SHAンパンでもいかが?

「最終楽章 気分はAdagio」
77歳の一人暮らし。

くりごと

2016-11-26 14:12:33 | 日記


歳を重ねると、
昔の記憶が鮮明に
戻ってくるようです。

今日は練習場に向かう車中が
手持ちぶさたですので、
スマホを手に取りました。
年寄りのくりごとは長くなりますので、
パスして下さいませ。



半世紀前、はじめて頂いたオ-ケストラのエキストラの仕事は
山田一雄指揮,ショスタコ-ヴィッチの交響曲1番と
プロコフィエフのロミオとジュリエットの
105回定期演奏会でした。

パ-ト譜が届き、週末に大フィルの練習場に、
胸をときめかせつつ伺いました。

指揮台からうんと後方のピアノに座ると、
間もなく山田先生が拍手で迎えられ、
ショスタコ-ヴィッチの練習が始まりました。

今までスコア(総譜)しか知らず、
パ-ト譜を見たのは初めて。

全休符に158小節(だったかな。)の
休符があるだけで
どんな音が鳴るのかもわからない。

指揮棒が降り下ろされ、音楽が始まりましたが、
最初の2、3小節を過ぎたところで
すでに数えられなくなり、
「どうしょう。どうしょう。」と
焦っていると突然、音がパタッと止まりました。

静かな練習場に靴音がコツコツと響き、
山田先生がピアノのところまで歩いてこられました。

私の肩に手を置いて。
「オ-ケストラは初めて?
ここは貴女が一人で弾くところなの。さぁ、弾いてごらん。」と
ニヤニヤしながら仰ったのです。

そこで団員大爆笑。

それにしても山田先生の音楽の凄い事、
大恥はかいたけれど、
一瞬にして近代作品の面白さと
オ-ケストラ サウンドに嵌まって
しまったのです。

その後、次の定期の
リヒャルト シュトラウスのホルン協奏曲の伴奏や
ワグナーのオぺラの伴奏などで
朝比奈先生のお宅にもお伺いし、
勉強させて頂きました。
新しい近代・現代の作品に出会えるのが楽しくて
ワクワクしていた時代でしたね。