まさおレポート

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源氏物語の「もののあはれ」

2023-01-24 | 源氏物語

源氏物語は天晴れと哀れを交互に繰り返す物語で、「もののあはれ」とはその繰り返しの中にこそあるということをこの長編で紫式部はいいたかったのだろう。筋を追ってみると天晴れと哀れが交互に繰り返されている。

因果応報を否定的に捉えずに人の世の常として肯定していることがわかる。煩悩(好色)の果てにしか成道(平安)はないと紫式部は描いている。山頭火の業苦と光源氏のそれは人として同質のものであり山頭火の得た平安と光源氏のそれもまた同質のものであるということが見えてくる。つまり両者は共にもののあはれを体現した生を送った。

①桐壺帝の子、光源氏は輝く日の御子として生まれる 天晴れ

②幼くして母を亡くす 哀れ

③実母に似た継母・藤壺(父帝の妃)を恋う 天晴れ

④正妻・葵の上との政略結婚で苦難 哀れ

⑤中流貴族の人妻、空蟬、空蟬の継娘・軒端荻、六条御息所、夕顔と恋を 天晴れ

⑥連れ出した邸で夕顔が急死 葵の上死亡 哀れ

⑦藤壺の姪紫の上と結婚 天晴れ

⑧父・桐壺院が崩御、藤壺が出家 右大臣の娘朧月夜と関係し都を追われて須磨・明石で流離の日々 哀れ

⑨明石の君との出逢い、京に戻され、源氏と藤壺の子が帝になり六条院で栄華を極める 天晴れ

⑩妻の女三の宮は柏木の子どもを宿す 紫の上が亡くなり、光源氏は出家を決意 哀れ


空にはいっときたれども住むことはできないと立川武蔵は述べる。

ヴィトゲンシュタインの摩擦のない世界に置いても一歩も歩くことはできないと映画は語る。

龍樹も同様だ。

天晴れだけで哀れなくしてはいっときも過ごすことができないことを声を揃えて語っている。

 


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