Asia after the Collapse of the Tang Dynasty
2 New Developments during the Song Era ―Advent of Urban Age
3 The Mongolian Empire Ruling over the Eurasian Continent
4 Establishment of the Yuan Dynasty
Part 3 Unification of the World
Chapter 11
Development of the Maritime World
1 Formation of the Three Maritime Worlds
2 Expansion of the Maritime World
3 Connection of Sea and Land; Development of Southeast Asia World
Chapter 12
Prosperity of Empires in the Eurasian Continent
1 Prosperity of Iran and Central Asia
2 The Ottoman Empire; A Strong Power Surrounding
the East Mediterranean
3 The Mughal Empire; Big Power in India
4 The Ming Dynasty and the East Asian World
5 Qing and the World of East Asia
Chapter 13
The Age of Commerce
1 Emergence of Maritime Empire
2 World in the Age of Commerce
World in the 17th century
Chapter 14
Modern Europe
1 Formation of Sovereign States and Religious Reformation
2 Prosperity of the Dutch Republic
and the Up-and-Coming England and France
3 Europe in the 18th Century and the Enlightened Absolute Monarchy
4 Society and Culture in the Early Modern Europe
Chapter 15
Industrialization in the West and the Formation of Nation States
1 Intensified Struggle for Economic Supremacy
2 Industrialization and Social Problems
3 Independence of the United States and Latin American Countries
4 French Revolution and the Vienna System
5 Dream of Social Change; Waves of New Revolutions
Part 4 Unifying and Transforming the World
Chapter 16
Development of Industrial Capitalism and Imperialism
1 Reorganization of the Order in the Western World
2 Economic Development of Europe
and the United States and Changes in Society and Culture
3 Imperialism and World Order
World in the latter half of 19th century
Chapter 17
Reformation in Various Regions in Asia
1 Reform Movements in West Asia
2 Colonization of South Asia and Southeast Asia,
and the Dawn of National Movements
3 Instability of the Qing Dynasty and Alteration of East Asia
Chapter 18
The Age of the World Wars
1 World War I
2 The Versailles System and Reorganization of International Order
3 Europe and the United States after the War
4 Movement of Nation Building in Asia and Africa
5 The Great Depression and Intensifying International Conflicts
6 World War II
Part 5 Establishment of the Global World
Chapter 19
Nation-State System and the Cold War
1 Hegemony of the United States and the Development of the Cold War
2 Independence of the Asian-African Countries and the "Third World"
3 Disturbance of the Postwar Regime
4 Multi-polarization of the World and the Collapse of the U.S.S.R.
Final Chapter
Globalization of Economy and New Regional Order
1 Globalization of Economy and Regional Integration
2 Questions about Globalization and New World Order
3 Life in the 21st Century; Time of Global Issues
The Rises and Falls of Main Nations
Index(English)
Index(Japanese)
さて、今回の執筆項目は次のようになる。
・キリスト教の誕生と布教の記述~『世界史B』(東京書籍)より
・キリスト教の成立と布教の記述~『詳説世界史』(山川出版社)より
・英文の記述~本村凌二ほか『英語で読む高校世界史 Japanese high school textbook of the WORLD HISTORY』(講談社)より
・【補足】ギリシア語とキリスト教
キリスト教の誕生と布教の記述~『世界史B』(東京書籍)より
〇福井憲彦、本村凌二ほか『世界史B』(東京書籍、2016年[2020年版])では、キリスト教の誕生と布教の記述は次のようにある。
【地中海世界の諸宗教とキリスト教】
ローマ人の宗教では、共同で神々に犠牲をささげることによって神々のめぐみにあずかることが追求された。しかし、平和のなかにも不安を感じる人々は、それにあきたらず、東方起源のミトラ教(Mithra)、イシス教(Isis)などの密儀宗教を信じ、霊魂の救済を熱望するようになった。また、当時ローマの支配下にあったパレスティナを中心に散在していたユダヤ教徒は、一神教を信じ、救世主(メシア, Messiah)の出現を待望していた。
イエス(Jesus, 前4ごろ~後30ごろ)は、権威主義と戒律主義におちいっていたユダヤ教を批判し、神の愛と隣人愛を説いて、神の国の到来が近いことを唱えた。このため彼はユダヤ教の祭司やパリサイ派らによって反逆者としてうったえられ、属州総督により十字架刑に処せられた。その死後、イエスが復活したという信仰が広まり、ペテロ(Petrus, 1世紀)らの使徒やパウロ(Paulus, 1世紀)らの伝道者はイエスを神の子と信じ、十字架上の死は全人類を救済するための贖罪の死であったと宣教した。こうして、イエスこそがキリスト(Christ、メシアのギリシア語訳)であるとするキリスト教が誕生した。
使徒たちの伝道によって帝国各地に信徒の団体(教会)がつくられ、1世紀末ごろから福音書や使徒の言行などが編纂され、『新約聖書』の原型が整えられていった。しかし、キリスト教徒は2世紀末ごろまではわずかな数でしかなかった。
<注釈>
今日の形の『新約聖書』が成立したのは4世紀末のことであり、当時の共通ギリシア語(コイネー)で書かれていた。
(福井憲彦、本村凌二ほか『世界史B』東京書籍、2016年[2020年版]、54頁)
【コラム「ギリシア語からアラビア語へ」】
ギリシア語は、ヘレニズム時代とローマ帝国の時代を通して、シリアやエジプトなど東地中海世界の共通の文章語であった。古代メソポタミア文明や古代エジプト文明に発する学問や文芸は、ギリシア語で受けつがれてきていた。エジプトのアレクサンドリアとシリアのアンティオキアが、そのようなギリシア語の学術・文芸の中心地であった。7世紀のムスリムによる大征服は、そのようなシリアとエジプトをイスラーム世界に組みこんだ。
ウマイヤ朝の時代から、徴税台帳などの行政文書が、ギリシア語からアラビア語にかわりはじめていた。アッバース朝最盛期のカリフ、ハールーン=アッラシードは、バグダードにギリシア語の文献を集めてアラビア語に翻訳する機関をつくり、第7代マームーン(Mamun, 在位813~833)の時代になると、それは「知恵の館」とよばれる機関に発展した。そこでは、組織的、網羅的に、ギリシア語の文献がアラビア語に翻訳された。ムスリムの学者は、ギリシア語による学問に、インドやイランの学問を融合させて、哲学、倫理学、数学、天文学、錬金術(化学)、医学などを発展させた。たとえば数学では、ギリシアの数学にインド起源のゼロの概念が導入されて、位取りをとって十進法に便利なアラビア数字がつくられた。(下略)
(福井憲彦、本村凌二ほか『世界史B』東京書籍、2016年[2020年版]、134頁)
【キリスト教の布教と聖なる世界】
ローマ帝国は諸宗教に寛容であったので、ネロ帝(Noro, 在位54~68)の迫害のような例外はあったが、キリスト教徒への公権力による迫害は少なかった。しかし、3世紀になると、キリスト教徒の数が目立つようになり、公権力はキリスト教に注目するようになった。
3世紀後半になると、キリスト教徒の間にエジプトの砂漠に住み苦行に励む者があらわれ、その噂がかけめぐり、苦行者を慕う者が群れをなすようになった。彼らは現世から逃避しようとしたのではなく、キリストの言葉への服従を追求したのであった。このような砂漠の僧窟は、エジプトから、シナイ半島へ、ヨルダンの谷へと広がり、4世紀はじめには修道院も開かれた。このような聖なる世界は、新しい禁欲思想を現実のものとしたのである。
ローマ帝国がキリスト教に脅威を感じるようになったのは、このころである。303年、ディオクレティアヌス帝はキリスト教徒の迫害を命じ、各地できびしく遂行された。しかし、殉教者を出しながらもキリスト教は社会階層や民族差をこえて広がった。迫害よりも懐柔が得策と考えるにいたったコンスタンティヌス帝は、313年、ミラノ勅令によってキリスト教を公認した。それ以後、キリスト教は皇帝との結びつきを深め、急速に勢力を強めた。たんなる信徒の集まりをこえた教会組織がつくられ、聖職者の身分も生まれた。
組織が拡大するにつれて、教義をめぐって深刻な対立がおこった。それを収拾するために、コンスタンティヌス帝は、325年ニケーア公会議を召集した。会議は、神としてのイエスを認めるアタナシウス(Athanasius, 296ごろ~373)の説を正統とみなし、人間としてのイエスを唱えるアリウス派(Arius, 250ごろ~336)の説を異端と断じた。そののち、ユリアヌス帝の異教復興による混乱もみられた。やがて、テオドシウス帝は、380年、キリスト教を奉じることを命じ、392年にはさまざまな異教をすべて厳禁した。ここに、キリスト教は国教となった。
異端とされたアリウス派は北方のゲルマン人の間に広まったが、神たるイエスと人たるイエスを分離するネストリウス派も431年のエフェソス公会議で異端とされた。ネストリウス派はササン朝ペルシアをへて中国に伝わり、景教とよばれた。エジプトやシリアでは、神たるイエスだけを認める単性論の信奉者が多かった。451年のカルケドン公会議は、これも異端とするとともに、正統のアタナシウスの説を整え、神とイエスと聖霊との三者を不可分なものとする三位一体説が確立した。このために単性論派は、6世紀以降、独自に、コプト教会やシリア教会、アルメニア教会などをつくっていった。
正統教義が明確になるとともに、のちに教父とよばれることになる指導者たちが、古典文化に学びながら、信仰についての著作を残した。『教会史』で知られるエウセビオス(Eusebios, 260ごろ~339)は、皇帝位は神の恩寵によって与えられるとした。この考え方は、のちのビザンツ皇帝権の正統性や、西ヨーロッパの王権神授説に根拠を与えた。また、最大の教父といわれるアウグスティヌス(Augustinus, 354~430)は、『告白』や『神の国』を著して、後世の人々の信仰や学問、なかでも西ヨーロッパ中世のスコラ学に多大な影響を及ぼすことになる。
(福井憲彦、本村凌二ほか『世界史B』東京書籍、2016年[2020年版]、56頁~58頁)
キリスト教の成立と布教の記述~『詳説世界史』(山川出版社)より
第Ⅰ部
第1章 オリエントと地中海世界
3 ローマ世界
【キリスト教の成立】
キリスト教は1世紀にローマ支配下のパレスチナからうまれた。当時ユダヤ教を指導していた祭司や、律法の実行を重んじたパリサイ派は、ユダヤ支配層としてローマ支配を受け入れ、貧困に苦しむ民衆の声にこたえようとしなかった。やがてパレスチナの民衆は、このような現状からの救済を期待するようになった。
この地にうまれたイエス(Jesus, 前7頃/前4頃~後30頃)は祭司やパリサイ派を形式主義として批判し、貧富の区別なくおよぼされる神の絶対愛と隣人愛を説き、神の国の到来と最後の審判を約束した。民衆はイエスを救世主(メシア、ギリシア語でキリスト Christ)と信じて彼の教えに従うようになった。祭司やパリサイ派はイエスをローマに対する反逆者として総督ピラト(Pilatus, 在位26~36)に訴えたため、彼は十字架にかけられ処刑された(30年頃)。しかしその後、弟子たちのあいだにイエスが復活し、その十字架上の死は人間の罪をあがなう行為であったとの信仰がうまれ、これを中心にキリスト教が成立した。
その後まもなくペテロ(Petrus, ?~64頃)やパウロ(Paulus, ?~60以後)らの使徒によって、伝道活動が始まった。パウロは、神の愛は異邦人(ユダヤ人以外の民族)にもおよぶとして、ローマ帝国各地に布教し、パレスチナ以外の地域にもキリスト教を広げた。信徒の団体である教会も、小アジア・シリア・ギリシア、そして首都ローマにつくられた。その結果、3世紀頃までに、キリスト教は主として奴隷・女性・下層市民など社会的弱者を中心に帝国全土に広がり、やがて上層市民にも信徒がみられるようになった。このあいだに『新約聖書』がギリシアのコイネーで記され、『旧約聖書』とともにキリスト教の教典となった。
<キリストについて>
メシアとはヘブライ語で「油をそそがれたもの」、つまり神から特別に祝福されたものの意味で、キリストとはそのギリシア語訳である。
【迫害から国教化へ】
当時のローマの宗教は多神教で、皇帝も神の一人とされた。それに基づいて皇帝崇拝儀礼がしだいに強化されていったが、唯一絶対神を信じるキリスト教徒は皇帝礼拝を拒み、国家祭儀に参加しなかった。そのため彼らは反社会集団とみなされ、ネロ帝(Nero, 在位54~68)の迫害(64年)からディオクレティアヌス帝の大迫害(303年)まで、民衆や国家から激しく迫害された。しかしキリスト教は帝国全体に拡大を続け、ついにはこれを禁じれば、もはや帝国
の統一が維持されないことが明らかとなったため、コンスタンティヌス帝は313年のミラノ勅令でキリスト教を公認した。さらに324年、帝が全国を統一すると、キリスト教公認は全帝国に広がった。その後、キリスト教は皇帝の保護をうけて、勢力を著しくのばしていった。
当時、キリスト教会では教義をめぐって論争がおこっていた。325年にコンスタンティヌス帝が開催したニケーア公会議においては、キリストを神と同一視するアタナシウス派(Athanasius)が正統教義とされ、キリストを人間であるとするアリウス派(Arius)は異端とされた。アタナシウス(Athanasius, 295頃~373)の説はのち三位一体説として確立され、正統教義の根本となった。4世紀後半に「背教者」と呼ばれたユリアヌス帝(Julianus, 在位361~363)が古来の多神教の復興をくわだてたが成功せず、ついに392年テオドシウス帝はアタナシウス派キリスト教を国教とし、ほかの宗教を厳禁した。このようにキリスト教が国家権力と結びついていくにつれ、一般信徒を指導・監督する司教・司祭などの聖職者身分が成立し、教会の組織化がすすんだ。
異端とされたアリウス派は北方のゲルマン人のなかに広まった。また431年のエフェソス公会議で、キリストの神性と人性とを分離して考えるネストリウス派(Nestorius)は異端と宣告されたが、のちにササン朝を経て唐代の中国に伝わり、景教と呼ばれた。
(木村靖二ほか『詳説世界史 改訂版』山川出版社、2016年[2020年版]、47頁~48頁)
英文の記述~本村凌二ほか『英語で読む高校世界史 Japanese high school textbook of the WORLD HISTORY』(講談社)より
【地中海世界の諸宗教とキリスト教】
■Religions and Christianity in the Mediterranean
In their religion, the Romans offered sacrifices to gods and goddesses, seeking to
receive gods’ blessings. However, people, who began to feel anxious and dissatisfied with
the peace, came to believe in the eastern mystery religions such as the god Mithra and the
goddesses Isis etc. and came to desire the relief of a soul. Moreover, the Jews, wandering
throughout the empire, mainly in Palestine, believed in the one and only god (monotheism)
and eagerly awaited the coming of the Savior (Messiah).
Jesus (C.4BC-C.AD 30) criticized Judaism, which had fallen into authoritarianism and
strict commandments. He preached the mercy of the God and the love of neighbors as the
way to get to heaven. So he might be claimed as a traitor by the priests and the Pharisees of the Judaism, and at last he was crucified by the Roman officer of the province.
Soon after the death the belief began to spread that Jesus arose from the dead. The apostle Peter, the evangelist Paul and others believed that Jesus was a son of the God, preaching Jesus’ death on the cross as the atonement for all mankind. In this way, Christianity was born with the belief that Jesus was Christ (the Greek translation of “Messiah”).
The believer’s organizations (churches) were built in various areas under the Roman
imperial rule. Around the end of 1st century, the gospel and the apostle’s speeches or
behaviors were edited and prepared for the prototype of the New Testament. However, until the end of the 2nd century, Christians were still few in number.
(本村凌二ほか『英語で読む高校世界史 Japanese high school textbook of the WORLD HISTORY』講談社、2017年[2018年版]、44頁)
【語句】
Jesus イエス
Christianity キリスト教
the New Testament 新約聖書
【キリスト教の布教と聖なる世界】
■Propagation of Christianity and the Sacred World
Since the Roman Empire was tolerant of various cults, except for a few persecutions such
as under the emperor Nero, there rarely happened persecutions by the Roman authority
against the Christians. But the Christian population began to stand out in the 3rd century,
and public authority also paid attention to them.
In the second half of the 3rd century there appeared those who lived in the desert of
Egypt and dedicated themselves to the ascetic life, and the rumors about them got around
the provinces, and those who adored such Christian holy men gathered to form a group.
They did not escape from the real world but sought to obey Christ’s words. Such dens in
the desert appeared not only in Egypt but also in the Sinai peninsula and in the valley of
Jordan, and a monastery was opened at the beginning of the 4th century. These holy groups
made the new ascetic idea into real life.
It was since those days that the Christianity came to a threat to the Empire. In 303
AD, the emperor Diocletian ordered persecutions of the Christians, and their punishments
were carried out in various districts. However, although more than a few martyrs came
out, Christianity spread among various classes and races. The emperor Constantine took
conciliation policy rather than persecution policy, and authorized Christianity by the
Imperial Edict of Milan in 313 AD. Then Christianity got a deep connection with Roman
authority and had powerful influence quickly. The churches formed an organization beyond
only gatherings of the believers and the status of clergyman also rose.
The confrontation over doctrine became serious as the organization expanded. In order
to manage it, the emperor Constantine summoned the Nicene Council in 325. The meeting
decided that the opinion of the Athanasius, who accepts Jesus as God, was legitimate, judging that opinion of the Arians who viewed Jesus as man was heresy. Then there shortly
appeared confusion by the revival of paganism under the emperor Julian. In 380 AD, the
emperor Theodosius ordered people to believe in Christianity and forbade paganism in 392
AD. Thus the Christianity was established as the religion of the Empire.
Although the Arians turned into heresy, this religious belief spread, especially among the
Germans in the northern districts. The group of Nestorius, who made a distinction between
Jesus as God and Jesus as man, was also judged to be heresy at the Ephesus Council in
431 AD. The Nestorian sect came through the Sassanid Persia to China where it was called
Keikyo (景教). In Egypt or Syria, there were many adherents of the doctrine that only “Jesus is God”. At the Council of Chalcedon in 451, it was also considered to be heresy, and while a legitimate theory of Athanasius was polished and pondered, the Trinity theory
“God, Jesus, and the Holy Spirit being indivisible” was established. For this reason, the believers of the doctrine that only “Jesus is God” founded independently the Coptic church, the Syrian church, and the Armenian Church, etc. after the 6th century.
While the legitimate doctrine became clear, the leaders who were to be known as Fathers
of the Church left writings about Christian faith, learning the classical tradition. Eusebius,
who wrote “Ecclesiastical History”, presupposed that the status of the emperor should be
given as the grace of God. This view gave the basis of legitimacy later to coming emperors
in the Byzantine Empire, and to the theory of the divine right of kings in the western
Europe. Moreover, Saint Augustine of the greatest Father of the Church wrote Confessions
and the City of God. His works would give the striking influence on the religious faith
and learning of people in coming generations, especially on the Scholasticism in medieval
western Europe.
(本村凌二ほか『英語で読む高校世界史 Japanese high school textbook of the WORLD HISTORY』講談社、2017年[2018年版]、46頁~47頁)
【語句】
Nero ネロ
monastery 修道院
the Imperial Edict of Milan ミラノ勅令
the Nicene Council ニケーア公会議
Athanasius アタナシウス
the Arians アリウス派
The group of Nestorius ネストリウス派
the Trinity theory 三位一体説
Augustine アウグスティヌス
ギリシア語とキリスト教
『新約聖書』のギリシャ語学習の入門書として、次のものがある。
〇左近義慈『新約聖書 ギリシャ語入門』新教出版社、1953年[1991年版]
巻末には、「単語集」が付記されている。
そこには、「Ⅰ 新約聖書の中に500回以上用いられている語」から、「XX 25回」まで用いられている語が列挙されて、単語集となっている。(203頁~206頁)
「Ⅰ 新約聖書の中に500回以上用いられている語」のうち、名詞および動詞しては、次のような単語が挙げられている。
【名詞】
ανθρωπος 人
εγω 私
θεος 神
κυριος 主
συ 汝
【動詞】
ειμι 私はある
ειπον 私は言った
ερχομαι 行く、来る
εχω 持つ
λεγω 言う、語る
ποιεω 為す、作る
(左近義慈『新約聖書 ギリシャ語入門』新教出版社、1953年[1991年版]、203頁)
ところで、You Tubeにおいて、古典ギリシャ語を丁寧に解説している動画がある。
〇「パタオの古典ギリシャ語学習」の「聖書ギリシャ語を読む 「受胎告知」―名画と共に」
(前半:2023年5月1日付、後半:2023年5月15日付)
聖書ギリシャ語で、ルカ福音書の「受胎告知」シーンを解説付きで読んでおられる。
同時に、レオナルド=ダ=ヴィンチなどの「受胎告知」を表現した絵画についても紹介している。
ルカ福音書の「受胎告知」シーンについては、日本語訳としては、次のようにある。
<ルカ福音書にみれる「受胎告知」の記述 >
『ルカ福音書』(1:26~38) マリアへのお告げ
さて、六か月目に、ガリラヤのナザレという町の一人のおとめのもとに、み使いガブリエルが、神から遣わされた。このおとめはダビデ家のヨセフという人のいいなずけで、名をマリアと言った。み使いは彼女のところに来て、「恵まれた者、喜びなさい。主はあなたとともにおられます」と言った。この言葉を聞いて、マリアは胸騒ぎがし、このあいさつはなんのことであろうかと思いとどまった。すると、み使いは言った。「マリア、恐れてはなりません。あなたは神から恵みをいただいたのです。あなたはみごもって男の子を産むでしょう。その名をイエズスとつけなさい。彼は偉大な者となり、いと高きおん者の子と呼ばれます。神である主は、彼にその父ダビデの王座をお与えになり、彼はヤコブの家をとこしえに治め、その治世は限りなく続くでしょう」。
そこでマリアはみ使いに、「どうしてそのようなことがありえましょうか、わたくしは男の人を
知りませんのに」と言った。み使いは答えた。「聖霊があなたに臨み、いと高きおん者の力があなたを覆うでしょう。それゆえ、お生まれになる子は聖なる者で、神の子と呼ばれます。あなたの親戚エリサベツも、年寄りでありながら男の子をみごもっています。不妊の女と言われていたのに、はや六か月になっています。神には、何一つおできにならないことはないからです」。そこでマリアは、「わたしは主のはしためです。おことばどおり、この身になりますように」と答えた。そして、み使いは彼女から離れ去って行った。
(『新約聖書』フランシスコ会聖書研究所、1980年[1997年版]、183頁~184頁)
なお、世界史の図録として有名な参考書にも、ギリシャ語について次のようにある。
〇川北稔・桃木至朗監修『最新世界史図説 タペストリー(二十訂版)』帝国書院、2022年
ギリシア・ヘレニズムの文化(68頁~69頁)
⑮ヨーロッパ言語の母[古典ギリシア語]
古典ギリシア語を起源とする言葉は、ヨーロッパの諸言語にみられる。
英語では約12%の言葉が、古典ギリシア語を起源とするとの説もある。
古典ギリシア語 ローマ字で表記した場合と古代ギリシアでの意味 ここから派生した英語
ΘΕΑΤΡΟΝ(テアトロン)theatron 劇場 theater
ΧΑΡΑΚΤΗΡ(カラクテール)kharakter 印、特徴 character
ΒΙΟΣ(ビオス) bios 生命 biology
ΣΧΟΛΗ(スコレー) skhole ひま、討論 school
ΤΕΧΝΗ(テクネー) tekhne 技術 technic/technique
ΛΟΓΟΣ(ロゴス) logos 言葉 logic
(川北稔・桃木至朗監修『最新世界史図説 タペストリー(二十訂版)』帝国書院、2022年、69頁)
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