徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:デイビッド・セイン著、『ネイティブはこう使う!マンガでわかる前置詞』(西東社)

2019年01月23日 | 書評ー言語

期間限定で1冊199円になっていたので、思わずまとめ買いしてしまった『ネイティブはこう使う!』シリーズ。時制・仮定法の次に「もやもや」が多い前置詞について書かれた本書をざっと読んでみました。図解でイメージがしやすく、「in time(間に合う)」と「on time(時間ぴったり)」や「talk to(話し合う)」と「talk at(一方的に話す)」などの似ている表現のニュアンスの違いが分かりやすく説明されていて、勉強になります。

【目次】

はじめに
登場人物紹介
前置詞のビジュアル解説
本書の使い方
Part1 「時間」を表す前置詞
Part2 「場所」を表す前置詞
Part3 「動作」を表す前置詞(基本編)
Part4 「動作」を表す前置詞(応用編)
前置詞から引ける索引
動詞から引ける索引


書評:デイビッド・セイン著、『ネイティブはこう使う!マンガでわかる時制・仮定法』(西東社)

書評:デイビッド・セイン著、『NGフレーズでわかる! 正しく伝わるビジネス英語450』(西東社)


Brexitを嫌ってドイツに帰化するイギリス人

2019年01月23日 | 社会

メイ英首相がEUと交渉して合意に達したEU離脱ディールが議会で大差で否認され、しかし、続く不信任決議では解散総選挙を嫌う議員たちのおかげで辛うじて生き延びることになりました。とはいえ、EU離脱の延期や国民投票のやり直しには応じない構えで、今後どうなっていくのか不透明なままです。

こうした状況の中、在独イギリス人たちはどんどんドイツに帰化しています。2017年度は前年比162%増の7493人でした。2018年度の数字はまだありませんが、もしかするともっと増えているかもしれません。

BBCの2018.6.30の記事によると、2017年度はトータル13,141人のイギリス人がEUの他の国の国籍を獲得したとのことで、ドイツ国籍を獲得した7493人がダントツです。それにフランス国籍獲得の1518人、ベルギー国籍獲得の1381人、スウェーデン国籍獲得の1203人が続きます。
2015年度の英国籍離脱者はトータル1826人だったのが、EU離脱の国民投票のあった2016年は5056人に増えて前年比177%増、2017年は前年比160%増。

EU国2014201520162017
オーストリア 6 10 10 24
ベルギー 110 127 506 1381
チェコ 3 2 5 26
デンマーク 21 70 85 164
エストニア 0 0 0 0
フィンランド 13 26 31 147
フランス 279 320 439 1518
ドイツ 496 594 2702 7493
ギリシャ 43 46 31 56
ハンガリー 4 3 11 29
アイルランド 51 54 98 529
ルクセンブルク 63 74 128 366
ポーランド 0 6 5 7
ポルトガル 13 11 20 147
ルーマニア 2 0 1 2
スロバキア 0 2 0 1
スペイン 67 28 44 48
スウェーデン 436 453 940 1203
合計 1607 1826 5056 13141


私の同僚にも在独20年くらいのイギリス人がおり、彼も2017年にドイツに帰化しました。やはり、EU離脱によって不利益を被るのを避けることが帰化の目的だと言っていました。

また、私の元同僚で、イギリス人と結婚して渡英したドイツ人女性がいますが、彼女は逆にイギリスに帰化するのかな、と思ってます。

メイ首相は「ノーディール・ブレグジット」を相変わらず脅迫材料として使っているようですが、期日まであと2か月しかないので、現状のEUとの合意で議会からの承認を得られない以上、離脱の延期を申請する以外はないと思うんですけどね。残りのEU側にしてもノーディールでは実際に困るわけで、だからメルケル独首相は「妥協も必要」と言いだしてます。今後どうなるのか、要注目です。

参照記事:

Statista, Lieber German als Brexit, 16.01.2019

BBC News, Surge in Britons getting another EU nationality, 30.06.2018


書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『ドルリイ・レーン最後の事件~1599年の悲劇』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)

2019年01月23日 | 書評ー小説:作者カ行

『悲劇』シリーズというと、この最後の作品のタイトルが合わないので、『ドルリイ・レーン』シリーズと言うべきでしょうか。まあ、原作の副題は『1599年の悲劇』らしいので、『悲劇』シリーズでもいいのでしょうけど。

あらすじ:髭をまだらに染めた異様な風体の男がサムのもとを訪れた。「数百万の価値があるものに至るカギ」だという一通の封筒を預けて男は消えたが、自分の身に何かあった場合はドルリイ・レーンの立会いのもとで封筒を開けて、その価値あるものの探索をするように言い残した。同じ頃ブリタニック博物館でシェイクスピアの稀覯本すり替え事件が起きる。すり替えはどうやら改修中の博物館に特別許可をとって見学に来た教師の集団に混じっていた青い帽子の男によるものらしく、その男を追って警備員ドノヒューが行方を絶つ。彼の友人がサム探偵事務所に彼の行方を追うように依頼する。ドノヒューは元巡査で、サム警視とも顔なじみだった。

後日すり替えにあった稀覯本『情熱的な聖地巡歴』の1599年版ジャガード本は裏表紙に何かを取り出したらしい傷がつけられており、その修理代が添えられて返却された。果たしてその取り出された紙片は何なのか?

この作品には謎の人物が数人登場します。誰と誰が同一人物なのか、そしてその正体は何なのかを突き止める必要があり、かなりややこしい様相を呈しています。 探偵的推理を働かせているのはもっぱらペイシェンス・サムで、ドルリイ・レーンは対立意見の調停や、補足的推理を働かすのみです。

また、『Xの悲劇』、『Yの悲劇』、『Zの悲劇』で探偵として活躍してきたドルリイ・レーンが最終章ではこれまでとは違う正義に身を殉じ、探偵業ばかりでなく自らの人生の幕引きをしてしまいます。これは、探偵シリーズの終わらせ方としてはかなり異色なのではないでしょうか。


書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『Xの悲劇』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)

書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『Yの悲劇』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)

書評:エラリイ・クイーン著、宇野利泰訳『Zの悲劇』(ハヤカワSF・ミステリebookセレクション)