安倍晋三元首相の後押しで、自民党の安全保障調査会が「敵基地攻撃能力」についての提言を取りまとめた。
その目玉が、「敵基地攻撃能力」は先制攻撃と取られやすいので「反撃能力」と言い換えることだという。
国会で100回以上嘘を吐いた安倍晋三が背後にいるからか、言い換えだけで国民を騙せると思っているのだろうか?
この議論の根底にあるのが、憲法9条の実質的改定を目論んでいるところにある。
平和主義を掲げる日本国憲法の下では「専守防衛に徹する」というのが日本防衛の基本方針だ。
(岸田首相もそのように発言している)
ところが、「核を持っていないから」とか「アメリカは軍事介入しないから」ウクライナはロシアに攻められた。
だから日本も核を持ちもっと軍事費を増やせという短絡的結論に走る。
しかし日本とウクライナの最大の違いは、日本は米国と軍事同盟を結んでいる。だがウクライナはNATO非加盟だ。
どこかの国が大挙して日本を攻めてきたときに米国の挙手傍観はあり得ない。
もっとも尖閣諸島に民間の漁船団が上陸しても米国は動かないだろう。
「それくらいは日本でやれよ」という話だ。
この議論の際も日本のアバウトな感覚的もしくは脊髄反射的な思考方法が見えてくる。
仮想敵国は中国としているが、中国は2000発以上のミサイルを保有している。
水際で「どうしたら防御できるか」という議論を吹っ飛ばして、敵基地や敵の中枢部まで届くミサイルを持とうとしたがる。
少し考えたら素人でもわかると思うのだが、10発や20発のミサイルを持ったところであの広い国に何ほどの価値があるか?
日本の取るべき方策は、中国とは「戦略的互恵関係」を維持し、中国が内部から崩壊する過程をじっくり待つことだろう。
いたずらに敵視して無益な敵対心を双方が煽らないことだ。