ついに母の退院の日がきた。
支払いを済ませ片づけをして、今日からお世話になるホームへ。
訪問診療をしてくれる先生やケアマネ、施設の職員などと今後のケアについて話し合いを済ませ、各介護保険事業所との契約を行う。
母が居間に通されている間に部屋の準備。
ベッドやセンサーマット、歩行器などはすでに設置してくれていたので、布団や衣類を整えたりと、気が付けば昼食も取らず、すでに夕方になっていた。

そっと母の様子を見ると比較的落ち着いていた。もう私の事は忘れているので、声をかけずにそのままホームを出る。
心配はつきない。
まず今夜転倒しないか。
排泄の失敗はしないか。
施設にずっと世話になれるのか。また入院となるのか。
けれども心配していては自分の心身がもたない。
まずは施設の職員さんに母を任せて、私の役割は経済支援だ。

一番大事なのは、命。
命がなくなればお金も物も要らなくなるのだから。
今生きている人にお金を使おう。