SHAンパンでもいかが?

「最終楽章 気分はAdagio」
77歳の一人暮らし。

初見。

2016-11-07 12:26:14 | 日記


新しい楽譜を読んでいましたら、
突然、半世紀ばかり前の事を
思いだしました。

ある日、突然の電話。

「明後日の夕方から
オペラの通し稽古があり、
指揮者と演出家と初顔合わせなのだが、
ピアニストがインフルエンザで
困っている。
何とかやってもらえないだろうか?」
というもの。

オペラはヴェルディの「運命の力」
聴いたことも、観た事もない大作。
とりあえず楽譜を取りに行き、
帰りにYAMAHAやレコード店を
探し廻り、漸く見つけ出して
6枚組のLPを、大枚を叩いて買いました。

帰宅後は弾ける時間はとにかく弾き、
夜中はレコードを徹夜で聴きました。

当日、練習場のピアノの前に座って待っていましたら、
朝比奈先生と演出家の三谷先生の登場。
初めてお会いする憧れの指揮者ですが、
ピアノの横に立たれると凄い迫力。

3時間の練習は無我夢中で、
全く記憶に残っていないのですが、
何とか最後までたどり着き、
ホッと一息ついたところ、
朝比奈先生が大きな声で
「このビアニストに序曲を弾かせてみよう。」と
言われたのです。
「先生、無理です、全くの初見です。」と
抵抗を試みたのですが、
「私が棒を振るから、、、」と言われ、
頭は真っ白なまま、10ぺ-ジにわたる序曲を
初見で?弾く羽目になったのです。
ソリスト、合唱団、バレエの人達がいる前で、、、。



すぐに大フィルの事務局から電話があり、
定期演奏会のエキストラの仕事や、
コンツェルトなどの
良い経験をさせて頂いたので、
「虎穴に入らずんば虎児を得ず?」

若かったのですね。
今は石橋を叩いても渡らなくなりましたが。


因みに、このLPはその後一度も
聴く事はなく、探してみましたら
本棚にしっかり納まっていました。

それにしても豪華なキャストだったと
今頃になって気付きました。