日毎の糧

聖書全巻を朝ごとに1章づつ通読し、学び、黙想しそこから与えられた霊想録である。

海と陸とを創造された天の神、主を畏れる者だ

2015-02-21 | Weblog
  ヨナ1章 
 
  9節「ヨナは彼らに言った。「わたしはヘブライ人だ。海と陸とを創造された天の神、主を畏れる者だ」(新共同訳)。

  1節「主の言葉がアミタイの子ヨナに臨んだ」小見出し『ヨナの逃亡』。アミタイの子ヨナの名は列王記下14章25節に出ている。本書は「ヨナ物語」として読むと理解し易い。
  2節「さあ、大いなる都ニネベに行ってこれに呼びかけよ。彼らの悪はわたしの前に届いている」。ヨナはアッシリアの首都ニネベに赴き悪を指摘するようにと召命を受けた。
  3節「しかしヨナは主から逃れようとして出発し、タルシシュに向かった。ヤッファに下ると、折よくタルシシュ行きの船が見つかったので、船賃を払って乗り込み、人々に紛れ込んで主から逃れようと、タルシシュに向かった」。彼はそれに応えることを厭い、タルシシュ行きの船で逃げた。それはオバデヤ書に見られたイスラエル中心の偏狭な民族思想から来る。本書を解く鍵はここにある。
  4節「主は大風を海に向かって放たれたので、海は大荒れとなり、船は今にも砕けんばかりとなった」。主は嵐を呼んで海は荒れ、船は沈没するばかりになった。しかしヨナが船底でぐっすり寝込んでいるのは逃亡の意志表示である(5節)。
  6節「船長はヨナのところに来て言った。『寝ているとは何事か。さあ、起きてあなたの神を呼べ。神が気づいて助けてくれるかもしれない』」。船長は寝ている彼を呼び覚し「あなたの神を呼べ」と言った。ここにも民族信仰が示される。ヨナは祈ったと思えない。同船の者らが籤引きで神の真意を問うと、ヨナに当たった(7節)。そこで彼は素状を問い質され、この嵐による難船の原因を究明する(8節)。
  9節「ヨナは彼らに言った『わたしはヘブライ人だ。海と陸とを創造された天の神、主を畏れる者だ』」。これに続いて「主の前から逃げてきた」という告白があった(10節)。偏狭な預言者ヨナが自己を否定することで、創造主の神の憐れみと救いを異教徒に伝える結果になった。
  12節「わたしの手足を捕らえて海にほうり込むがよい。そうすれば、海は穏やかになる。わたしのせいで、この大嵐があなたたちを見舞ったことは、わたしが知っている」。事柄の中心に、ヨナと創造主とを向き合わせる。この時ヨナは神の審判に身をさらして問題はわたしだ、責任はわたしにあると告げる。しかし乗組員は理解できないで、ヨナの死によって災いを身に受けないよう神に祈り、申し出た通り彼を海に投じた(13~15節)。ここでヨナはスケープ・ゴート(身代わりの山羊)となった。
  16節「人々は大いに主を畏れ、いけにえをささげ、誓いを立てた」。口語訳「そこで人々は大いに主を恐れ、犠牲を主にささげて、誓願を立てた」。ヨナの死によって証言した主なる神への礼拝と誓願は「人々は大いに主を畏れる」ということを示すものである。それは滅びを思い直される神である。そしてこのメッセージは本書を貫く竪線のようで、3章(9節)、4章(2節)にも明確になっている。