ぼちぼち日記

シニアの暮らし方や思い、猫たちのことなどをマイペースで記録しています。

「ホイッスル」 著者:藤岡陽子

2021-02-28 20:36:48 | 
「夫婦の仲がうまくいっていない友達の話とか聞くとね、結婚する意味ってなんだろうって時々思うんだよね。聡子おばさんのことがあってからは、よけいにそう」
「意味・・・とか言われるとお父さんもよくわからないな。ただ、家族になった人間とは、いろんな局面を共有できる凄さがあるぞ。人生においてこれ以上嬉しいことないっていう局面とか、これ以上ないっていう悲しい局面とか。自分の人生のダイジェストを辿った時に、必ずその場にいる人間ってのは貴重だぞ。」

最後まで添い遂げるものと信じていた夫が、突然別の女を愛して家を出て行ってしまう。家も預貯金もすべて持って出て行かれた妻はその時67歳。
衝撃の出来事だ。
主人公を取り巻く登場人物それぞれに存在感があり、あっという間に読み終えてしまった。
夫婦とは、親子とは、そして家族とは・・・。考えさせられる一冊だ。

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ニャンゲル係数。

2021-02-27 21:27:12 | 家族
風太君の歯の件。
抜いたほうがいいかもしれないと先生に言われて、本当なら1月に受診するはずだったのだけれど、何やかやと忙しく。
固い煮干しをやめて、カリカリも少しだけにし、
あれからウエットフードを中心にあげるようにしたら、歯茎の痛みも改善したようだ。
でも風太君にだけあげては不公平。
みんなウエットのほうが好きだから毎回3匹に同じように与えている。

しかしみんな食欲旺盛で、たまには外の野良母子にもわけてあげるので、毎月の出費はかなりのもの。



最近では飼って間もなくペットを手放す(捨てる!)心無い人も増えているが、コロナ禍で家計のひっ迫というのも原因の一つにあげられている。
それを言えば、我が家なんてコロナ以前から同じ経済状況。猫達にかかる費用とニンゲンの食費がほぼ一緒なので、ニャンゲル係数はかなりのもの(笑)。
でも、生きているからね。オバサンは日々地味に生きているので、さほどお金はかからない。
猫たちを養うことが働く原動力にもなっているわけで、かえってそれが健康にもよいのかも。
そう思って働くことにしよう(笑)。
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「JR品川駅高輪口」 著者:柳美里

2021-02-27 21:14:53 | 
死に装束を身に着けたおばあちゃんの顔を見た時わたしは、どこよりも遠いのは、死だと思った。
でも、違った。
死は、どこよりも近い。
どこからだって行ける。
生きることなんて、いつだって中断できる。
どんなに生きたくても中断するしかない時もある。
生にいきなり死が割り込んでくる時もある、地震、津波、火事、交通事故、通り魔―。
自分はそんな風には死なない、とみんな思っている。
みんななんとなく平均寿命ぐらいまでは生きると思ってる。
でも、違う。
すうっと吸い上げられるような立ち眩みをおぼえて、少女はスクールバッグにしがみついて目を閉じた。

主人公の女子高生の深い孤独に胸が痛む。
でも、これは死についての話ではない。
どんな人生の中にあっても生きること、生に向かって歩きだす人の話だ。
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2月23日の空。

2021-02-23 21:09:31 | 暮らし
天皇誕生日。
空が晴れ渡り暖かい一日。
今日、柳美里さんの本を読み終えた。

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「JR上野駅公園口」 著者:柳美里

2021-02-23 20:57:14 | 
喪主として組長のお宅にご挨拶に伺わなければならなかった。
風が生ぬるかった。
桜の木々が競って花びらを散らせているのが目に入った。
歩きながら、頭上にある空の高さを感じた。
晴れ渡った青空の下で、春の一日が始まっていた。
努力している、と思った。
努力から解放されたい、と思った。
自分は、浩一の死を告げられてから努力をしている。
これまでも働く努力はしてきたけれど、今している努力は、生きる努力だ。
死にたいというよりも、努力することに疲れた。

読後いつまでも悲しみが消えない。
読んでからずっと何かが胸につかえるような、しんとした気持ちになる。
深い深い作品だ。

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