今日は誕生日だ。
年女だ。
しかし年々気が若くなっていくような気がする。
いや、元々精神の成長が20歳ぐらいで止まってしまったのかも。
娘と2人で9時に家を出発。
高輪区民センターのホールに到着。
午前中は、青山明先生の奥様、
青山惠子先生の門下生の皆さんの発表会。
お手伝いのために早めに楽屋入りしたのだが、
意外にすることがなくて、みんなで近所のラーメン屋に食事に行く。
ここがおいしかったわ!
今度、白金高輪に来たら、また食べよう。
1時半、惠子先生の発表会開演。
私は、下手袖で、扉の開閉のお手伝いをしていた。
そこで一緒にしていた方が、
明・惠子両先生のお弟子さんで、
「タイタニック」に出演していた方だという。
とても素直な感じのいい若い青年だった。
その方のお兄様がピアノ伴奏をしていらしたし、
お母様は、出演者として歌っていらした。
音楽一家なのだそうだ。
(帰宅後、タイタニックのパンフレットを見たよ!)
惠子先生の門下生の皆さん、うまい!
一人で平均年齢を下げている、我らがRieちゃん。
ものすごくうまい!
なんという澄んだ、若くてのびやかな声。
いつもふざけて歌っている時とは全然違うよ。
その後、休む間もなく、
ミュージカルワークショップ優のリハーサル。
夜は、我々のミュージカルコンサートだ。
リハ前に、インドから一時帰国中のchihaさんと、
お嬢さんのペコちゃんが、
「早く王様になりたい」を披露してくれた。
リハーサルでは、ある程度納得のいく歌が歌えた。
先週、青山先生に言われた課題も、
ちゃんとこなしていたつもりだった。
そして一番気をつかった、NGポイントでピッチを落とさないように。
できていたと思う、たぶん。
リハーサルでは・・・。
あまり時間もなく、メイクをなおしたり、発声したりしているうちに、
いつのまにやらこの世界~♪
じゃなくて、開場、開演。
早い、早い。
「何もやらないよりはやり過ぎる方がいい」
という光枝語録を思い出す。
「丘」と歌いだすより半拍~一拍前に、丘を感じろ。
「風」と歌いだすより半拍~一拍前に、風を感じろ。
「感じない」と歌いだすより、半拍~一拍前に、
何も感じない焦燥感を感じろ。
常に、先に、先に、情景を頭に描いて歌え。
それが、青山先生からの課題だった。
マキャヴィティの2人は、レベルが違いすぎて見とれた。
インド帰りのchihaさんは、
あいかわらず余裕の美声で歌いあげるし、
舞台経験初めてで、超ビビリのたどぅは顔面蒼白になっているし、
ヘロデ王の主催者さんは、すっごく楽しそうだし、
ABBAの「Winner」に挑戦するけいちゃんは、
リハで着ていた上着を脱ぐ覚悟をしたし、
カジモドを歌うカズ兄は、
なんだか皆に迫害されて育ったような顔つきになってるし、
四季の研究生だったM島さんは、
司会+着替えの多さで右往左往しているし、
パッツィは、なんとなく一人超然としているし、
楽屋からは、不思議系かおりんの歌声が聞こえてくるし、
どんどんわけがわからなくなってきた。
必死で姿見の前で、
こう動けば、どう見えるか、研究を続けた。
ああああ、これで体型さえもっとスッキリしていれば。
足さえ、もっと自由に動けば。
私より前に歌う人の歌は、緊張でじっくり味わえなかったけど、
みんな、稽古の時とくらべると格段に良くなっていた。
本当に凄いな、みんなの力も、青山先生も。
そうこうするうちに出番。
一呼吸とって、一人芝居の開幕のつもり。
すでに歌うという意識はない。
「諸君、我々は今、雪山にいる」
この時、照明が背景をブルーにしてくれたらしい。
感謝!!>照明のAKIKOさん
「さあ、感じて! 感じて! 感じて!」
客席にかけて行ったら、4人目で夫を発見。
しまったぁぁ、これですっかりあがってしまった。
ピアニストじゅりちゃんに「感じて!」をかけて、
伴奏が始まる。
あああ、なんとか落ち着け。
青山先生の課題、
歌いだす半拍~一拍前に、感じてから声に出す。
これは完璧にできたと思う。
何も感じなかった。
それで困った。
みんな、本当に何か感じてんの?
マジで?
うわ~、どうしてもバカバカしいとしか思えない!
ドンマイ、ドンマイ、まだまだこれからだよ。
必死にがんばった。
みんなにバカにされて、からかわれた。
先生まで嘲笑した。
それどころか、教えることを放棄しようとした。
そんなんで教師といえるのか?
くやしい!
どいつもこいつも、憎たらしい!
ふざけんな、こんちくしょう!
もはや神頼みしか手はない。
マリア様、私を助けて。
お導きください!
なに、なに、なに、これは。
ずんずんずんずずんずずんずんずん・・・
と重低音で響く声。
自分の心の中に、湧き上がってくる力と勇気。
それが、ある日ついに言葉となって聞こえた。
こんな先生、サイテーじゃん!
学校やめちゃえよ!
もっといい学校がいっくらでもあるよ!
その声は言った。
「おまえにはちゃんと素質がある」
ほ~らみろ、ほ~らみろ、ざま~みろ。
私は今や、女優になったのよ!
だ~れが言ったって?
「女優は無理だよ、なれっこない?」
おーーっほほほほほほほ。
学校をやめた後、その大嫌いな先生が死んだ。
でも、な~~~んも感じなかった。
悲しくもないし、嬉しくもないし、
どうなんだろうね、こういうのって。
いいのか、これで>私
なんか、しみじみ泣けてきたわ~・・・。
呆然。
できたと思う、ちゃんと。
世界を作ることはできた。
でも歌えなかった。
歌は、今までで最悪の出来だった。
一番よかったのは、先週の青山先生の稽古の時。
それを必死でキープしてきたが、
緊張でノドがかたまり、NGポイントもできなくなっていた。
声が全然出なかった!
難産。
でも産みました、なんとか1曲。
考えてみれば私、共演者のいない舞台って初めてに近い。
(高校の時、一人語りのようなものをやったきり)
北川クラスでのソロの時も、
共演者が、いつもそばにいた。
ピアノのじゅりちゃんがいたけど、
一人芝居って、なんて孤独なんだろう。
あがったら、それをお腹にまで引きおろすきっかけがつかめない。
一人だと、あがりっぱなし。
つらかったけどいい経験でした。
皆さん、ありがとう。
ようやく、KAYOさんの「キャバレー」あたりから平常心が戻り、
客席で楽しむことができた。
ネーチャンの後頭部が見えた。
あっちゃんとシーズーが見えた。
K子さんの「愛した日々に悔いはない」に、
みんなでコーラスをつけて終了。
negiさん、のんちゃん、ポポちゃん、タテケイちゃん、
差し入れやお花、ありがとうございました。
あっちゃん、お菓子ごちそうさま。
おいしく腹に入ったよ。
ネーチャン、全然顔見なかったけど、
方向音痴なのに、来てくれてサンキュー。
(この人の批評がまた辛口で)
早く帰らなければいけない人たちを除いて、
軽~く打ち上げ。
心にもないお世辞を絶対に言わない青山先生が、
本気でほめてくださった。
特に、打ち上げには参加していなかったけれど、
けいちゃんの「Winner」は、ベタぼめだった。
青山先生は、
できなかったことが、どこまでできるようになったか、
伸び率を評価してくださっている。
乾杯の後、いきなり娘がこう言い出した。
大勢の前で発言することが苦手な娘なのに、
「ちょっと私事ですみませんがいいですか」と声をかけて、
私に、
「お誕生日おめでとう」と、香り付きドライフラワーをくれたのだ。
サプラ~イズ。
青山先生はじめ皆さんにHappy Birthdayを歌ってもらった。
しあわせ~~~。
陶然と酔った。
終電のがして、近くの駅からタクシーに乗る。
長い長い1日だった。
本日、私が抱いた感情。
不安、感謝、驚愕、焦燥、不思議、幸福、
リラックス、緊張、尊敬、親近感、憧憬、
愛しさ、勇気、無念、軽蔑、嫉妬、期待、
劣等感、苦しみ、傷心、怒り、憎悪の22個でした。
(『Nothing』の中の感情も含む)
今日の青山語録。
「手を抜いた上手なプロより、必死に稽古したシロウトの方が感動を産む」