・・・・・・・・・遠ければ遠いでできることはないと言って背を向け、近ければ近いで恐怖と不安があまりにも大きいと言って誰も立ち上がらなかった。ほとんどの人が、感じても行動せず、共感すると言いながら簡単に忘れた。
感じる、共感すると言うけれど、僕が思うに、それは本物ではなかった。
僕はそんなふうに生きたくはなかった。
自分自身はもちろん、他人の感情がわからず、笑うこと、泣くことを知らない、怪物と呼ばれた少年が主人公。しかし、読み進めていくうちに、主人公と私たちの立場が逆転していることに気が付く。
「共感」と「愛」から一番遠いところにいるのは、彼ではなく、実は私たちなのだと思い知るのだ。