使徒言行録第16章
6節「さて、彼らはアジア州で御言葉を語ることを聖霊から禁じられたので、フリギア・ガラテヤ地方を通って行った」(新共同訳)
パウロの第二回伝道旅行は、15章36節から始まるが、第一回の時途中で引き返したマルコの同道を認めなかった為、バルナバとマルコは別行動となる(37~40節)。パウロはシラスを連れて出発し、陸路で以前に宣教したデルベ、リストラを回った。リストラではテモテを見出し、弟子として同行に加えた(1~4節)。
一行がアジア州と呼ばれる西海岸伝いにコロサイ、ラオディキアを通りエフェソ伝道を考えていたが「聖霊から禁じられた」という(6節)。そこで今度は進路を北に向けてフルギア地方からミシア地方、そしてピティニヤ州に入ろうとすると、今度は「イエスの霊がそれを許さなかった」(7節)。
パウロは宣教計画の挫折を経験させられた。聖霊が臨む時に聖言が語られる伝道の基本を見失う出来事と取られる。地の果てまで宣べ伝えよとの宣教命令に矛盾しているように思われる。しかしこれは宣教が人間本位の計画によらず、聖霊の主導であり、主イエスの霊の働きを証明する積極的な意味を見出すことになる。彼らは一層謙遜にされたに違いない。実際はパウロの手によらなかった(第一ペトロ1章1節)。
彼のエフェソ伝道は第二伝道旅行の終わりにエフェソ港に立ち寄っているが、短い滞在で終わり、第三回伝道旅行の時に二年半腰を据えてなされた。
ここで彼らに「トロアスに下る」という第三の道が開かれた(8節)。これは神の設定であり、彼らの予定行動ではなかった。全く未知の世界へと導かれる聖霊の主導をここに見る。「トロアス」とはトロイの近くという意味で、同名の港があり、特定するためトロイから20キロ離れた「アレキサンドリアのトロイ」で、ローマ植民地都市、黒海とエーゲ海との境界部に当たる。パウロに夜の夢で「マケドニヤ州に渡って来て、わたしたちを助けてください」という幻が示された。これを「福音を告げ知らせる為に、神がわたしたちを召されているのだ」と確信した(9~10節)。
「助けてください」(ボエセーソン)はボエー(叫ぶ)とセオ(走る)の合成語で、助けを求めて走りながら叫んでいる有様を示し、マケドニヤの人々の切実な願いが伺える。
ローマの主要なマケドニヤ州に渡ることは、広くヨーロッパへと福音が拡大する第一歩を踏み出すことになる。
そしてここから主語が「彼ら」から「わたしたち」に変り、「神がわたしたちに示された」と書くことで、この歴史的出来事を出発点にして著者ルカが宣教の働きに参加することになる。ルカは医学の町フィリピ出身で、この「マケドニヤ人」とはルカではないかと言われる。
パウロが旅行の途中で二度進路変更を強いられた時、もし一行が西に向わないでピティニヤ州から東のポント、カパドキヤに向っていたなら今日ヨーロッパ人、アメリカ人は日本やインドの宣教師たちから福音を聞くという逆の周り方であったかも知れないという興味深い仮説がある(A・Cウイン)。
パウロとテモテ、シラス一行はエーゲ海を渡って対岸のマケドニヤ州ローマ植民地都市フィリピでの伝道門戸が開かれる。そればかりか同行者に医者ルカが加わることになった。
6節「さて、彼らはアジア州で御言葉を語ることを聖霊から禁じられたので、フリギア・ガラテヤ地方を通って行った」(新共同訳)
パウロの第二回伝道旅行は、15章36節から始まるが、第一回の時途中で引き返したマルコの同道を認めなかった為、バルナバとマルコは別行動となる(37~40節)。パウロはシラスを連れて出発し、陸路で以前に宣教したデルベ、リストラを回った。リストラではテモテを見出し、弟子として同行に加えた(1~4節)。
一行がアジア州と呼ばれる西海岸伝いにコロサイ、ラオディキアを通りエフェソ伝道を考えていたが「聖霊から禁じられた」という(6節)。そこで今度は進路を北に向けてフルギア地方からミシア地方、そしてピティニヤ州に入ろうとすると、今度は「イエスの霊がそれを許さなかった」(7節)。
パウロは宣教計画の挫折を経験させられた。聖霊が臨む時に聖言が語られる伝道の基本を見失う出来事と取られる。地の果てまで宣べ伝えよとの宣教命令に矛盾しているように思われる。しかしこれは宣教が人間本位の計画によらず、聖霊の主導であり、主イエスの霊の働きを証明する積極的な意味を見出すことになる。彼らは一層謙遜にされたに違いない。実際はパウロの手によらなかった(第一ペトロ1章1節)。
彼のエフェソ伝道は第二伝道旅行の終わりにエフェソ港に立ち寄っているが、短い滞在で終わり、第三回伝道旅行の時に二年半腰を据えてなされた。
ここで彼らに「トロアスに下る」という第三の道が開かれた(8節)。これは神の設定であり、彼らの予定行動ではなかった。全く未知の世界へと導かれる聖霊の主導をここに見る。「トロアス」とはトロイの近くという意味で、同名の港があり、特定するためトロイから20キロ離れた「アレキサンドリアのトロイ」で、ローマ植民地都市、黒海とエーゲ海との境界部に当たる。パウロに夜の夢で「マケドニヤ州に渡って来て、わたしたちを助けてください」という幻が示された。これを「福音を告げ知らせる為に、神がわたしたちを召されているのだ」と確信した(9~10節)。
「助けてください」(ボエセーソン)はボエー(叫ぶ)とセオ(走る)の合成語で、助けを求めて走りながら叫んでいる有様を示し、マケドニヤの人々の切実な願いが伺える。
ローマの主要なマケドニヤ州に渡ることは、広くヨーロッパへと福音が拡大する第一歩を踏み出すことになる。
そしてここから主語が「彼ら」から「わたしたち」に変り、「神がわたしたちに示された」と書くことで、この歴史的出来事を出発点にして著者ルカが宣教の働きに参加することになる。ルカは医学の町フィリピ出身で、この「マケドニヤ人」とはルカではないかと言われる。
パウロが旅行の途中で二度進路変更を強いられた時、もし一行が西に向わないでピティニヤ州から東のポント、カパドキヤに向っていたなら今日ヨーロッパ人、アメリカ人は日本やインドの宣教師たちから福音を聞くという逆の周り方であったかも知れないという興味深い仮説がある(A・Cウイン)。
パウロとテモテ、シラス一行はエーゲ海を渡って対岸のマケドニヤ州ローマ植民地都市フィリピでの伝道門戸が開かれる。そればかりか同行者に医者ルカが加わることになった。