まずは28年式のADバン…
お客様の会社の連絡車なんですが…
もともと禁煙車で使用してたのに別の人がそれを知らずに車内でタバコ吸った為、臭くて乗ってられないのでニオイを何とか出来ない⁉︎…との事で入庫。
実はこういうニオイのトラブルって結構多いんです…
私もタバコを辞めてはや10年程になりますが…
タバコを辞めて感じたのはタバコのニオイって吸わない人にとってはやっぱり不快なんですよね…
吸ってる本人は気付かないんですけどね…
これまたヤニがこびり付くと更に悪臭です…
そんなニオイトラブルですが…
車内清掃を専門でやってる業者さんもあり綺麗にはなるんですがやはりお値段もそれなりにかかります…
なので手に負えないレベルの汚れやニオイじゃない限りはお願いする事はありません…
今回は確かにタバコ臭さは残るものの軽度だった為自社で対応する事に。
ウチではニオイのトラブルに関して比較的簡単で効果が出る方法として…
車内のモケット部に消臭剤、エアコンフィルター交換、エバポレータ清掃…という方法で対処してます。
とりあえず、車内の天井やシートなどのモケット部に無臭の消臭剤を満遍なく吹きかけておきます…
消臭剤は必ず無臭の物を使用します。
ニオイ付きは人によっては不快に感じる場合もあるので。
グローブボックスを取り外してフィルターの取り外し…
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ニオイが気になる…という場合にはエアコンフィルターもプレミアムを使用します。
気分的にですが…笑
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新旧比較…
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折り目が増えているのが分かりますね…
それだけ表面積が増えるのでより多くの異物を除去出来ます。
オマケにビタミンCが放出されるらしいけど…
ビタミンCはよく分かりません…笑
組み付けて…
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交換証も貼って完了です。
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お次はエバポレータの掃除…といっても取り外して掃除する訳ではありません。
外部から掃除出来るクリーナーがあります。
ただ、汚れが酷いケースだとこのクリーナーでは無理です。
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エバポレータの排水口からノズルを差し込み中に特殊な洗浄剤を注入します…
1本丸々使い切ります。
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後は自然に乾燥するのを待って完了です。
個人的には気にならないレベルにまでニオイは無くなりました。
これで一旦納車です。
お次は車検で入庫していた25年式のFR1Aプロフィア…
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車検整備も無事終わり車を出そうとエンジンをかけると…
EBSのチェックランプが…
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(;´д`)…
チェックランプが点くような作業したっけ⁉︎…と自分の行った作業を思い返しつつ診断機で故障コードを確認。
すると…
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バックアップバルブ故障のコードが…
消去も出来ないので現在故障です。
とりあえず車検整備で行った作業とは関係ありませんでしたが…
このタイミングで点くとはなんとも運が悪い…
日頃の行いが悪いのかな…
どちらにしてもEBSが異常では車検には通りませんので修理する必要があります。
お客様には説明するんですが…
この辺りは本当に説明が難しですね…笑
難しいというか本当の事を言うだけなんですが、お客様としてはやはり車を預けた時には点いてなかったチェックランプが整備した後に点いた…っていう時点で整備が原因なんじゃないの?って思っちゃいますよね…
今回のようなケースだと専門的な事を説明しても理解するのは難しいと思いますし…
まあこんな時はなるべく分かりやすく丁寧に説明するしか無いんですけど…
で、問題の故障コードのトラブルシュートを行なっていきます。
まず、このEBSのバックアップバルブとはその名の通りEBSの制御に異常があった時にブレーキの制動力をバックアップするバルブの事で、通常EBSはドライバーがブレーキペダルを踏み込んだらその踏み込み量に対してコンピュータで演算された最適なエア圧を各ブレーキに送りますが…
そのEBS制御に異常があると最適なエア圧が送られず制動力不足となりブレーキの効きが著しく低下するのを避ける為にバックアップ回路が設けてあります。
EBSが正常な時はブレーキを踏むとバックアップバルブ内のソレノイドに通電されバックアップ経路のエアを遮断して通常の経路からエア圧をモジュレータに送ります…
つまり正常時はバックアップバルブ経路は経由しないようになってます。
EBSに異常が発生した時はフェイルセーフとしてソレノイドには通電されずブレーキバルブからのエア圧が直接バックアップバルブを経由してモジュレータに送る事で制動力の確保をしています。
今回はそんなバックアップバルブが故障しましたよ…っていうコード。
基本的にはバックアップバルブが壊れても機械的にバルブを押し開くのでブレーキペダルの踏みしろは増加したりペダルフィーリングは変わりますがブレーキは効きます。
トラブルシュートとしてはバックアップバルブ本体が悪いのか?配線が悪いのか?のどちらかに絞れます…
早速調べていきます。
まずはEBSコンピュータのコネクター部での抵抗を測定。
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サーキットテスターを接続してハーネスとバックアップバルブ内の抵抗を測定…
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画像だと分かりづらいと思いますが、この型式での抵抗の基準値は28〜47Ωですが、実際には56kΩと高抵抗…
次にバックアップバルブ側のコネクタを外し、バックアップバルブの単体点検。
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すると…
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36.6Ω…
基準値が28〜47Ωなのでバルブ本体は問題無さそうです。
という事でコネクタ部を直結させて…
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配線単体の抵抗を測定すると…
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60kΩ…
配線不良確定です。
高抵抗ですが断線してる訳ではありませんので、どこかで配線が腐食して抵抗が増えてる…という事でしょう。
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各ジャンクションコネクタを点検してみるも特に目立った腐食も無く…
ここから接触不良箇所を特定するのは莫大な労力と時間がかかるので…
今回は問題の配線2本を新たに引き直す事にしました。
フォルトファインダーも試したんですが…
断線では無いので腐食箇所の特定は出来ませんでした。
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キャブ外のワイヤーtoワイヤー部コネクタからバックアップバルブまでをバイパスさせる事に。
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フレーム周りに這わす時はコルゲートチューブを通して配線を保護します…
で、バックアップバルブのコネクタ前で接続…
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再度コンピュータ側で抵抗を測定…
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36.9Ωで無事に基準値に収まり…
エンジンを始動…
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無事にチェックランプも消灯しました。
最後に各システムの自己診断をして故障コードが入ってない事を確認。
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壊れるタイミングは非常に悪かったですが…笑
無事に修理も終わり納車です…