メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

スーパーグレート…水漏れ修理。

2017-02-27 20:53:24 | ふそう
23年式のFU54VZスーパーグレート…


仕事を終えて片付け中にお客様から電話があり、車の下に水溜りが出来るほど冷却水が漏れてるので見に来てくれ…との依頼が。


とりあえず現地まで見に行くとアッパーホースのエンジン側接続部に噴き出したような跡があり、またホースの隙間からポタポタと漏れておりました…

リザーバータンクを確認するとちゃんと入ってますが、サージタンクのプレッシャーキャップを取り外すとプシューッと圧が抜ける音がして、それと同時に水漏れも止まりました…

メーター内の水温計を確認するも完全冷間状態…
漏れてくるクーラントを手で触るも冷たいままです…
基本的には冷間時に冷却系統の圧力が高くなる事はあり得ません。
なので何か別の原因で冷却系統に圧力がかかってしまっている状態…

となると疑わしいのはやはりコンプレッサーヘッドから抜けた圧縮エアー…

が、今日はもう遅いので詳しい原因究明は翌日にするとして…
工場に持ち込む為にこのまま走行するのはリスキーなので翌朝にレッカーを手配。





翌日、朝から現状の確認と原因追求を。
エンジンは6R10…



まずラジタン付けて補水してエンジン始動…
するとこんな感じ…
エンジン作動時の冷却水液面



泡だらけ…笑

その後エンジンを停止して泡を除去。

で、これが…

エンジン停止時の冷却水液面

プクプクとエアーが上がってくるのが見えると思います。
エンジン停止状態で吹き返すのはコンプレッサーヘッド不良の代表的な症状…

という事で原因はコンプレッサーヘッドからの抜けで間違いないでしょう。

4トンクラス以上のトラックになるとブレーキやクラッチ、その他の機構に圧縮エアーを利用している事が多くその機構上、圧縮エアーを作る必要があります。
その為エンジンの回転を利用したエアーコンプレッサーが装着されてます…

で、コレもレシプロ式のコンプレッサーが主流…というかトラックで言えばレシプロ式しか見たことありません。
シリンダーとクランクがあってコンロッド、ピストンなど…
バルブ機構こそ簡易的なリードバルブですが、水冷式のシリンダーヘッドも。
シリンダーヘッドがあるという事はヘッドガスケットもある訳で…
ヘッドは水冷式なので当然冷却水も循環してます。

そんなヘッドガスケットが抜けると圧縮されたエアーが冷却系統に混入します…
通常なら冷却系統内の圧力が高くなり、プレッシャーキャップの開弁圧力を超え、リザーバータンク側にポコポコとエアーが抜けるのが普通なんですが…
今回はラジエーターホースから吹き出し…

理由はこれ…


プレッシャーキャップ。

このキャップのゴムパッキン…


新旧比較するとこんな感じ


パッキンがベロベロのデロデロになってます。
その為、キャップ口にパッキンがくい込み、プレッシャーキャップが規定圧力を超えても開けなかった為に、冷却系統全体の圧力が上がり1番弱かったラジエーターホースの接続部が圧力に耐えられず漏れた…という事。

ただ、ホースの接続とはいえホースバンドでちゃんと締まってる訳ですからね…
ホースの劣化具合にもよるとは思いますが、一体どれ位まで圧力が上がると漏れるんでしょうか…

この車両の冷却系統の最高圧はプレッシャーキャップの開弁圧力である70kPa…

今回はそれ以上かかった事は間違いありません…
なのでどこか別の所にダメージがいってる可能性も否定は出来ません。
今回は複合的なトラブルですが、プレッシャーキャップやラジエーターキャップの定期交換はやはり必須ですね…
高い物でもないので車検毎に変えておけば安心です…



で、この車両は3月が車検月という事もあり修理と合わせてこのまま車検も依頼して頂ける事になり、車検整備と並行してコンプレッサーの修理をする事に…
車検整備ではドライヤーの交換も依頼されたんですがドライヤーのドレンはオイルでベタベタ…
そうなるとどうせコンプレッサーヘッドを修理するならコンプレッサーもO/Hしたくなりますが…

問題はこの6R10はコンプレッサーヘッド関係は単品設定があるもののシリンダー側は設定無し。

つまりO/Hは不可でASSY交換になってしまいます。

ただ、今後の事も踏まえお客様には交換を提案。

結果的にコンプレッサーはASSY交換する事に…


車検整備も同時進行なのでとりあえずリフトアップし足廻りを分解…


内容はフルコース。
エンジン、ミッション、デフオイルにエレメント類一式、ベルトやドライヤーにLLCの交換…
下廻りの塗装も。
それに加え、エアコンプレッサー、ラジエーターホース類、サーモスタットも。


まずはオイル関係から
ミッションオイル、デフオイル、エンジンオイルを抜き取りつつ、エレメントの交換。




規定トルクで締め付け。


この6R10はダイムラー製のエンジンなんですが、エレメント類のキャップには締め付けトルクが記載されてます…
ヨーロッパメーカーに多いんですが、これはトルク管理を意識する事に繋がるので非常に良いと思いますね…

オイルパンのドレンボルトの規定トルクは70Nm
ガスケットを新品にして…


締め付け。


締めたらペイントマーキング。


エンジンオイルを入れます…
規定量は35リットル。



続いて燃料フィルターの交換…


プレフィルター、コアレスサーフィルター、ファイナルフィルターと3つの燃料フィルターが付いてます。

取り外した燃料フィルター。




新品のフィルター


ケースに組んで取り付け。






こちらも締め付けたらペイント…


更にアドブルーフィルターの交換も。





ミッション、デフオイルも抜け切った頃なのでドレンを締めてオイル注入…









ベルトも交換。
今回はオートテンショナーにガタがあり異音があった為、同時に交換。


テンショナーロックピンを入れてベルトの取り外し。


テンショナープーリーに合わせアイドルプーリーも交換…


新品のオートテンショナー。


取り付け…




ベルトも付けてこちらも完成。



お次は本題のコンプレッサー交換。
ちなみに今回はASSY交換ですが、6R10は車上でのシリンダーヘッド交換は不可の為、仮にヘッドだけ交換の場合もコンプレッサーASSYでの脱着が必要となります…

すぐ上にサプライポンプがある為スペースが無いんです…


ホースやウォーターパイプを取り外しコンプレッサー本体を止めている4本のボルトを取り外せば降りてきます…


取り外したコンプレッサーASSY。


国産メーカーのコンプレッサーです。
だったら内部部品出してくれてもいいのに…
新品ASSYは約18万しますから…

で、ギヤを新品のコンプレッサーに組み換える為に取り外し。


ちなみにこのナットは逆ネジを使用してます。

ナットを緩めてギヤの抜き取り。


テーパー嵌合なのでテンションかけてセンターボルトを叩いてやると外れます…
外れたギヤ。




新品のコンプレッサーに再利用する部品を取り付けていきます。




ギヤも取り付け…
ナットは新品に交換。




ギヤを固定するクランクシャフトにはキーも何にもありません。


このナットの締め付けは230±20Nm。




エンジン側のハウジングを綺麗に掃除して新品のOリングを入れて組み付け。
コンプレッサーの取り付けボルトは60Nmで締め付け…




ウォーターラインは新品に交換





他にもサーモスタットも交換。
取り外したサーモスタット…




新品サーモスタット。


取り付け…




アッパーホースにロアホースを交換してひと通りの作業は完了…


後は冷却水の注入です。



エンジンを始動する前に冷却系統のプレッシャーテスト…
キャップ不良でシステムの最高圧を超える圧力がかかってますから…
今回交換した箇所以外でまた漏れる再発トラブルを少しでも防ぐ為の確認です。

ラジエーターのアッパーやロアタンクのカシメなどやEGRクーラー、その他のホースからも漏れたりしないか⁉︎…を圧力をかけて点検。
このエンジンでの冷却系統にかかる最高圧でテストします。


20分後…


大丈夫そうですね…^_^

という事でエンジン始動。

コンプレッサー修理後の冷却水液面

泡立つ事も無く吹き返しもナシ…笑


暖機&エア抜きをしつつ、足廻りを組み付けて車検整備も完了。

後は試運転…


そして翌朝リザーバーとサージタンクの水量の確認と補充…
そして検査をして完了。




コレにて車検&修理は終了です。


今度空いた時間に問題のコンプレッサーを分解して詳しく調べてみる事にします…笑



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デミオ…チェックランプ点灯。その他

2017-02-22 23:26:25 | マツダ
まずは題名のデミオ。


エンジンチェックランプが点灯して入庫。


早速故障コードを確認…

すると…


P0328…ノックセンサー回路電圧異常のコードが。
ノックセンサーはエンジンのノッキングを検知するセンサーで、センサーがノッキングを検知するとECUが点火時期をリタードさせてノッキングを抑制します。

で、このコードはノックセンサーからの電圧が高くなると検出するようです…
なのでおそらくセンサーの内部抵抗がおかしな事になってるんだろう…と。

基本的にノックセンサーはシリンダー横のブロックに付いてる事が多く作業的には外すものがあり、手間がかかる事が多いです。
今回の車両もどこに付いてるのか調べると…


インマニ裏…(T_T)

という事で、インマニを取り外し…





ノックセンサーがお目見え。


で、手持ちのO2センサーソケットが使えるだろう…と思ってたらこのノックセンサは24mmで使えない…

配線付きなので通常のメガネレンチは使えず…
また、少し入り込んでいるのでオープンレンチも不可。

そこでコネクタピンを抜いて作業する事に…


これでメガネレンチがかかります…笑



新品のノックセンサー


同じようにコネクタを取り外して取り付け…



インマニやEGRパイプのガスケットを新品に交換して組み付け。




後はチェックランプが消えた事を確認しつつ過去コードを消去して完了。



お次はSS1Eプロフィア…

プロシフト車両で発進時などにギヤが入らない事がある…との事。
ミッションはZFの16速。
警告灯などは点灯しておらず、今現在は走行に支障は無いようです。

とりあえず現時点で出来る事はクラッチフォークとシャフトのグリスアップ…
ここのグリス切れからの摺動不良でギヤが入らなかったり、発進時のクラッチの繋がりがおかしくなったりします。

クラッチアクチュエータを取り外してフォークとシャフトを取り外します。




キレイにしてグリスアップ…


指定のグリスはシェルサンライトグリスのno2。


ベアリング、シャフトの摺動部にグリスを塗って組み付け。


取り付けボルトはトルク指定されてますが、この間口ではトルクレンチが振れません…

ちなみにこのグリスアップ作業は1年毎の定期項目となってます。

これで様子を見てもらいます…
という事でプロフィアも完了。


他にも何かのフタ?と思われる部品に取手を付けて欲しいとの依頼。
こんな依頼も結構あります…笑

ステンレスのフタ…




こちらにステンレスの丸棒を曲げただけの取手を溶接。
位置決めをして…


溶接。




焼け取り機は持っていないのでサンポールで…

少しの焼けなら意外と除去出来ます…笑
後々の水洗いは絶対必要ですが。


焼け取り完了…笑






それから以前修理したオートコンのチェーン切れ…
その後問題無く使用しているんですが、修理した時は現車のチェーンから使っていないブラケットを移植して対応したんですが、それにも使えるブラケットの数に限界があったので、今後切れた時に対応する為に特殊部品を扱う業者さんに調べて貰っていたんです…

ところがそのチェーンを製造してたメーカーに問い合わせた結果、現在では製造も販売もしておりません…との回答だったらしく…


それでは困るので…




付き合いのある業者さんに


作って貰いました…


50個単位での製作にはなっちゃいましたが、プラズマカットしてプレスベンダーで曲げてナットも溶接…




完ぺき…笑


これならオートコンのチェーン切れ修理にも当分対応出来るでしょう…

必ずまた切れますからね…




これでお客様を待たさず迅速な修理が可能です。


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クイックデリバリー…水漏れ修理。

2017-02-21 00:20:26 | トヨタ
XKU280クイックデリバリーハイブリッドが水漏れ修理で入庫。

走行距離は約18万キロ…



移動販売車です…

エンジンはN04C。



正直、N04Cで水漏れ…と言ったら真っ先に思い浮かぶ箇所があります…



そう、オイルクーラーハウジング…笑

シリンダーブロックとオイルクーラーハウジング
の取り付け面から漏れます…
エンジン生産ラインでのボンドの塗り方が悪いのか、それとも熱の影響かは分かりませんが、この年式のN04Cで言うと逆に漏れてない車両の方が少ないんじゃない⁉︎ってくらい。


今回も定番のオイルクーラーハウジング右下から漏れており修理する事に…



で、これもキャブチルトする車は特にやりにくい事も無いんですが、今回の車両はクイックデリバリー。

ボディーとキャビンは一体形状の為、当然キャブチルトは出来ません。
とにかくエンジンルームのスペースが狭く整備性はよくありません。

右フロントのタイヤを外すとサービスホールこそありますが、見ただけでめまいがするレベルです。

ジャッキアップしてタイヤを取り外し。


タイヤハウスにサービスホールが…


取り外すとターボやオイルクーラーがお目見え。


車内のカバーも外すとこんな感じ…



ね?
このスペースで作業すると思うとクラクラしませんか?笑

なんとかターボを外さずに出来ないかな…なんて考えるも2秒で撃沈。
取り付けボルトのうち1本がVNTコントローラが邪魔で抜けそうにありません…

こういう時は諦めも肝心だぜ…なんて自分を納得させながらターボも外す事に…


ちなみに…
FAINESでの工数は…






3.6…

はい、無理〜。


ターボ脱着込みでこの時間で出来るメカニックがいるならそれはもうゴッドハンドですね( ´_ゝ`)
何を基準に算出してるんでしょうか…


とりあえず、その日はタイヤや車内のカバーを外しただけで終わり。

翌日から本格的な作業を開始。

試しに実際にどれだけ作業時間がかかるのか計ってみる事にしました…笑

まずは9時から作業開始。

ターボを外す為にエキゾーストパイプやインテークパイプ、遮熱板などを取り外し…






オイルパイプやらウォーターパイプも取り外して
知恵の輪の様にターボを取り外し。


これでようやくオイルクーラーハウジングの取り外し…と思ったら、オイルエレメントがバカみたいに固く締まってる…

以前作業した所が締めすぎたんでしょう…

オイルエレメント外すのに20分位かかりましたから…ほんとアホらしい。

取り外したオイルエレメント。
この変形で大変だった事が分かると思います…笑




ちゃんと締め付け守って下さい。
弱すぎても強すぎてもダメ。

結果的にオイルエレメント取り外しでこんな無駄な時間を使う事になります…

で、問題の水漏れは…
オイルクーラーハウジングの…


右下…


定番ですね。

オイルクーラーハウジングを取り外し…


オイルクーラーも取り外し…




この時点で12時。
一旦、昼休憩を挟み1時から再開…

工数表でいくとこの時点でもう既に組み上がってないと間に合わない計算になりますよね…
冷却水の注入やエア抜きがありますから。


オイルクーラーのガスケットをキレイに剥がして掃除。


ハウジング側の当たり面などもキレイに掃除して新品のガスケットを入れてコアとハウジングを組み付け。


ブロック側も掃除…


このこびりついたガスケットやボンドを除去するのも地味に時間がかかります。
地味だけどとても重要な作業ですから…


で、オイルクーラーハウジングにボンドを均一に塗布。


コレもたまに塗ったボンドを手で慣らす人がいますが、空気が入る可能性がある為NGです。

エンジンに慎重にドッキングして、規定トルクで締め付け。


このボンドのはみ出し方。
全周に渡って均一にはみ出てれば理想的…


当然、塗るボンドの量が少な過ぎても多過ぎても駄目…
あくまでも適量です。


で、あとは外した時と逆の順番で組み付けていきます…




組み上がったら冷却水の注入とエア抜き。


ラジエーターとは別にエンジン側にもキャップがあるので、そちらも外して注入しないとエアが抜けません…

エンジンをかけて、ヒーターをフルHOTにして役30分位アイドリング…



各部の漏れや異常が無いかを確認して完了です。



全ての作業が終わったのが16時半…
9時から始めて昼休憩の1時間を抜いて6.5h…
前日のジャッキアップやタイヤ、エンジンカバー類の取り外しを入れるとプラス1h。

トータル作業時間は約7.5hかかりました…

工数表の3.6とは程遠い数字です…

仮に慣れた状態で作業しても3.6hでは出来る気がしませんね…

実際での作業時間と工数表の数字があまりにも違いますから…


これで工賃の明確、均一化…とは少し無理がありませんか⁉︎












ただ、工数表通りの3.6hで出来る人がいたらゴメンなさい…ですが。笑



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キャンター…サプライポンプ交換。

2017-02-15 01:01:41 | ふそう
PA-FE83キャンター


走行中に突然エンジンチェックランプが点灯して、エンジンが吹けなくなった…との事。


現在は点灯しておらず、故障コードを確認すると…


これまた色々と入っておりますが、現在故障は無くエンジンの調子も良好。

一過性の不具合かとも思いましたが、同時に入ったのかどうかは分からないので何とも言えません…


ただまあ気になるのはやはりレール圧制御(ポンプ過圧送)…

ファイターの4M50でも何度か経験ありますが…レール圧制御の場合、サクションバルブ不良の可能性が高いです…

ただ、残念ながらフソウさんはSCV単品では供給が無いため交換出来ません…


で、お客様に現状の説明をすると、もうやっちゃって下さい…と即答。

なるべく早く使いたい様なので、必要な部品を頼んだ所でその日は終了。

翌日から作業を開始…

エンジンは4M50…
ファイターと同じエンジンですが、補機類の仕様が異なります。

どんどんバラして…


ここまでバラしてようやくサプライポンプの取り外し…


その前に、1番を圧縮上死点へ…
コレも整備書には取り外す時は特に指定はありませんが、組み付ける時には1番を圧縮上死点にする…との記載があります。

で、基本的には1番の圧縮上死点を出す場合はフライホイールの合いマークだけでは判断出来ないので、本来ならヘッドカバーを取り外して、ロッカーアームの遊びで圧縮上死点かどうかを判断するのが整備書通りの確認方法なんですが…

作業した事がある方なら分かると思いますが、この4M50のヘッドカバーの取り外しは正直、クソ面倒くせぇレベルなんです…

分かってはいるものの、何とか外さずに確認出来ないかな⁉︎…と思うもので、今回も悪あがきをしてたら、ふと思いついたんです…笑

この方法はフライホイールのマークが確認できる場合に限りますが…
まず、1、4番の上死点を出します。




まだ何とか確認出来ますが、もう消えそう…
このマークも打刻にして欲しいですが…

とりあえず分かりやすくペイントを…


この位置で1番と4番が上死点になります。
本来ならヘッドカバーを外した状態で1番のロッカーアームの遊びでどちらが圧縮上死点かを確認するんですが…

このエンジンはオイルフィラーキャップを外すと2番と3番のインテーク側のロッカーアームが確認出来ます。


コレは2番の吸気側ロッカーアーム。


こちらが3番の吸気側ロッカーアーム。


こちらがバルブクリアランス時に参考にするバルブの位置関係の図…





この表を見ても分かる通り、1番が圧縮上死点の時は2番のインテーク側も調整可能…つまりロッカーアームに遊びがある状態…という事。
逆に4番が圧縮上死点の時は3番のロッカーアームに遊びがあります…

という事は…


フライホイールの1、4番の合いマークを合わせて、フィラーから見える2番のインテーク側ロッカーアームに遊びがあればその位置が1番の圧縮上死点だと判断出来る事になります…


ドライバー等でロッカーアームが動くか確認…





2番のインテーク側ロッカーアームが動くので…
この位置が1番の圧縮上死点と判断出来ます。

逆に4番の圧縮上死点の場合は2番のロッカーアームは動かず3番のロッカーアームが動きます。

この方法ならヘッドカバーを取り外さなくても1番の圧縮上死点を確認出来ます…

まあオイルフィラーが運良くこの位置にあるからこそ出来る方法ですが…笑


1番の圧縮上死点も出たのでサプライポンプの取り外し…





外したポンプからギヤやハウジングを取り外し。



で、稀にこのサプライポンプのメインギヤが異常に固い個体が存在しており…
今回のポンプもギヤプーラーではびくともしない程…
そんな時はプレスで…


やはりプレスのパワーは素晴らしい…
ギヤプーラーでは何ともならないレベルの固さでもプレスなら瞬殺です…笑
勿論、位置合わせは重要ですが。

取り外したハウジングやギヤをリビルトポンプに組み付け…







エンジンに組み付けていきます。
サプライポンプギヤとアイドルギヤのマークを合わせてハウジングの当たり面にはボンドを…




ゴーズフィルター付きボルトも新品に交換。


ブリーザ、プーリー、ファンなどもどんどん組んで…






冷却水を注入してエンジン始動。
ちなみに本来なら燃料フィルターも交換する作業ですが、1月に車検で交換済みの為、今回はそのままです。


後は各データーを確認…


特におかしな数字も無く良好なので…

明日の朝各部の漏れと冷却水の量を再度確認して完了です。


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SMB…整備。

2017-02-14 01:13:39 | トレーラー
またまたトレーラーです…


前にも記事にした事があるんですが…

フルハーフが採用したフランス⁉︎メーカーの車軸であるSMB…


以前の記事でも書いた通り、この軸はタイヤを外せばハブを残してドラムだけの取り外しが可能なんですが…

最近ウチでは車検時にはハブをバラして点検する様にしてます…

理由は、ハブベアリングのインナーレースが割れる⁉︎というか欠ける事例がチラホラ出てきたんです…

当工場でも数台確認しており…今回の車両も車検整備で点検の結果、インナーベアリングが欠けてました。



コレがSMB軸のハブキャップ…


専用レンチを使用してキャップを緩めるんですが、これが固くて緩まない事があるんです…
正確に言うと、キャップに付いてるOリングの固着が酷く緩まないんです。

そんな時は酸素で炙ります…
ハブとハブキャップの隙間をめがけて、Oリングを焼き切るようなイメージで炙ります…


キャップを外すとOリングがこんな感じ…笑



ロックボルトを外してアクスルナットを取り外します…
ちなみにアクスルナットは車両右側は正ネジですが左側は逆ネジになってます。

で、プーラーで抜き取り…


ベアリング類を洗浄して点検すると…


ベアリングのインナーレースが欠けてます。
通常の使用過程でこんな割れ方は少々疑問が残りますが…
ローラーが焼けてる様な感じは見受けられないので、熱が原因でも無さそうですし…

それからこの車両は前回は某ディーラーにて車検を受けていますが…
洗浄したアクスルナットを見てると…
赤い丸の部分…


分かる方には分かると思いますが…
コレはアクスルナットを緩める時にちゃんとした道具を使わずタガネで緩めた跡なんです。

まあ1000歩譲って緩める側だけならまだしも…
締める側のキズも入ってる…という事はプレロード調整を行ってない証拠…

ベアリングが割れたのと関係があるのかどうかは分かりませんが、少なくとも前回の整備は正しく行われていない可能性が高いですね…

割れた破片がベアリングに噛み込むと回転不良から焼き付きを起こし、最悪の場合…車両火災の危険性もありますから…

割れた箇所のベアリングはインナーアウターをセットで交換します…


アウターベアリングのアウターレースにはローラーの回転痕にムラがあります…



ベアリングのアウターレースを叩いて取り外し…


ハブ内部をキレイに洗浄…



新品のハブベアリング。





シールの再使用は不可の為新品に交換します。

パルスリング一体式のハブシール…
お値段は1個で13000円…(^_^;)


ハブに新品のアウターレースを圧入…


このSMBはインナーベアリングとアウターベアリングは同一サイズを使用しています。
通常はインナーベアリングの方が大きいサイズを使用してる事が多いです。


ベアリングにグリスを注入…


ハブに組み込みシールを打ち込み。




アウターベアリングも入れてスナップリングで固定…




更にグリスを入れて…


組み付けていきます。

スピンドルをキレイに掃除して…



ハブを軸に組んでいきます…

SMBはアクスルナットに切り込みが入っていて、ボルトで締めるとアクスルナットが潰れる⁉︎というかしなる事でナットをロックする構造です…


色んな考え方がありますね…笑


アクスルナットの締め付けトルクは120Nm…


緩み防止の為のボルト…


アクスルナットをロックします…


ただ、このボルトの締め付けトルクは25〜28Nmとなってるんですが、実際にそのトルクで締め込んでいくと正直…ボルトが延びる嫌な感覚がするんですよ…
これ以上いったら折れそう…っていう。笑
なので自分は少し緩めの22〜23Nmで締めるようにしてます。


ハブキャップに新品のOリングを取り付けグリスを薄く塗って締め付け。
締め付けトルクは100Nm…


後はタイヤを規定トルクで締め直して補修塗装を行い軸整備は完了。







更に別のトレーラーのエア漏れ…

最近エア漏れがホント多い…

連結状態で駐車場に停めておくと後ろの方からシューっと音がするとの事。

現地まで出張して確認するとトレーラーのサービス側のホースから漏れており…


矢印の辺りからシューと漏れてます…


これはもうホースの劣化なので車を引取る事に…
またその時点で先端のネジサイズと全てのホースの長さを測り、いつも頼むホース屋さんに至急作ってちょ…と無理なお願い。

車両を工場に引き取ってホース類を取り外してる最中に『お待たせしました〜』とホース屋さんが…

いや、全然待ってないし…むしろまだ外し終わってないんですけど…なんて思いながらも、このホース屋さんは本当に仕事が早い…笑

いつも無理言ってるのに素早い対応にホント助かっております。

漏れてるのは1本だけですが、原因は劣化なので全数交換します…
同じホースですからね…

取り外したブレーキホース…

問題のホース…


全てのホースを交換後、漏れを確認して完了…







で、納車…
駐車場に停めて車を降りると後ろの方からシューって音が…

…え⁉︎

そんなアホな…作業後にはちゃんと確認したし…なんて考えながら漏れを確認すると、今度はダイヤフラムから結構な勢いで漏れており…

マジか〜

また会社に引き返すか⁉︎とも考えましたが戻ったら今日はもう部品も間に合わないし…

とりあえずダイヤフラムがパンクしてる訳では無いのでクランプの増し締めで対応する事に…

で、当然工具なんて持ってきてないのでどうやって締めようか…と車を物色してあったのがコレだけ…


…⁉︎

これなら何とかなるかな⁉︎


とりあえずやるしか無い…という事で…




こんな短いスパナだと手が痛くなる程力を入れないと締まりません…笑


何とか全てのチャンバーのクランプを増し締めしてエア漏れも止まりひと段落…


はぁ…なんか疲れた。



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リレーバルブO/H…

2017-02-10 01:15:57 | トレーラー
最近エア漏れ修理が続いています…


またまたトレーラーのエア漏れ。
まあ毎年寒い季節はエア漏れは多くなる傾向にあります…

劣化に加え凍結から起きる不具合などなど…


今回は一晩停めておくと朝イチにはレッドゾーンまでエア圧が下がる…というトレーラー。

確認すると…


確かにエア圧が下がってます。


で、どこから漏れてるのか点検するとリレーバルブからシューっと音がします。



トレーラーのエアー経路はエマージェンシーラインとサービスラインの2経路があり(最近ではサプライラインとコントロールラインとも言いますが…)トラクターとトレーラーを連結した時にトラクター側の2本のエアホースをカップリングで接続してトレーラーにエアーを供給します…
コレは別のトレーラーの画像ですが…



サービスライン…(コントロール)


エマージェンシーライン…(サプライ)


この2本がリレーバルブに繋がっており…トラクターのフットブレーキを踏むとサービスラインにエア圧がかかり、リレーバルブ内のピストンを押す事でトレーラー側のエアタンク内の圧力をブレーキチャンバーに送り、ブレーキを作動させます。

エマージェンシーラインはトレーラー側エアタンクにエアを供給する役目の他に、何らかの原因でホースが損傷した時などに自動でブレーキを効かせる為にあります。


で、トレーラーには必ずこのリレーバルブが付いてるんですが…劣化や水分が混入すると漏れます…

基本的にこのリレーバルブは現在では2種類しか無く、ヒーター無しのRE-6Eというタイプとヒーター付きのRE-6Hというタイプ。
そのうちリレーバルブ自体の取り付け方法がタンク直結タイプとフランジタイプの2種類あります…

今回のトレーラーに付いていたのはRE-6Hのフランジタイプ。
実際にはRE-6Eにも後付けのヒーターが付いてる物もありますが、RE-6Hはヒーターがカバーと一体型なんです。




早速リレーバルブの取り外し。


車両の下に潜り込んでの作業なので必要な工具を選定して作業開始。


いかに効率良く外せるか…

段取りが悪いと車の下に出たり入ったりする羽目になりますから…
パッと現物を見てどんな工具が必要か?…を考え
必要最小限の工具を揃えて潜り込みます。

もちろん足りない事もありますけど…笑

それはそれで次からはこうしよう…とか考える事が出来ます。
小さい事ですが、こういう事がメカニックとしてのレベルアップに繋がると思います。

話が逸れましたが…

ホース類を切り離して取り外し。


取り外したRE-6Hリレーバルブ。




ちなみにこちらがRE-6E…


今回はリレーバルブをO/Hしていきます。
出張作業時なんかは基本ASSY交換ですが、工場で作業する時はO/Hします…

リペアキット


分解して各部を点検していきます。
中のグリスも劣化してます…




トップカバーも取り外し…




かなり汚れが溜まってますね…
分解した部品…


ピストンを取り外すと中に水分が…


コレはトラクター側やカップリングから混入した水分でしょう…
結露だけではここまで溜まりませんから…


各部品を綺麗に洗浄。


Oリングや摺動部に専用グリスをたっぷり塗って組み付けを…




トップカバー取り付け。
ボルトの締め付けは約14Nm


反対側のスプリングは結構強めなのでプレスで押さえながら取り付け




完成…




交換した部品…



車両に取り付けて…


ホース類を接続。


あとはリークテスターで漏れがないかを確認して完了です…



ちなみにメーカーからはRE-6Eを6Hに変換するキットもあります…
こちらが変換キット。


リレーバルブもやっぱり定期的なメンテナンスは必要ですね…

特に寒冷地に行く車両なんかはシーズン前にO/Hしておくとトラブルを未然に防ぐには有効です…


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トレーラー…エア漏れ修理。

2017-02-08 23:03:36 | トレーラー
低床のBPW3軸トレーラーがエア漏れ修理で入庫。


実は去年末に入庫しており、その時にエア漏れ箇所の確認と見積りを出してあり…

2月に入り、ようやく予定が合い入庫。

年末に確認した時は2ヶ所のマキシチャンバーの解放用のダイヤフラムからの漏れとオートスラックアジャスターの不良が1箇所ありました。


このマキシチャンバーはスプリングチャンバーとも言いますが、通常のサービスチャンバーにピギーバックと呼ばれるパーキングブレーキ機構が一体になったもので…
通常走行時はピギーバック内のパワースプリングはエアーの圧力で圧縮された状態で、ブレーキペダルを踏んだ時はサービスチャンバー側にエアーを供給してブレーキを効かせます。
同じく停車時にトラクター内のパーキングブレーキレバーを引いても同じようにサービスチャンバーにエアーが供給されブレーキを作動させます…
更に連結を切り離した時もサービスチャンバーが作動します…

トレーラーに限って言えば、トレーラー側のパーキングブレーキバルブを手動で操作しない限りスプリングブレーキは作動しません…


その他にも突然のトラブルによるエア漏れなどでタンクのエア圧が一定以下の圧力(スプリングを圧縮出来ない程にエア圧が下がる)になると自動でスプリングブレーキが作動するようにはなってますが…
その為エマージェンシーブレーキとも呼ばれてます。


で、年末に確認した時は2ヶ所からの漏れでしたが、他のマキシチャンバーもエア漏れこそ無いもののあまり状態が良くなかったので全数交換を勧めていたんです。

漏れてる箇所だけ直すのも選択としては勿論アリですが、ここのお客様はとにかく予定が空かず車が止まらないので一ヶ所修理したら別の所が漏れた…とかのイタチごっこを防ぐ為に全数交換を勧めました。

今回入庫して漏れてる箇所を確認すると以前漏れてた箇所の他に更に2箇所漏れており…

リークテスターをかけるとブクブクとエアが漏れてます。





全数交換を勧めたのは間違ってなかったですね…笑



ブレーキ解放状態でリリースボルトをセットしスプリングを圧縮固定しておきます。




その後トレーラー側のエアを全て排出してマキシチャンバーの取り外し。
リリースボルト取り外し用のアタッチメント…


で、リリースボルトを取り外し。




新品のチャンバーロッドは各仕様に対応する為長めになっているので、現車に合わせてカットします。
長さを測り…


カット…



クレビスを取り付け…
このクレビスの位置も仕様により異なりますが指定があります


他にも1箇所不良だったオートスラックアジャスターの交換も…


取り外したオートスラックアジャスター


新品のスラックアジャスター


このBPWのスラックアジャスターもよく壊れるんです…
中のギヤが割れて噛み込み調整出来なくなります…そうなると当然自動調整もされません。
ウチはスタンダードなタイプは4個、低床用のショートタイプは2個在庫として常備してます。

スラックアジャスターをSカムに組み付け…


チャンバーの締め付けトルクは180〜210Nm




だいぶハショってますが6個も交換となると時間かかります…笑



マキシチャンバーはピギーバッグ内に強力なスプリングが入っていて分解は危険な為、最近は非分解式がほとんどですが…
稀に分解方法を知らない人間が分解して中のスプリングが飛び出して大怪我…なんて話も聞きます。
このBPWのマキシチャンバーも現行タイプはピギーバックが一体式のリングでカシメてあるので分解は不可能です。


で、コレもやはり経年劣化でエア漏れや…酷くなるとダイヤフラムがパンクして走行不能になる事もあります…

メーカーはサービスチャンバーのダイヤフラムは2年毎の交換とマキシチャンバーに限っては3年毎のASSY交換が推奨されてます…


が、そんなショートスパンで交換してるお客様は実際にはおりません…笑

なので日頃からエア漏れなどに気付いたら放置せずに早めに修理しておく事…
それで出先でのトラブルは確実に減らせます。

走行に支障が無いとついつい後回しになりがちですが…
エア漏れはほっとくと確実にトラブルに繋がりますからね…

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レンジャー…クラッチ不調。

2017-02-06 21:05:55 | 日野
KS-FEの増トンレンジャーがクラッチの不調で入庫。


信号待ちなどでギヤを入れたままクラッチペダルを踏んで停車中、勝手に車が進みギヤを抜こうとしても抜けない…という症状。
通常操作時は特に不具合は無い…との事。


コレ…クラッチ系統の油圧が保持されないとこのような症状が起きます。
つまり、クラッチペダルを踏んでいるのにクラッチが勝手に繋がってしまうという…マニュアル車では定番の故障ですが、コレにも前兆みたいな症状があってクラッチの繋がる位置が変わったりするんです。

特にいつも乗っているドライバーさんなら、ん?なんか繋がる位置が変わる⁇なんて感じたら早めの修理をオススメします。


で、これも原因としてはクラッチブースターかマスターシリンダーのどちらかなんですが、そんな症状の時は両方交換した方がいいんです…

マスターもブースターもシリンダー内でピストンが動く基本的な構造はどちらも同じで、片方修理したら数ヶ月後にもう片方が壊れた…なんて事もよくある話で…
そんな理由もあり、特別な理由でも無い限りウチでは両方交換を勧めてます。


マスターシリンダーと…


クラッチブースター
小型で言う所のレリーズシリンダです…



まずはマスターシリンダーから交換。
リザーバーのクラッチオイルを吸い取り…


抜いた後なのにこんな感じ…


長期間オイルを変えてないせいかオイルの汚れがタンクに固着してまるでまだオイルが入ってるみたい…
このお客様は自家整備をお持ちの会社なんですが…
どうやらクラッチオイルを定期交換してないみたいですね。

エアホースや各コネクターを取り外しペダルユニットの取り外し。


シリンダーだけならペダルユニットは外さずに交換出来ますが、プッシュロッドはペダルユニットを外さないと出来ないんです…

バイスに固定してマスターシリンダーを交換していきます…



取り外したマスターシリンダーと新品のマスターシリンダー。


新品のプッシュロッド。



旧プッシュロッド。




このプッシュロッドが車載状態では取り外せません。

それからペダルユニットを取り外す事でペダルリンク類を清掃やグリスアップが可能です。
マスターシリンダーを組み付けて…




で、車両に取り付けて今度はクラッチブースターの交換。

取り外したクラッチブースター



社外品のブースター…

個人的にはあまり印象の良くないメーカーですが、ここのお客様は部品支給なので選択の余地はありません…笑



ステーやブラケットを付け替えて


車両に取り付け…


後はエア抜き。



クラッチ調整を行い完成。



取り外した部品はどうするかお客様の自家整備の方に問い合わせると、捨ててもらって構わない…との事なので…

このブースターは時間がある時にオーバーホールしてウチの在庫にする事にします…笑


捨てればただのゴミですが、O/Hしてキレイにしておけば立派なリビルト品となります。


という事で修理も完了して納車です…



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最近の作業…3

2017-02-03 00:09:26 | 整備
まずは高速道路を走行中オートクルーズ使用時に勝手にクルーズが解除される…というレンジャー。

疑わしい所を疑いつつ、まずは故障コードの確認。


履歴は無し。



確認したい項目を選択していざ試運転へ…


オートクルーズは一般道では危なくて使えないので、高速道路へ。


ところが全く症状が出ず…
ただの快適ドライブになっちゃいました…

まあ、あるあるですね…笑

とは言えこのまま納車してもまた再発するだろうし、疑わしい箇所は大した金額でも無いのでお客様の了解を得て交換する事に…

オートクルーズが解除される場合の条件としては

クルーズのキャンセルS/Wを押した時
排気ブレーキが作動した時
ブレーキペダルを踏んだ時
クラッチペダルを踏んだ時
下限速度を下回った時
エンジンやシステムに異常があった時

と、ざっと挙げるとこんなトコ。
この中で日野車で1番怪しいと言えば…

クラッチS/Wですね…
よく壊れたり、接触不良を起こすので常備してます…笑


この際、上下セットで交換。
疑わしいのは上側のS/Wです…


交換して納車。
後はお客様に様子を見てもらいます。




他には走行100万キロ越えプロフィアのオイル交換など…


エンジンオイルを抜き取りつつ…


オイルエレメントのセンターボルトを緩めてエア抜き…





フィルターやOリングを交換。




締め付けトルクは54Nm…


確実に締めた事を確認してマーキング。


エンジンオイルを注入…


後はエンジンをかけて各部に漏れが無いかを確認…
ブローバイやヘッドガスケットからのオイル漏れも気になりますが…





お客様にひと言説明して納車。




そして、登録したての新車のギガのトラクター…
ハイルーフという事もあるのか日本車らしからぬ威圧感があります。


初入庫なんですが…
あれ⁉︎ちょっとカッコイイ…⁉︎笑

作業は無線機やらETCなどの取付…


せっかくなので色々と拝見。

おぉ…ステアリングS/Wだぜ…


スムーサー…

現行プロシフトと違い緊急走行モードがあるのは助かりますね…
使わない事を願いますが。


エンジンは前と同じ6WG1ですが、とりあえずホッとしたのがクーラーベルト交換の整備性は改善されてますね…笑
ファンは電制式に変わってますが…


以前の6WG1のクーラーベルト交換の整備性は最悪でしたから。

ミッション自体は見た感じ同じなので…
これならO/Hも可能でしょう…



電磁リターダがデフ側に付いてるのも初めて見ました…






最後は泣けてくる話…笑

エンジン不調のレンジャー…
もともとこの車両が入庫した日は自分は休みでメカニックのA氏がトラブルシュートをしたらしいんです…
そのA氏は経験が20年近くになる…世間で言うところの"ベテラン"…の域に入るメカニックのはずなんですが…


車はPB-FEレンジャーでエンジンはJ05。
症状としてはエンジンが吹けずアクセル踏んでも加速していかない…というもの。

その日のうちにA氏はトラブルシュートを済ませ出した答えはEGRバルブ…
何故そのような判断をしたのかは不明です…

で、EGRバルブを換えたらしいんです…

結果は直らず…

その翌日にA氏は再度トラブルシュート。

出した答えがターボチャージャー…
何故そのような判断をしたのかは不明です。

で、ターボを換えたらしいんです…

結果は直らず…

もうこの時点でフロントは発狂…
それもそのはず、ターボとEGRバルブで50万かかっており…
それなのに直ってないんですから…

その翌日である本日…A氏は休み。

そこでフロントから原因を調べてくれ…との依頼が。

状況の説明を受けてとりあえず試運転。
とにかく加速が鈍い…
故障コードは無く、インジェクターや燃圧におかしな点も見られず…
乗った感じだとブーストがかかってない感じ。


停車状態でアクセルを踏んでも回転の上がりが鈍い…

排気ブレーキのスイッチを入れて作動するか確認。

するとその後全く吹けなくなり、アクセルベタ踏みでも20km/hが限界…


で、試運転から戻りシャッターバルブを点検してみると…


エンジン停止状態でもバルブが閉じる側で固定されてます。

手で押しもどすと…


無事吹けるようになりました…という事で原因はターボでも無くEGRバルブでも無くシャッターバルブの戻り不良。
部品代や工賃合わせても8万ほど…

当然ですが…誤診で発生したEGRとターボの部品代と工賃は請求出来ません。


これがまだ新人のミスなら高い勉強代…で済むんですが…

さすがに笑えない。
20年やってて今まで何を経験してきたんだろう…
誰にでもミスはある…というのは理解していますが…これはミスと言う程かわいいものでもないんです…
調べれば分かる事で…何故確信も持たずにそんな高額な修理に踏み切ったのか…

普通は高額になればなるほど診断結果には慎重になると思うんですけど…



もう呆れるというか情けないというか…

なんだかな〜(-_-;)

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