1週間くらい前からの寒波襲来で、この辺はすっぽり雪にうずもれた感じである。
西芳寺(苔寺)を再興した夢想国師(鎌倉末期~室町初期)の歌が心に響く。
誰もみな 春はむれつつ 遊べども 心の花を 見る人ぞなき
夢窓はもともと真言密教や天台教学に傾倒していた。
ところが師事していた天台の高僧が死に際に酷く取り乱した。
それを見て、禅宗に転じたという。
樹氷
足利尊氏が西芳寺の梅の花を見に来たがすでに散っていた。
残念がる尊氏に夢想国師が詠んだ歌、
盛りをば 見る人多し 散る花の 後を訪ふこそ 情けなりけり
この歌も含蓄が深い。
人生いい時ばかりではないよ、勢いのある時に集まる人より、困っている時に来てくれる人こそ「情けがある」ともとれる。
足利尊氏はこの歌を聞いてどう思ったかわからない。
尊氏は毀誉褒貶のある人物だが、政治性があり、度量も大きな人物だったのではなかろうか。
冬の時期の陽のではインパクトが大きい。