徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

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書評:島田荘司著、『Pの密室』(講談社文庫)

2019年01月06日 | 書評ー小説:作者サ・タ・ナ行

『Pの密室』(1999年、文庫は2003年発行)は「鈴蘭事件」と「Pの密室」の中編2作を収録したもので、御手洗シリーズ第12作目です。

「鈴蘭事件」は御手洗潔が5歳の頃の事件で、その頃も彼は天才だったことを示すエピソードです。彼は当時女子大の理事を務める伯母のところに預けられており、女子大敷地内に住んでいたため、女子大生に囲まれて(追いかけられて)暮らしていたらしく、女嫌いの発端を垣間見るようです。事件は御手洗の幼稚園の友達の女の子の家で起こります。彼女の家はバーを営んでいましたが、ある日母親が戻ってくると店の中にガラスがは散乱していました。同じ日に買い出しに出た父親が交通事故で亡くなります。大人たちが見過ごしていた散乱するガラスの破片の意味を見抜き、父親が交通事故ではなく殺害されたことを明らかにします。

「Pの密室」は御手洗潔が小学2年生の頃の事件で、小学生・中学生絵画賞の審査を行う画家が愛人と共に完全な密室で絞殺されて発見されます。周囲のぬかるみに足跡も残さず消えた犯人。死体の下に敷き詰められ、血と赤い絵の具で塗りつぶされた画用紙の謎を御手洗少年が解明します。

幼少期も御手洗はやはり御手洗だった。。。ということが分かる中編2作はそれなりに面白いですが、ページを繰る手が止まらない程引き込まれるような面白さとは言い難いので残念ですね。御手洗潔の生い立ちが分かるのはファンとしては興味深いですが。

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