日毎の糧

聖書全巻を朝ごとに1章づつ通読し、学び、黙想しそこから与えられた霊想録である。

教会会議と聖霊の一致

2010-09-20 | Weblog
   使徒言行録第15章   

  25節「…わたし達は満場一致で決定しました」(新共同訳)
          
  パウロとバルナバは第1回伝道旅行を終えて、シリアのアンティキアに帰ってきたが、そこで新しい問題が起きた。それはユダヤから「モーセの慣習に従って割礼を受けなければ救われない」(1節)と説く者がいたのである。
   これはこれまで直面していたユダヤ教との対立とは違う、異邦人伝道に関わることで激しい議論となった。そこで、使徒や長老たちと協議するためパウロとバルナバと数名がエルサレムに上った(2節)。使徒や長老たちに歓迎されたが、ファリサイ派から信者になった人が数名立って「異邦人で信者になった者にも割礼を受けモーセの律法を守るよう命じるべきだ」と主張したので、問題を解決するために「使徒会議」が開催された(4~6節)。
   使徒会議で最初にペトロが登場し意見を述べている(6~11節)。彼は異邦人伝道の正統性を主張した。「人の心を見通しになる神は…異邦人にも聖霊を与えて…受け入れたことを証明なさった」と説いた(8節)。これはカイサリアのコルネリウスの家で起きたペンテコステ的経験を指す(10章44~48節)。
   彼は「わたしたちは、主イエスの恵みによって救われると信じている…異邦人も同じ」(11節)であり、先祖もわたしたちも負い切れなかった律法の軛を懸けて神を試みるのかと説いた。
全会衆は静かになり、パウロとバルナバは第一伝道旅行で異邦人の間にあった神の業を立証した(12節)。
   続いて会議の裁定者として主の兄弟ヤコブが語った。16~18節は旧約のアモス9章11~12節の引用である。「倒れた幕屋を建て直す」とは、主の名を呼び求める異邦人も加わる幕屋(使徒教会)が建設されるという意味になる。終わりに「わたしはこう判断します」(19節)と言って、はじめに救いの前提となる「恵み」を明確にし(11節と同じ)、次のような「禁止規定」を提案した(20節)。
規定の内容は、ファリサイ派からの入信者を配慮してモーセ律法の中の「偶像に供えて汚れた肉」と「絞め殺した動物の肉と血」を避け、「みだらな行い」(性的不品行)を禁止するというものであった。これを問題の発端となったアンティオキア教会とシリア州、キリキア州に文書で伝達すること、その使者としてパウロ、バルナバにユダとシラスを同伴させることである(22~23節)。これは「満場一致」(25節)で採択された。
   その手紙の文面が23~29節に出ている。その中に「聖霊とわたしたちは~決めました」とある(28節)。そして派遣先の様子が30~35節にあり、これが「励ましに満ちた決定」(3節)であることを喜んでいる。「励ましに満ちた決定」は一語で英語encouragement、原文はパラクレーシス(慰め)である。

   ここから教会会議のモデルとして学びとることができる。
会議に集まった人々が先ず「議論を重ねた」(7節)。次に問題点を歴史的に検証した(8節)。そして当事者の証言を全会衆が聞いた(12節)。終わりに議長は総体的な話で締めくくり、最終提案を出した(13~20節)。そして採決し「満場一致」で決定し、これを裁定書として公表した。そこには聖霊の働き(28節)と、「慰めに満ちた」結果が得られた。