為替介入と言ってもほとんどの人は興味が無いだろう。
為替介入というのは、財務省の財務官がほとんど一人で決定する極めて孤独な仕事だ。
その孤独な戦いで勝利をおさめ、7月末で職を辞した(定年だと思う)のが神田真人財務官。
為替介入の話があると登場する。頭の形で脳力を判断してはいけないが、いかにも頭が良さそうだ。
孤独な戦いというわけは、
「情報が洩れたら終わりだから」
ロシアがウクライナに侵攻以降、まずエネルギー価格が上がった。
アメリカはインフレを抑えるために数度にわたり金利を上げた。
ところが日本は安倍政権以降の異次元緩和の修正に及び腰で、みるみる円安に傾く。
これを狙って投機筋がさらなる円売りを仕掛ける。一時160円を超えた。
この円安のために物価高騰がおさまらない。
そこで神田が動く。
「投機による激しい変動が国民経済にもたらす悪影響は看過しがたい」
神田は2022年秋と、今年の春夏に計24兆円を超す規模の為替介入に踏み切った。
現在は145円近傍で推移していて一息ついた形だ。
「介入はやる以上絶対に勝つ」
02年7月以降、神田は毎朝7時代には登庁し、市場のチャートや経済指標を確認して来たという。
だから20年間の蓄積が相場観を養い、思い切った決断が出来たのだろう。
まだまだ国益を考えて動く官僚がいることに安堵感を持った次第だ。