帽子をかぶってリュックサックをしょって、渋団扇の如き肌をさらして、そこらにある服を着るバアサンになってはいけない。
大事なのは他人の評価だ。
シミもシワも美しいだと?そんなわけないだろう。そう言わないと救いがないから、言ってるヤツらがいるだけだ。ただ、必ず出るものだから、せっせと手入れして押さえ込むのだ。
先のない年代に大切なのは、偽装。これのみ。磨きをかけて、だますことだ。
私はもう冬も終わりの年代だが、秋に見えるように偽装する。
偽装すれば、年寄りくさいことを自分に許せなくなる。似合わないからだ。
鈍くなること、緩くなること、くどくなること、愚痴になること、全部自分に許せなくなる。
淋しがること、同情を引きたがること、ケチになることもだ。
孫自慢に病気自慢に元気自慢も、許せるわけがない。
エンディングノートもだ。
私は残りの人生、先のない人生に向かい、「やってやる!」とつぶやいた。
主人公のハナさん78歳。個性的でおもしろくて、そしてとても強い。
これなら歳を取るのも悪くないと思える。世の中の多くの高齢者に是非読んでほしい本。