もうずいぶん前、リーマンショックの翌年だったか、この映画が話題になった。
武田鉄矢さん主演。
やや地味なつくりだったけれど、地方の任意団体による自主上映の形で広がっていった。
あの頃、金融危機後の惨状を目にした日本人は、経済至上主義は人から人間らしい暮らしを奪ってしまうことに気が付いたはずだった。
人を押しのけて金儲けに走ったり、上昇することばかりに必死になっている生き方が間違っていることを思い知ったはずだった。
だから、もうそんな生き方から降りて、もっとのんびりと穏やかに生きようと決意したはずだった。
そして、私たちはその生き方を選べたか?
答えはNOだ。
喉元過ぎれば・・・で、再び欲望にとりつかれた。
グローバル社会、インバウンド・・・・。
カタカナ文字が飛び交い、気が付けば、また同じことを繰り返している。
いつ収束するかわからない感染症の後に続くのは、すさまじい経済危機だろう。
世界恐慌というものが一体どんなものか実感としてわからない人ばかりで、果たしてそれに打ち勝つことが出来るのだろうか?
今の私たちは乱気流にのまれた飛行機に乗っているようなものだ。
もし運よく着陸できたら、その時こそは、もっと生き方を考え直したい。
この激しい競争社会から抜け出す覚悟を皆がもたなければ、多分次はないような気がする。