G7サミットで主な議題に上ったのは、核使用の問題とウクライナ問題であった。
中国問題はややトーンダウンの感じである。
欧州にしてみたらウクライナだけで手いっぱいなのに、台湾問題でさらなる負担は御免こうむりたいという感じか。
日本は中国にかなり深入りしている経済界の意向を考えたら「強硬論」のみで突き進むわけにもいくまい。
米国の腹は、日本と韓国を上手く丸め込んで、台湾海峡周辺に極東のウクライナを作り出そうとすること。
CSIS(米国戦略国際問題研究所)の台湾海峡でのシミュレーションが物語っている。
習近平の本音について遠藤誉筑波大名誉教授の主張が的を突いている。
台湾に関して中国は平和統一を最大の目標にしている。武力統一をすると反中反共の台湾人が増えて中国共産党による一党支配体制を揺るがすからだ。しかし平和統一すると中国経済が圧倒的に強くなり中国一強時代が来るので、アメリカは中国が武力攻撃をせざるを得ないように台湾独立と台湾への武器供与を支援して習近平を刺激している。
中国には反国家分裂法(2005年制定)があるので、台湾が独立を宣言すれば同法に基づいて武力攻撃をするが、できるだけ我慢して中国経済がアメリカ経済を凌駕する2030年まで現状を維持したいと習近平は考えている。アメリカがどこまで中国を刺激してそそのかすか、中国がどこまで我慢できるか、これからの5年間が勝負となる。
現在の日本の学者・評論家の中で中国に対する考察は、遠藤誉氏が最右翼だと思う。
日本の立ち位置は、国益を考えてしっかりと議論したうえで決めるべきで、権力維持を優先するような発想で行うべきではあるまい。
情報操作に惑わされることなく丹念に事実関係を拾うことが必要だと考える。
日本は「孫子の兵法」をもっと研究すべきだ。
百戦百勝は善の善なるものに非ず。
戦わずして人の兵を屈するは善の善なるものなり。