メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

レンジャー エバポレータ交換。

2023-08-16 19:22:00 | 日野
インスタばかり更新してブログの更新が滞っているので各所からクレーム⁉️←失礼。というか、もっと更新してくれ…と要望があるので頑張って更新します…笑

今までネタを貯めて貯めて記事にしていましたが、これからは単発のネタを小出しに更新頻度を上げようと考えています。
(この方法についてのクレームは受け付けません…笑)

という事で久しぶりの更新はレンジャーのエバポレーター交換…
この時期は大抵がエアコンが効かないというトラブルが殆どだとは思いますが、今回は逆にエアコンが効き過ぎて風が出なくなるという症状。


症状を聞いた時点でエバポレータが凍結してんだろうな…という感じ。
可能性として考えられるのは大きく分けて2つで…
1つはエバポレータのコア表面がゴミで汚れて付着した水分が凍るパターン
もう1つはサーミスターの不良でコンプレッサーの切り替えが上手く行っていないパターン。

まあどうせ同じ近い部分に付いてる訳だし、お盆休み中に作業して欲しいという要望だったので両方とも交換する事に…
休み前に部品を頼んでおき、お盆休み中に修理。


エバポレータ取り外す段階で配管内にオイルが多い…
コレも今までの整備履歴が分かりませんが(弊社ではメンテしていた車両ではない…)距離と年式からしてエアコン関係も何かしら交換してるでしょうが…
その時にオイルを必要以上に入れたのかな…という感想。

リビルトコンプレッサーとかもメーカーによってオイル管理の方法がまちまちで分かり難い部分もあります…
本来であればコンプレッサーを変える時はオイルフラッシングするのが理想ですがメンテ機械を持ってない所がほとんどですからね…

長年溜まっていったオイルが配管内に蔓延っているようです。
という事でオイルフラッシングはキッチリと行いました。




で、内装をバラしていきエバポレータの取り外し…


取り外したエバポレータ…
思っていたより汚れは酷くなかったです…


となるとやっぱりコイツの可能性が高いかな…
サーミスタ


コレ、エバポ交換するのにユニット外したほうが楽なのかな?
どうなんだろう…
なんとかエバポ外せるけど、結局ユニットは半ずらししないと取れないわけだし。


新品のエバポレータ…


新品のサーミスタ…


エキスパンションバルブも問答無用で交換。
ここまでバラすなら、交換はマストです。


全て組み付けたら真空引きからのガスチャージ。
効きは17度前後…


工場内の外気温40度超え…
日野なんで、まあこんなもんですかね…笑

ひとまず凍る事はなくなり無事に完了。




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プロフィア …ミッション載せ換え。

2023-03-12 09:33:00 | 日野
SSプロフィアのミッション載せ換え作業…

ウチみたいな設備だと大型ミッション載せ換えは苦労します…笑

だって車両があまり高くあげられないから…

とりあえずミッション引っ張り出すのにサイドバンパーは取り外し…
トラクタのため上部のデッキパネルも取り外せたので作業性は抜群。



で、ゴソゴソしてミッション降ろして…




こちらは新品のミッション…






急ミッションは補機類を取り外すために立てて…






クラッチディスクの交換。


インターミディエイトプレートは再使用なのでカバー、ディスク、ベアリングの交換。








レリーズベアリングは新品です…


これ、整備書では手で押さえつけてスナップリンク嵌めるって書いてありますが、リテーナーの形状から相当難易度高いですがプレスで軽く押さえれば難なく入ります…








アジャスターは新品。
取り付けボルトにはロックタイトを忘れずに…


クラッチカバーのボルトもロックタイト&トルク締めしてカバー側は完成。










ツインプレート用のアライナーをセットしてクラッチの作業は完了。


あとは新品ミッションを載せて、各補機類を取り付けて完成…






取り外す時は補機類含めてごっそり降ろしましたがスペースが激狭なので載せる時はベアミッション載せた後に補機類を取り付け…

とにかく無事に作業も終わり完了です…

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プロフィア …プロシフト異常。

2022-08-16 22:22:00 | 日野

走行中にプロシフト異常が点灯して変速出来なくなり、一度エンジン切って再始動すると正常復帰するという症状。
再始動後には『運行後プロシフト点検』と表示され、ギクシャク感はあるもののなんとか走行は可能との事で夜お客様の車庫に帰ってきたタイミングで出張で点検。


確かにメーターには運行後プロシフト点検の表示が…


故障コードを確認すると『オートクラッチユニットモーター故障』のコードが…


過去履歴にもACU系のコードがズラリと…


とりあえず現地でどうこうは出来なさそうなので、翌日工場に持ち込む事に。
ところが回送中、プロシフトエア圧低下の警告と同時にブザーが鳴り出す始末…


ブレーキエアタンクのエア圧力はちゃんとあります…

ブザーがなっては止まりの繰り返しなので、どうやら症状的にプロシフト用へのエア供給が追いついていない感じ…
まあ特定のタンクにエアの供給が追いつかない、又は入らない症状は恐らくマルチプロテクションバルブの可能性が高いです…
という事でACUに加え、マルチプロテクションバルブも交換する事に…

とりあえずACUの交換から…


取り外して…


新品のACUを取り付けていきます…
まあ構成部品としてはモーターだけも出ますが、距離も距離なのでASSYで交換する事に…


で、組み付け…


その後、エア抜き作業を…




で、エアが抜けたかをデータ上の数値から確認…


エアが抜けたらダイアグモニターを接続してクラッチの学習を…




クラッチの学習も完了…

その後故障コードが入力されないことも確認。



ACU交換したらモーターの作動回数をリセット…


これでACUの交換作業は完了。



あとはプロテクションバルブの交換…





診断中に動きの怪しかったプロシフト回路中にある2個のロープレッシャーS/Wも交換…






その後データを見ながら試運転…


問題無いことを確認して修理完了。






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レンジャー…ミッションO/H。

2020-04-14 20:17:00 | 日野
ミッションから異音がするという事でオーバーホール依頼を受けたFDレンジャー…

事前情報では最近他県の整備工場でクラッチをオーバーホールをしたらしく、その時にインプットシャフトのガタが大きいので早めに修理をしたほうがいい…という指摘を受けていたそうです。

実際に引取時に発進から2速、3速、4速あたりまでガラガラと大きな音がしており5速6速になると異音は消える…といった感じ。

とりあえずミッションを降ろして、原因を探りつつ必要部品の洗い出しをする事に…

まずはミッションオイルを抜いてみると…







画像だと分かりにくいと思いますが鉄粉が大量に出ております…
ドレンのマグネットにはこんな感じ…



ミッション降ろしてインプットシャフトを確認すると聞いていた通りガタガタ…



ミッションを立てて分解の準備に入ります…



リヤケースからはオイルが漏れているようですが…



よく見ると一度修理をした形跡がありました。




通常、リヤケースはシートガスケットでシールされているんですが、ボンドが塗られているのでどこかで一度ケースを外しているということ…




ただ、修理の形跡はあるもののやたらとオイリーなのでキレイに掃除してよーく調べてみると…

コレ…



分かります?


ここにクラックが…



当り面まで達しているので恐らくダメでしょう…
オイル漏れの原因も恐らくこのせいでしょう。


で、更に分解…



メインケースを取り外して…





ギヤ類や見える範囲のシンクロは問題なさそうだけど、やたらと鉄粉が多い…


ベアリングを抜き取りメイン、カウンターシャフトの取り外し…





で、メインシャフトとカウンターシャフトを抜いたら異音の原因が判明…



メインシャフトの先端部がゴリゴリに削れてる…


当然、そこに入るニードルも…



インプットシャフト側のオイルノズルも折れちゃってます…





更に5-6速のシンクロハブも破損。(そりゃあ、こんだけガタがあれば折れるよな…)





折れた破片…



インプットシャフトも抜き取り…



クラッチハウジングは洗浄…




大量の鉄粉…



鉄粉が多いのでオイルポンプも点検する為に分解すると、案の定キズだらけでした。




爪で引っかかるキズがこれだけ入っているのでポンプも交換ですね…


あらかた部品の洗い出しも完了…
交換する部品としてはメインシャフト、インプットシャフト、5-6速のシンクロユニット、フロントカバー(オイルポンプ)、各ベアリングにクラックの入ったリヤカバーといった感じ…


プレスで各ギヤ類を抜き取っていきます…














全てのギヤを抜いてメインシャフト単体に…



新品のメインシャフト…



比較…


新品…



削れたシャフト…



インプットシャフトも交換します…







右が新品のインプットシャフト…



ベアリングやリテーナを組み付けていきます…
新品のベアリングを圧入してスナップリングの選定…
1番しっくりくるサイズを選択。





更にリテーナを圧入…というか焼き嵌め。
バーナーでイイ温度まで熱します。
こういう時にサーモグラフィが役に立つ…
全体的に温まっているかが視覚的に判断できます。



で、取り付け…



100℃くらいまで温めればスコンと入ります。






次にメインシャフトに各ギヤ類を取り付けていきます…









ハブを圧入…
これも軽く温めておけば楽に入ります…










5-6速の折れたシンクロハブは当然、ナイザー、リング、コーンも交換します。











6速側のシンクロが落ちないように脱落防止をして、メインシャフトの組み付けも完了…





インプットシャフトにニードルを入れて…





新品のニードルとリテーナ





クラッチハウジングに圧入…





フロントカバーの取り付け…





インプットシャフトの取り付けが終わったらメインシャフトの組み付け…












当り面をキレイにして…



ハウジングの取り付け…



ベアリング類を入れて…



リヤケースは新品…









フランジのオイルシールも交換して…



ロックナットも締め付けてカシメて…



ミッションを立てての作業は完了…



ホイストとガッチャで横向きにします。
ところで何でチェーンブロックのこと『ガッチャ』って言うんでしょうね…笑







シフトコントロール系統を組み付けて…


クラッチハウジング内のロッドやフォーク類も組み付けて…


各部にグリスアップしたら…



ミッションオイルを入れます。



これでミッションのO/H作業は完了。





車載して…


エンジンを始動してギヤを入れ、しばらく回して再度オイルの量を確認したら…
後は試運転をして異音が消えた事を確認して完了。



余ったメンドラはクラッチ交換時のアライナーツールとして生まれ変わって頂きました。
カットして…



ナットを溶接…



車種専用のクラッチアライナーの完成…
















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プロフィア …クラッチリフレッシュ。

2018-09-24 19:17:10 | 日野
KS-FR2Pプロフィア…
クラッチの不調で入庫。

走行は約92万キロで過去にブースターとマスターは予防整備で交換してますが、それ以外はノントラブルです。

運転手さん曰く、特に滑ってる様子は無いが最近クラッチの繋がりに違和感を感じるようになった…との事で、今後も安心して乗れるように予防も含めてクラッチ系統をリフレッシュする事になりました。



走行距離は925000km…



内容はクラッチのO/Hに加え、クラッチブースターとマスターシリンダーの交換です。

まずはミッションを降ろします…





ハウジング内部はスチームで洗浄…


カバーASSYとディスクを取り外します…




クラッチディスク自体は残量はまだあるように見えますが、残量は使用限度である2.6mmを下回ってました。

ダンパースプリングも無事ですが…
クラッチは早めの交換が基本です。

クラッチの減り具合は最終的には降ろしてみないと分かりませんが、調整ロッドの詰め具合でおおよその交換時期は判断する事が出来ます。

あとは運転手さんの感覚…これが何より大事ですね…
毎日乗ってる運転手さんならクラッチ断接時の微妙な変化に気づく事ができますから…

今すぐにどうこうというレベルでは無くても
滑ってからでは遅いです…
レッカー代や休車期間の損失などを考えれば、まだ使用出来る段階で予防整備をする事が合理的ですね…

フライホイールもキレイなもんです…



クラッチに良くないのは半クラと急な接続…
空車時はいいとしても荷を積んだ時などは多少面倒かもしれませんがなるべくLOW発進が理想ですね…

この車両はフライホイール表面にも過度な熱がかかった跡も無いのでクラッチ操作が上手な証拠です…
このように乗り方が良ければクラッチも約100万キロ持つんです…

パイロットベアリングの交換…






クラッチディスクをセットして…


クラッチカバーASSYの取り付け…
これも重いので人力では上がりません…笑




カバーを規定トルクで締め付け。
74±10Nmです…


で、クラッチブースターもリビルトに交換してミッションを載せます…




プッシュロッドやクレビスなども新品に交換です…


クラッチトラブルで少なからずあるのがプッシュロッドの破損…
リビルトには付いてこないし、見た目的にも問題なさそうな事が多いので再使用する事も多いと思いますが、長年の金属疲労からある時ポキッと折れる事もあるので注意が必要です。

ミッションが載ったら各部を接続して、クラッチマスターの交換に移ります…


ペダルユニットを取り外してマスターシリンダーを交換します。


このブログでも何度も書いてますが、ペダルユニットを取り外さないとマスターシリンダーのプッシュロッドは交換出来ません。

こちらが新品のマスターシリンダーのキット。


ウチにいるんですがペダルユニットを外さずにマスターシリンダーだけを交換するいい加減なメカニック…
ペダルユニットなんて10分もあれば外れるのにそれをやらないんですからね…

何故新品のキットにロッドも含まれているのか?
それを理解していればそんな仕事はしないはずです…




ま、理解してないんだろうな。笑


そんな事はいいとして…
マスターシリンダーを交換してペダルユニットも車両に取り付け…


更にクラッチオイルの交換&エア抜きを行い…


最後にクラッチの調整を行い、全ての作業が完了です。

これでクラッチ系統はしばらくトラブルとは無縁でしょう…

実際クラッチは滑ってから入庫する事が多いですから…

何度も言いますがクラッチは滑ってからでは遅いので早めの交換が基本ですね…






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プロフィア …尿素水混入トラブル。2

2018-07-21 21:05:45 | 日野
前回の続きです…

サプライポンプ、DPR、尿素SCR触媒を交換してとりあえずエンジン始動出来るまでになりました…


ここから綺麗な軽油と洗浄剤を入れエンジンを回し、リターンを排出し可能な限り燃料経路の内部を洗浄していきます…


リターン燃料は全て廃棄する事になりますが、この方法が一番早くまた確実に綺麗になります…

エンジンを回しながらとりあえず100リッター程循環させた時の変化がこんな感じ…
左が新品、真ん中がサプライポンプ交換直後のリターン燃料、右が100リッター循環時のリターン燃料。


多少綺麗にはなりましたがまだまだ汚れております…

という事で更に150リッター程給油して内部の循環洗浄…


最終的にこんな感じ…
同じく一番左から新品でそれ以降のリターン燃料の色の変化です。


一番右が最終的なリターン燃料…
まあここまでキレイになればとりあえず安心でしょう…
という事でリターンホースも燃料タンクに接続し内部洗浄は完了…

で、引き続き診断機を繋ぎインジェクターの補正値を確認…


データを見ても分かる通り…

悪くは無いんです…

数値自体は…



ただ、アクセルをグンと開けた時にエンジンからカタカタ音がするんですよ…


しかも結構大きな音で…


これはパイロットやプレ噴射が上手くいってない時に発生する音で…
いわゆるノッキング音…


コモンレールのマルチ噴射は1サイクルに複数回の燃料噴射を行うんですが…
パイロット噴射に始まり、プレ噴射、メイン噴射にアフター噴射、最後にポスト噴射などなど…
これを1サイクルで行います。

メイン噴射の前に行われるパイロット噴射とプレ噴射はどちらも予備燃焼でパイロット噴射はPMをプレ噴射はNOxの発生をそれぞれ抑制する効果があり、それと合わせてディーゼル特有のノッキング音の低減効果があります…


エンジンサイズにもよりますがこのディーゼルノック音はまあまあ大きな音で、結構な騒音になるんですが…

今回はアイドリングでは気になりませんが吹かすと『カタカタカタ…』と不快な音が発生しておりました…

まあよく考えればあれだけ汚い燃料が回っていた訳ですからインジェクター内部も当然汚れているでしょう…


という事でインジェクターも交換する事にしました。




インジェクター交換時は高圧パイプも基本的には同時交換となっており交換するパイプをまとめたパイプキットの設定があります。
日野さんはこういう所が親切ですね…
マフラーのガスケットキットもそうですが、これだと発注漏れも無くなりますし頼む方も頼まれる方もミスなく効率的になります。




リビルトインジェクター…


振り分けて…



インジェクターを取り外し…


車が新しいだけあって見た目もキレイです…
が、左から順に1〜6番ですが2番の先端はリークしてる跡も見られますね…


インジェクターやパイプを取り付け…




ヘッドカバーやEGRパイプを取り付けて…
IDコードも書き換え。


エンジンを始動して確認…

無事にカタカタ音は無くなりました。

これビフォーアフターの動画を撮っておけばよかったと後悔してます…笑

それくらい劇的に静かになりました…


後はサイドバンパーやらデッキパネルやらを取り付けて…


全ての作業が完了です…

後は使っていく段階で燃料ももう少しキレイになるでしょう…




で、以前ちょっと気になっていた事…
燃料に尿素水が混入したのにセジメンタのフローセンサーが反応しなかった事がどうにも気になり…

ちょっと実験…

軽油に尿素水を入れた場合どんな状態になるのか…⁉︎

軽油と尿素水…


混ぜてみると…

尿素水を入れた時に泡が立ち、それがなかなか消えないんですよね…


当然、軽油は上部に溜まりますが下部には泡立った尿素水が…

しばらく放置しておくと泡はパチパチ弾けながら収まってきます…


落ち着くとこんな感じ。
上が軽油で下が尿素水…



もしかしたらこの泡立った状態にフローセンサーが入ると浮かなかったりするのかな…

どうなんだろ…

それはそれで今度時間見つけて試してみる事に…



しかし最近の暑さといったら異常ですね…



こんな日は早く帰りましょう…笑






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プロフィア …尿素水混入トラブル。

2018-07-14 16:49:48 | 日野

前回の記事で少し書いた燃料に尿素水が混入してトラブルとなったプロフィア …



部品も揃ってきたので作業を開始。


症状としてはマフラーから黒煙が出る…との事でしたが、診断結果としては燃料タンクにアドブルーを誤注入した結果、サプライポンプのメカニカルシールがダメージを受け燃料にエンジンオイルが混入、燃料品質が著しく低下した事によるPM過多状態からのDPF内部溶損、結果的にマフラーから黒煙が出る…という判断に行き着きました。


入庫時に採取した燃料はこんな状態…


とんでもない色をしております。

前回時に燃料タンクも新品に交換して綺麗な軽油を給油してリターン経路をタンクに戻さずタンク外に排出する方法でリターン燃料を調べてあり…

給油した燃料がこの色に対し…


リターンしてきた燃料はこんな色…


この色の変化はエンジンオイルが微量ながら混ざる事によって起こったと思われます。

燃料にエンジンオイルが混ざる可能性がある所と言えばサプライポンプ以外にはありませんよね…

という事でまずはサプライポンプから交換する事に。


特に苦労する事無く外す物さえ外せば降りてきます。
取り外す時か取り付ける時どちらでも構いませんが1番の圧縮上死点は出す必要があります…

で、ポンプを外してギヤの組み替え。






こちらはリビルトのサプライポンプ…




ギヤの取り付け…
締め付けトルクは246Nm…





で、ポンプを取り付けていきます。
まずは1番の圧縮上死点を出します…
フライホイールの1/6のマークを合わせた時のギヤケースの切り欠きとタイミングギヤの山が合っているかで1番の圧縮上死点を確認…
ヘッドカバーを取り外しておらず、サプライポンプも外れてる時はココで1番の圧縮上死点が確認出来ます。


見にくいですがハウジングに切り欠きが作ってあります…


ポンプを取り付けてポンプ側のタイミング確認も…
こちらは確認用の穴と確認用SSTがあります…


SSTが無くてもタイミングの確認は可能ですがその場合パワステポンプを取り外す必要があります…
値段も数千円なのでE13Cのポンプ交換する時はあった方がいいSSTですね…


ポンプの確認用の穴にSSTを差し込み…


奥まで入ればタイミングはオッケー。


ちなみにタイミングがズレてると奥まで入りません。


規定トルクで締め付けます。



で、なんだかんだ取り付けてサプライポンプの交換は完了…
ちなみに燃料フィルターケースも新品に交換しました。





ココから少々脱線します…笑

取り外したサプライポンプ…
返却する前にどうしても確認したいので少々分解させて頂きます。

フィードポンプ部のシールを点検します。




サプライポンプのカムシャフト部にはエンジンオイルが供給されており、フィードポンプ側にオイルが侵入しないようにシールされてます。

キレイにしてみるも明らかな損傷は無さそう…


ただ、シールの中間部分は黒ずんでます…


オイルが侵入した跡でしょうか…

更にフィードポンプ側の燃料経路を見比べてみると…


心なしか吐出側の方が黒ずんでるように見えます…


カムシャフトのシール当たり部が爪でなぞると明らかに段付き摩耗しておりました…




この摩耗も本来こんなものなのか、それとも尿素水が混入した事によるものなのか…
どうなんでしょう…
見比べた事無いから分からないな…

とは言え燃料にエンジンオイルが混入する原因となるのはココのシール不良しか無いですからね…

まあ少々納得いかない事もありますがやっぱり尿素水が混入した事によるトラブルと考えるのが自然ですかねぇ…

とりあえずサプライポンプの交換は完了…




お次はDPFの交換に移ります。
サイドバンパーやステップ、デッキパネル等を取り外し…


ややこしく見えますがコレも取り外しに苦労する事はありません…


接続されている温度センサーや差圧ホース、尿素水インジェクター、フランジを切り離し、まずはDPR ASSYを降ろします。





それから尿素SCR触媒ASSYを降ろします…







まずはDPFの分解から…
酸化触媒入口側…




反対のフィルター出口側…
煤が酷いです。


表面に溶けた様子はありませんがフィルター出口側に煤が堆積してる時点でフィルター内部の溶損か破損により煤がフィルターを通過している証拠です。

基本的にはDPFはディーゼルエンジンの規制対象となるPM(粒子状物質)より細かい目のフィルターなので通り抜ける事は物理的にありません…
まあ正確に言うとナノサイズの微粒子であるSPMは通り抜けるようですが、規制の対象とはならない程の量のようですが…
色んな文献を読んでいて興味深いのはこのSPMがフィルター表面にスートレイヤーと呼ばれる層を形成する事で元の性能から更にフィルタリング能力を高めているという事。

つまり新品のフィルターに敢えてナノサイズの煤を堆積させる事で新品時より高いフィルター性能を発揮するという事…

考えた人は天才…いや、変態ですね…笑


下の画像を見ても分かるとおりハニカム状のセルの表面だけでは無く内部にも煤が付着してるセルがいくつかあるのが見えると思いますが…


その部分は煤がフィルターを通り抜けてしまってるという事です。


更にSCR触媒の方も分解して確認すると…


SCR触媒入口側は一部溶損しておりました。



出口側も当然ですが煤で真っ黒け。


これではマフラーから黒煙が出る訳です…
更にこんな状態では触媒の機能は十分に活かせないでしょう…

排ガスの後処理機構では…
エンジンから出た排ガスは酸化触媒を通り、その後DPFでPMが捕集されます…
最初の酸化触媒は煤の燃焼を促進する為の触媒で…
そのDPFでPMを除去された排ガス中に尿素水を噴射する事で加水分解されアンモニアが生成され…
そのアンモニアがSCR触媒でNOxと化学反応を起こし無害な窒素ガスと水に還元します。
更にSCR触媒で反応しなかった余剰分のアンモニアを大気に放出するのを防ぐためにアンモニアを酸化させるアンモニアスリップ触媒が付いてます…
触媒はハニカム状のセルに用途に合わせた物質を数種類コーティングしてありますが、そのコーティングされた表面に煤が堆積すると還元作用は明らかに低下します…
ましてやDPF以降の触媒では煤が堆積する事は想定外ですからね…


こちらが新品のDPR ASSY…


前側に酸化触媒、後側にDPFが組み込まれてます…

更に追加で注文していたSCR触媒も…


こちらも前側にSCR触媒、後側はアンモニアスリップ触媒が内蔵され一体となっております。


余談ですが、この触媒2点でお値段70万超えです…(-_-;)



まずはDPRの組み立て…




ちなみにこのマフラー関係を洗浄や交換する場合に必要となるガスケットやボルト類をまとめたキットがあります…



SCR触媒も組み付けて…




各フランジのボルトは規定トルクで締め付けます…




で、まずはSCR触媒を車両に取り付け…


更にDPRも取り付けます…







と、マフラーを取り付けた所で一旦終了…


長くなるので続きは次回です。






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プロフィア …プロシフト不調。

2018-05-31 20:35:43 | 日野
24年式のLKG-SH1Eプロフィア…

プロシフトが変速出来ずチェックランプが点灯…
走行不能になったとの事でレッカーにて入庫しました。




現在はチェックランプも消え走行可能なようですが…


故障コードを確認すると…


P188C シフトユニット故障
P0913 シフトユニットモーター異常(無電流異常)


と以上が過去コードとして残っていました。
各データは少々気になるところがあるものの今のところは正常に作動してるようです…






このP188Cシフトユニット異常の検出条件は自動変速時や任意変速時にシフト制御を3回やり直しても完了しなかった場合に異常と判断するようで…

P0913シフトユニットモーター異常はシフト制御時にモーター駆動信号を出しているにも関わらず無電流の状態を検知すると故障コードを記憶するようです。

この条件から考えればおおよそ不具合の原因は予想がつきますが…

プロシフトECU〜シフトユニット間のハーネスは点検の結果異常なし。
可能性としてはプロシフトECUなどの不具合も無いとは言い切れませんが症状が出たり出なかったりという事を考えるとアクチュエータの可能性の方が高いですね…
症状が確認出来る状態であればデータ上のシフト制御ステータスからシフトモーターの実デューティの変化を見れば原因も特定出来るでしょう…

ただ、今は正常になってるので確認出来ず。

お客様には今現在症状が確認出来ない事も伝え、原因の可能性が高い部品の見積もりを出しておりましたが…

OKが出たので早速作業開始です。

現車はトラクターヘッドなのでミッションへのアクセスはデッキパネルを外せば非常に楽チン…
カーゴとかだと地味に苦労すると思います。



問題の部分…


シフトモーターと…


セレクトモーター…


見るところレンジケースが交換されてるのでリコール対象車ですね…
このミッションはプラネタリキャリアの強度不足から起こる変速不良でリコールが出てます…

今回は恐らくシフトモーターの不具合でしょうが、シフト側もセレクト側も同じモーターを使用しているので予防も含めて両方交換です。
値段も1個約26000円とさほど高くもありません…

取り外して…


新品のモーター…
近くの各営業所には在庫がゴロゴロしてるのでよく出る部品なんでしょうね…笑


取り付け…
締め付けトルクは6Nm。


トラクターヘッドなので交換作業自体は30分もあれば終わります…



で、シフト、セレクトモーターの取り付けが終わったら各学習の実施。
A-MTなのでアクチュエータやセンサー交換後は初期学習が必要になります…

ダイアグモニターと専用ハーネス…


運転席足元にある設定用コネクタと専用ハーネス、ダイアグモニターとATMタグの付いたコネクタをそれぞれ接続します。




まずはニュートラル学習…
このニュートラル学習はプロシフト用エアタンクのエアーを全抜きしてノーエア状態で学習させる必要があります…

キーONにして…


所定の操作をして学習…




最終的に表示が"N"表示になれば学習完了。


続いてシフト位置学習…
今度はエアーを溜めてまたまた所定の操作を…




こちらも"N"表示で完了。


更に通常はモーター交換時には必要の無い作業ですがドライバーさんからクラッチの繋がりに違和感がある…という事だったのでクラッチ学習もついでに行う事に。
エンジンを暖機してコレまた所定の操作を…


しつこいですが"N"表示で学習完了。


で、整備書では本来ならシンクロ学習も行わなければならない事になってるんですが…
このシンクロ学習だけ何故かダイアグモニターでの学習は不可能…
専用の診断機が必要になってしまいます…

当然、専用診断機なんて持ってないのでシンクロ学習をするならディーラーさんにお願いする必要があります…

が、実際にはギヤイン時にギヤ鳴りがする事も無いので今回はこのままです。

勿論、プロシフトECUやシンクロ機構を交換した場合には間違いなく学習は必要になってくる作業だと思いますが、個人的には今回のようにモーターやシフトユニットだけの交換時はギヤ鳴りしなければあえて現学習値をリセットする必要は無いと思いますね…

それにこのシンクロ学習も結構大変そうなんですよね…
走行しながら学習する必要があるのでスピードテスターなどのフリーローラーに乗せないと学習も出来ませんし…
その一連の作業を10回以上繰り返さなければならなかったり…
それで完了という訳ではなく、トラクターヘッドは更に使用過程で学習していくという複雑な工程…




今のところ念入りに試運転しても特に不具合はありません…




故障コードも無し。


これで恐らく問題ないでしょう…

後はカバーを取り付けて…



完成です。









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初入庫…3

2018-03-19 23:51:57 | 日野
初入庫シリーズその3です…笑




FWの新型プロフィア…



ひと通り大型4社がモデルチェンジを終え、正直なところ見た目は日野さんが一番評判がいいです…

まあ大事なのは見た目だけではありませんが…

見た目も重要な要素の1つである事は間違いありません。

どうせならカッコいい方がいいでしょう…笑



フロントパネル開けるとコーナーパネル部も一体で開くんですねぇ…





シートがカッコいいですね…
トラックにこのシートは贅沢ですよ…笑
まさか本革ではないと思うけど…



内装の色あいはレンジャーと同じです…




パーキングブレーキもインパネに…


ボルボやベンツと同じですね。



プロシフトのシフトレバーは無くなりダイヤルセレクターとなりこれまたインパネに…


特徴的なデイライトも…


エンジンはA09C…
もちろん、改良されてるでしょう。


エキゾースト側を見てちょっとビックリ…


まさかのツインターボですかコレ⁉︎


ドライヤーもWABCOのカートリッジになってます…



純正テールはダサいっすねぇ…笑


シャーシは特に変わったところは無さそうです…




さあ…


これでモデルチェンジした車両でまだ入庫してないのはふそうさんのスーパーグレートだけですねぇ…



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初入庫…2

2018-02-15 18:58:56 | 日野
初入庫シリーズです…



こちらも当社のお客様第一号となった…




新型レンジャー。



見た目はカッコいいじゃないですか…‼︎笑




メーターもすごい見やすいです…


最近のトラックにもステアリングスイッチは標準装備なんですねぇ…


インテリアもモダンな色分けで小洒落てますよ…トラックのくせに…笑





ハザードスイッチがインパネに移りましたね…
これは賛否が分かれる所でしょうが、最近のトラックはインパネが主流のようです。
コンビネーションスイッチで慣れちゃってる人は間違いなくウォッシャーを作動させるでしょう…


新型エンジンのA05Cは低馬力仕様だけNOx対策にアドブルーは使用してないようです…


EGRをNOxセンサーのフィードバックで緻密にコントロールする事でNOx低減を計ってるんでしょう…
その為かEGRは大容量タイプですね。




PM対策には噴射制御とDPR…
トータル的に使い手の事を考えた結果だと思います。
PMトラブルやカーボントラブルが少々心配ですが…
アドブルーを使わず排ガス規制をクリア出来るなら、余計なコストがかからないので使わない方が良いに決まってますからね…


ただし、同じA05Cでも高出力仕様にはSCRを搭載してるようです…



車両は少し手直しして3月に新規登録です…



ところで不整地仕様はどうなるんでしょう…

前のレンジャーみたいにコーナーパネルに角目ヘッドライトはやめて下さいね…


ダサいから…笑


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