フランスの文化人類学者エマニュエル・トッドによれば、
輝かしい「民主主義」の時代は、もう戻ってこない。
次に来る世界システムは「封建主義」だ、と語る。
その理由として
①国家の中枢が弱体化して国家の各部門が独立して行動するようになる。
権力の崩壊が起こり、超富裕層が真の寡頭支配者になる。
②モノだけでなくヒトまで買えるようになる。
最終的には裁判や司法制度までもが支配される。
なんとも暗い時代予測だが、絶対に起こりえないと否定も出来ない。
アメリカ発のGAFA(グーグル、アップル、フエイスブック、アマゾン)といわれる巨大IT企業の拡大にその兆候が見られる。
ものというよりはヒトの頭の中を占有しようとするだけに始末に負えない。
さらにはプーチン、トランプ、習近平などは明らかに「民主主義」を敵視している。
ロシアは形の上では選挙を行うが、競争相手を抹殺するわけだから中世のピョートル大帝みたいなものだ。
中国は集団指導体制から習近平の皇帝政治が始まった。
まさにこれを「封建制度」というのだろう。
このような世界秩序の中で日本はどうする。
トッドは日本の抱える一番の問題は、「人口問題」だと指摘する。
まずは移民を受け入れるべきだが、これはすでに始まっているから拡充方法を考えるべきだとも言う。
トッドの世界観はやや悲観的過ぎるが、しかしこのような考え方も必要だ。
そのうえで日本はまだ「民主主義」の何たるかを肌感覚で理解できていない。
そんな状況で「民主主義」に明日はないと言われても困るわけだが、日本は「日本式の民主主義」を再構築するべきだ。