地上を旅する教会

私たちのすることは大海のたった一滴の水にすぎないかもしれません。
でもその一滴の水があつまって大海となるのです。

踏みとどまること【河井道と終戦のエンペラー】

2013-09-20 00:07:41 | Weblog


Photo 初音映莉子さん


信仰にしっかり踏みとどまって、
悪魔に抵抗しなさい。

あなたがたと信仰を同じくする兄弟たちも、
この世で同じ苦しみに遭っているのです。

それはあなたがたも知っているとおりです。


「ペトロの手紙一」 / 5章 9節
新約聖書 新共同訳



天国では
犠牲になった者が主人です。

家庭は氏族のために、
氏族は民族のために、
民族は国家のために、
国家は世界のために、
世界は天宙のために、
そして天宙は神様のために
犠牲になるのです。

結局、その目的は、
神様に到達し、
神様の愛を占領することです。
その特権をもっているのが人間なのです。


女学校設立の夢と情熱___天皇を戦犯から救いたい一念 
キリスト教徒となった神官の娘



▲河井道 (1877-1953)
写真は、NPO法人「国際留学生協会」
(IFSA) ホームページより。
http://www.ifsa.jp/index.php?kawaimichi



皇室と国民の関係を思った夏 : 今を読む

◆読売新聞 2013年9月19日 YOMIURI ONLINE


今年の夏は、
皇室と国民の関係について考える機会が多かった。

7月に封切られた映画「終戦のエンペラー」を観た。その原作「終戦のエンペラー 陛下をお救いなさいまし」(岡本嗣郎著、集英社文庫)も、那須平成の森で過ごした休日に読んでみた。



▼東京裁判の行方を決した覚書

映画は、日本を占領統治した連合国軍最高司令官ダグラス・マッカーサー元帥が信頼を置いた軍事秘書、ボナー・フェラーズ米陸軍准将が主役だ。フェラーズは、ラフカディオ・ハーンを研究した米陸軍内部で有数の日本通であり、太平洋戦争で対日心理作戦の責任者も務めた。

マッカーサーの米陸軍省宛ての極秘電報によって、昭和天皇は極東国際軍事裁判(東京裁判)で戦犯として裁かれないことになった。この決定に大きな影響を与えたのが、フェラーズがマッカーサーに提出した覚書だった。映画は一部脚色も加わり、恋愛仕立てとなっている。


▼マッカーサー側近フェラーズと河井道


原作の方は、フェラーズが覚書の添削を任せた日本人女性、河井道に重点を置き、昭和天皇を巡るフェラーズとの交流が、各種の日記や関係者の証言などをもとに綴られている。

河井道は、1877(明治10)年生まれ。国際的な言論人であり、教育者、宗教家でもある新渡戸稲造に師事し、1929(昭和4)年にキリスト教主義の学校、恵泉女学園を創立した。フェラーズと知り合ったのは22(大正11)年。米アーラム大学でフェラーズと同窓だった日本人女性が教え子で、来日したフェラーズに恩師として紹介された。

河井は、昭和天皇が真珠湾の奇襲攻撃を事前に承知していなかったことを示す証拠を入手するようにフェラーズから依頼され、旧知の関屋貞三郎・元宮内次官とも接触したという。

これも夏に読み返した「内奏」(後藤致人著、中公新書)によると、昭和天皇は、日本国憲法下でも立憲君主意識を持ち続け、政治家に御下問を通して一定の意思を表明された。現在の天皇は、象徴天皇制を強く意識し、政治家とも距離を置かれているとされる。


▼変化する王室や皇室に対する国民の考え方


イギリスでは、男子の嫡出子がいない場合のみに女王の誕生が認められていたが、2013年4月に王位継承に関する法律を改正し、男女を問わず出生順に国王を決める「長子優先」に変更した。王室や皇室に対する国民の考え方も、時代や世代構成の変化で徐々に変わるのだろう。

日本では、小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」(座長=吉川弘之・元東大学長)が05年11月、女性・女系天皇を認め、皇位継承順位は「長子優先」とすることなどを柱とする報告書をまとめた。だが、06年9月、秋篠宮家に長男、悠仁さまが誕生されたために、政府は皇室典範の改正を見送り、議論はストップしたままだ。

女性皇族が一般男性と結婚した後も皇室に残れるようにする「女性宮家」創設についても、野田佳彦内閣が12年10月に、具体案の検討を進めるべきだとする論点整理を公表したが、民主党から自民党に政権交代してからは、表立った動きは見られない。


▼「あり方」を国民全体として考え、確認し合うこと


時代に即した天皇制や皇位継承、皇室のあり方について、国民全体として考え、確認し合うことは大切だ。もし安倍晋三内閣が「現時点では法改正等は不要」と判断するのだとしても、そこに至る議論の経緯や判断理由などを国民に説明し、理解を求める手順を踏むべきだろう。

( 読売新聞 2013年9月19日 )





▲『終戦のエンペラー』岡本嗣郎 (集英社文庫)


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