東京の近場温泉には、「黒湯」と呼ばれる茶褐色のお湯がある。
太古の東京湾の海水が、地殻変動で地下深くに閉じ込められたものだという。
分類的には、弱アルカリ性ナトリウム強塩冷鉱泉になるのだと思う。
冷鉱泉、即ち、温度が25℃以下だったかな。なので、風呂に沸かし湯が入る。
侮るなかれ。混ぜ物せずにただ沸かすだけなら、泉質は殆ど劣化しない。沸かし
湯で近郊の有名処は、黒湯ではないけども「満願の湯」が秩父にある。
強アルカリ性単純硫黄冷鉱泉だったと思う。湯量が豊富で、沸かし湯だけど
とても素敵な温泉だ。高温泉を水でうめたのよりずっといい。
沸かし湯を掛け流しするにはコストがかかるので、循環も止む無しなのかな。同じ
秩父に似た泉質の温泉があるが、そこは循環している。名前は伏せるが、天地の
違いだよ。見分ける基準は湧出量かなぁ。少ない所は循環しないと、ね。
話を黒湯に戻す。
お台場の「大江戸温泉物語」に黒湯の湯船がある。地下1,400メートルから汲み
上げているとか。一度だけ行ったことがあるが、ここはいただけない。各種の多く
のお風呂があるのだが、黒湯が注がれている湯船は一つだけだし、それも強烈
に塩素臭いし。しょうがないのは分かるし、単に温泉を楽しむような施設ではない
のだろう。しかし、だ。だったらそういう宣伝しろ! と言いたくもなる。
ま、いいけど。そういうことなら、それはそれで楽しめる設備が揃っていたし。
我が家の近所に有名な商店街があって、その中に昔ながらの銭湯があった。
黒湯が出ていたのだが、普通の銭湯料金だった。ろくにシャワーも無い懐かしい
感じの銭湯だったんだけど、何年か前に閉鎖されちゃった。惜しい。
錦糸町の駅前にも黒湯が出ている施設(基本的にサウナ)がある。ここは肌色が
合わないので、一度行ったけど入らずに帰った。
ちょっと遠いけど、成田に湯船は小さいけどいい黒湯の温泉がある。「大和の湯」。
正真正銘の黒湯掛け流しらしい。いいけど湯が汚い。込み過ぎ。
他にも世田谷方面には有名な黒湯温泉がある。それらは今後入ってみるつもり。
銚子に天然温泉が出る前、海水を沸かした施設があった。それと黒湯は何が違う
の? 色だけ? おいらには未だ答えが無い。
しかし、太古の海水なら、使い尽くしたらそれでおしまいだろう。黒湯に限らない
だろうが、人間が資源を食い潰すのは何時だ?
その前に代替品がテクノロジーによって生み出されるか。それには新たな資源が
費やされるだろう。
そういった行為の繰り返し。
いずれ人類は、相対性理論の呪縛から解き放たれるのだろうか。
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