メカニック日記

メカニックです。仕事ネタから感じた事思った事など気まぐれに更新していきます…

続・トレーラーABS修理…2

2017-11-28 19:36:53 | トレーラー
前回の記事の続編を…

車両は前回の記事とは別ですが型式や年式は全く同じ車両…

今月だけで6台のABS修理があり、そのうち4台は全て同じ原因です…


その為、デスクには修理が必要なコンピュータが溜まってきてます…





前回のコンピュータはクラックが分かりにくかったですが今回は拡大鏡でもハッキリと分かりました。


これは非常に分かりやすい画です。
隣のはんだ部にはクラックの初期段階と思われる線が入ってました…



同じくはんだを盛り直し導通の点検…
同じ事が続きすぎてそろそろ嫌になってきた。笑





ただ、すぐ隣のホイールセンサー側の回路には同じ振動を受けてるのにクラックが入るような兆しすら無いんですよねぇ…



となるとやっぱり基板製作当時のはんだの盛り方や量に問題があったんでしょうね…

という事で原因ははんだ不良に加え長年の振動の蓄積でクラックが入る…という結論に。



以上…追記でした。

コメント (7)

トレーラーABS修理…2

2017-11-25 18:56:09 | トレーラー
最近はトレーラーのABS修理が立て続けに入庫…

ディーラーさんや同業他社さんからABSの修理依頼が急増してます。

去年まではABSチェックランプが点灯していても車検の継続検査には特に問題無かったんですが、今年から検査基準が変わりエンジンやABS、SRSなどのチェックランプが点灯している場合、修理しないと車検に受からなくなりました。
球が抜かれたりシステムが殺されていないかの点灯後の消灯確認もあるのでインチキは基本的には出来ません。

まあウチは検査基準が変わる前からお客様には安全上の理由から修理しないと車検は通せませんよ…という方針だったので特に苦労する事も無かったんですが、他の業者さん達はABSチェックランプが点灯していても見て見ぬ振りをする事が多かったようで…
ここにきてトレーラーのABSトラブルに苦労しているようです…(^_^;)


車両は東邦車両のコンテナトレーラー。




ABSシステムはBOSCH(クノール)のミニカッパーというタイプ。


このミニカッパーのトラブルは以前書いた記事にもある通り接触不良が大半を占めていたんです…


ところが最近になって今までの接触不良にも繋がる新たな原因が判明したんです…


今回の車両も自己診断をかけると2-8左PCV系統異常のコードが出てたので…
また端子部の接触不良だろうな…なんて思いながらPCVハーネスのオスメス端子共にカシメて磨いて故障コード消去して再接続。



これで消えるでしょう…と思い試運転すると少し走ると再度点灯…


おっと…マジか。

その後何度磨いて接続し直してもちょっとでも振動を与えると再度点灯…



どうやらコンピュータ側に原因がありそうです。

これは参った…

実は過去にもこのコンピュータ不良を何度か経験してたんですが、深く原因を探究せず中古コンピュータへの載せ換えで対応してました。
新品のコンピュータは約40万もするので換えちゃってイイよ〜‼︎なんてお客様はほぼ居ませんから…

なのでウチではコンピュータ不良の場合廃車になったトレーラーから取り外しておいた中古コンピュータのストックで対応してました…

が、6個ほどあったストック品もとうとう残り1個と枯渇状態…
おまけにこのミニカッパーは古いタイプなのでたとえ新品でもいつまで供給されるかも不透明。

このままいくとマズイな…という事で、なんとか修理出来ないか原因を詳しく調べてみる事に。

現車からコンピュータASSYを取り外し…


コンピュータ単体にして分解。


いじり止めトルクスを取り外し…


カラーペイントもしてあるし、基本的にいじり止めトルクスが使われているという事は分解禁止を意味します。
分解した時点でメーカー保証の対象外となりますが、そんなものはとうの昔に切れてるので気にしません…笑

シリコンとボルトで固定された基板を上手く取り外し…









問題のPCV端子から繋がる基板回路を目視で確認するも特に目立った損傷は無し。




別回路で1箇所ダイオードが黒く焼けてる所がありましたが…


サーキットテスターで点検するとダイオードとしての機能は生きてたのでとりあえず問題無いでしょう。

PCV回路の導通を重点的に点検…




基板側には回路の遮断は無かったんですが、端子側と基板側を繋ぐスルーホールのはんだ部で導通をテストすると見事にオーバーレンジ。




端子の足に直接プローブを当てると導通。





という事はこれはもしかして…⁉︎

端子を繋ぐスルーホールのはんだ部をルーペでよく見てみると…




画像だと見にくいと思いますが…
端子の足とはんだが盛ってある部分にクラックが…

なるほど…

これで原因が判明。

端子を繋ぐスルーホール部の基板側のはんだにクラックが入った事による接触不良と判明しました。
正直、私はまだまだ老眼ではありませんが肉眼で見るのに苦労する程小さいクラックでした…笑

早速、はんだを盛り直してテストしてみる事に…
ルーペを介しながらのコテ作業。




周りのマイクロチップに過度な熱を与えないよう気を遣いながらなんとか盛りつけ…
今回クラックが入っていたのは左PCV回路の接続部だけでしたが、予防も含めて左右の接続部合計12カ所を盛り直し…


再度サーキットテスターで導通点検。


無事に導通しました…




基板クリーナーで表面の誇りや汚れをキレイにしてから再度組み付け。






車両に取り付けて…


全ての配線を接続して故障コードの消去。

自己診断動画

無事に2-1(システム正常)のコードを表示…

試運転の結果、チェックランプも点灯しなくなり修理完了です。



実はこれ以降、同じ症状のトレーラーが3台立て続けに入って来ており…
同じミニカッパーを搭載している車両で全てコンテナトレーラーだったんです…

で、何故こんなに同じコンテナトレーラーに頻発するのか考えたんですが…
コンテナ積み込み時の衝撃ではんだにクラックが入ったのか?とも考えたんですが今までクラックが入ったケース全車がPCVの端子部だけなんですよね…

衝撃によるクラックならPCVだけじゃなく他の箇所にも入るでしょうから…

なのでもともとPCV端子部のはんだ量が少なく強度が足らなかった可能性もあり、その上でコンテナ積み込み時の衝撃によってクラックが入ったんじゃないかと…

コンテナの積み込みってかなりの衝撃がありますからねぇ…
防振しておかないと衝撃でマーカーレンズとかも割れちゃうくらい…

それに別タイプのコンピュータにはあまり見ない症状ですから…


どちらにせよこの症状に対しては修理方法が確立出来たので今後の高額修理は避けられそうでひとまず安心。

ちなみに今まで交換したコンピュータは捨てずにとってあり、同じ原因の可能性もあるので時間がある時に1度調べてみる事にします…




コメント (6)

最近の作業…11

2017-11-20 22:29:19 | 整備
まずはQKG-FSプロフィアの車検…



特に変わった事はありません。笑

通常の車検整備ですね…

エンジンはA09C


エンジンオイルを抜き取り…


最近の大型トラックのエンジンもアルミオイルパンが主流です…
なのでドレンボルトの締め付けトルクはきっちり守りましょう…
アルミに限らず何でも基本的には規定トルクを守るに越した事ありませんが、アルミやマグネシウムなどは特に注意が必要ですね。
このエンジンは44N m。


オイルエレメントの交換も…
A09Cはカートリッジ式です。


オイルを注入…



燃料フィルターの交換…



あまり走ってないので全然汚れてないですね…


新品のフィルターを入れて…


こちらも規定トルクで締め付け。
センターボルトは29N m…


ブリーダーとドレンのプラグは7N m




お隣のPCVフィルターも…


更にアドブルーフィルターも…


このキャップは20〜25N mの指定です。



それからエアードライヤー。


取り外し…


毎度毎度の汚れ具合です…


底の方はキャビア化してました…笑


ケース内も当然…


リペアキットには対策のフィルターが追加されてます…


フィルター類を入れて乾燥剤を注入します。




カバーも取り付けて…




チェックバルブも…




交換記録も貼って完成。


下廻りの塗装などを行い…


後は足廻りを組み付けて完成。




お次は28年式のADがエンジンから異音がする…という事で入庫。


エンジンかけた瞬間に『ゴォ〜』と唸っており…
調べるとオルタネータのベアリングが御臨終のようです。

で、お客様には年式からも保証が効くと思うのでディーラーさんに持って行っては⁇…と提案しましたが、ディーラーだと時間がかかるので有料でもいいから直してくれ!との事。

そういう事なら速攻で直しますよ…笑

電機屋さんにコネコネして当日に仕入れて頂きました。
リビルトオルタネータです。


やかましいオルタネータは取り外し…




取り付けてベルトも新品に交換して…




指定の電気負荷、回転数での発電量をチェック…


問題がない事を確認して納車です。



お次はFE88Dキャンター

車検で入庫なんですが、ディスクパッドの残量が少なく、ディスクローターの摩耗も酷いので交換する事に。


この手のキャンターやエルフはパッドだけじゃなくディスクローターも消耗品と考えた方がいいですね…

キャリパーやブラケットを取り外し…




ハブ&ディスクローターを抜き取り…






ここからハブとディスクローターを分離させます。


ABSのエキサイタリングを抜き取り…


ディスクローターの取り外し


画像だと分かりにくいと思いますが片面だけでも2mm近く摩耗してます…



反対側も同じように分解。




ハブもリフレッシュしていきます。
ベアリングなどを洗浄…


洗浄されたベアリング…


グリスを詰めてハブに組み付け…


使用するローターはTOKICO製です。


ハブとドッキング。
この段階では仮締めです…


更にエキサイタリングも組んだら…


スピンドルに載せてプレロード調整…


反対側も同様に。








ハブ&ディスクローターを組んだらパッドも新品に…
キャリパーブラケットは155N m
キャリパーは44N m




仮締めだったハブとローターの取り付けボルトも本締め。


更にタイヤも取り付けてこちらも規定トルクで締め付け…


その他の作業も終わり完成です。

ところでこの車のハンドル…


どんな運転すればこんなにすり減るんでしょうか…笑



最後はディーラーさんからの依頼でSSプロフィアのE13CのヘッドO/H…
毎度の事ながらディーラーさんからの依頼は納期がカツカツ…笑

時間と気持ちに余裕があればもう少し写真も撮れたんでしょうけど…
結果的に2枚しか撮れませんでした。笑

E13Cはスタッドを抜けばターボを外さなくてもヘッドが降りるのでかなりの時短が可能です…





最近はこんな感じでバタバタ続きです…
コメント (8)

トラブル続き…

2017-11-16 15:35:43 | いすゞ
PJ-EXZ52ギガ…

車検で入庫。

車検整備自体は特にネタになるような事はありませんでしたが…

全ての作業が終わりエンジンを始動して交換した油脂類の漏れが無いかの最終確認を終え、車両をリフトダウンさせてエンジンを停止するとどこからともなく『シュ〜』といや〜な音が…




調べるとパワーシフターからエアーが漏れてました…




漏れてましたと言うより漏れだしました。

しかもこれから完成検査というこのタイミングで…

ま、こんな事もあるよね…( ´_ゝ`)


とりあえずお客様に連絡してパワーシフターからエアが漏れ出した事を説明して交換の了承を得ました。
時間も無いのでリビルトにて注文。

早速交換の準備を…

トラクターヘッドなのでデッキパネルを外せば交換作業自体は特に苦労する事もありません…





ちなみにこのギガは去年インプットシャフトを交換した車両です。

もう1年も経つんですねぇ…

早いなぁ。

取り外して…


リビルトパワーシフター。


エアホースも同時に交換して取り付け…



で、パワーシフターの交換を終え完成検査も無事に終わり、納車する為エンジンを始動して出発しようという所で何やら違和感が…

メーターを見ると…




!!!!!!!?




すいませーん…

『故障』って出てますけどー⁇

(誰に言ってんだ…)





…。




何かの間違いであって…なんて思いながら1度キーをオフにしてしばらくしてから再度キーオン…

祈るような気持ちで『どうか点かないで…』と念じながらメーターを見るも…


残念。
再度点灯…

(ショックのあまりピンボケ…笑)




嘆いても状況は変わらないのでとりあえず原因を探っていく事に…


このクネクネ矢印の警告灯は運転集中度モニターの故障を意味しています…

こんなデカデカと『故障』って出さなくてもいいのにね。


運転集中度モニターとは読んで字の如く、運転手が運転に集中しているかどうかをモニターしており、ある一定以上の速度でウィンカーも出していないのに車両が左右にフラついたりするとコンピューターは運転手が居眠りやわき見運転をしてるとみなし、ブザーと表示で警告を出します。

この車両では警告だけですが…
最近の新しい車両なんかだとレーンキープアシストやPCS(衝突被害軽減装置)など運転に介入制御してくる機構もあります…


とにかくそんな運転集中度モニターが故障と判断されてます。

まずはG-scanを繋いでみるも運転集中度モニタシステムには未対応…


TPMで確認してみると見事に対応してました。


データ表示や作業サポートにも対応。


TPMは本当に痒い所に手が届く存在ですね。笑

で、故障コードを確認すると…
現在故障でB1003 操舵角センサーB断線/ショートのコードが。
Bとは電源の事でしょう…


過去故障ではB1005 操舵角センサー電源異常が…


どちらも電源系統の異常ですが…


各部のデータを確認してみると…




電源電圧の項目はありませんでしたが…
ステアリング角度はセンター位置で0度で中立位置は高(オン)表示。

試しにステアリングを180度ほど切ってみるもデータ上の操舵角は0度のまま…




画像でも分かると思いますが、中立位置センサーは低(OFF)なのに操舵角が0度という事は本来ならあり得ません。
なのでコンピューターは正確な操舵角を検出できない為にチェックランプを点灯させたようです。

という事でここから操舵角センサー本体の不良なのか…
それともコンピューターと操舵角センサー間の配線不良なのかを調べていきます。

とりあえず部品の値段と在庫を部品商に問い合わせつつ…



安全対策の為、ヒューズとSRS回路をオープンにしてからエアバッグの取り外し。
バッテリーを取り外す必要はありません。


ステアリングホイールの嵌合が激カタで苦労しましたが…


更にスパイラルケーブルも取り外し。
センター位置がズレないようにテーピング…




このセンター位置を間違えて組み付けるとハンドル切った時にブチッという音と共にチェックランプが点灯する事になるのでご注意を…笑

で、これが操舵角センサー…
整備書ではステアリングアングルセンサーとも記載されてます。




このセンサーでハンドルがどちら側にどれだけの角度で切られているかをモニターしてます。

配線図を用意して電源系統の配線を調べたんですが…




写真はありませんが実際にはキーオン状態で約9〜10Vほど流れており、配線図を見ても分かる通り通常は12Vが来ているようですが…
これは恐らくエンジンがかかれば規定値に届くでしょう。
なので電源は一応来てるのでコンピュータ側からの配線に断線は無さそうです。

となるとステアリングアングルセンサー本体の不良かな…⁉︎
センサー本体の内部回路がどうなっているかが分からないので単体点検は出来ず…

とりあえずセンサーの値段は約9,000円とさほど高くもないので交換してみようかなと思い発注をかけると納期が翌日…

なんとかならないかお願いするも、今日中にはどうしても間に合わない…と。


でもお客様の都合上、今日納車しないといけないので…


部品が間に合わないものはしょうがないし、完成検査後に点いたチェックランプも予見は不可能だし仕方ないでしょう…
お客様にもその辺りの事情を説明して納車する為にバラした部品を再度組み付ける事に。

全ての部品を組み付けて故障コードを消去する為に再度スキャンツールを接続。


すると現在故障は無く、過去履歴になってる…⁉︎

あれ…?


故障コードを消去してみると…


その後診断をかけるも正常…


データを確認すると…


ステアリングアングルセンサーの数値がちゃんと動いてるー‼︎‼︎‼︎

もしかして直っちゃった…⁇

バラしてみるもんですねぇ…笑

おそらく、原因はコネクターの接触不良だった可能性が…
脱着した事で通電するようになったんでしょう…

それ以降チェックランプも点かず…


遅くなりましたが納車も終わり発注かけた部品もキャンセル…


無事⁉︎に終了です…


なんとかなって良かったですが…

なんか最近こんなトラブルばっかり…







コメント (4)

コレを待ってた…

2017-11-13 00:27:56 | 工具
毎週金曜日にウチの整備工場に巡回でやって来るスナップオンバン…




隔週でHOT TOOLSっていうチラシを持ってきてくれて…
このチラシには新商品やキャンペーン商品などが掲載されてるんですが…

今週のチラシに載ってた新製品。


このサイズのトルクレンチを待ってたんですよ…

今持ってる3/8トルクレンチの測定範囲が7〜135Nm…
1/2トルクレンチが17〜339Nm…

つまり、7Nm以下は管理出来ておらず実作業では7Nm以下は感覚トルクで締めていたのが現状でした。

そんな状態が自分でも好ましくない事は十分認識してはいたので探してはいたんですが自分の理想的なサイズと測定範囲のトルクレンチが無かったんです…

で、東日辺りのトルクレンチを買おうか迷ってたこのタイミングでスナップオンから新製品としてこのサイズが発売された事をチラシで知り、即オーダーをかけました…笑

測定範囲は1.36Nm〜27.12Nmと小トルクの管理が可能なので…
コレが揃えば今まで感覚トルクで締めていたM6サイズ以下のボルト類にもトルク管理が可能となります。
本体のサイズも全長295mm、直径も22mmと極小サイズ。
デジタルトルクレンチで角度締めにも対応してるので個人的には文句ナシです…



東日で買わなくて良かった〜笑



コメント

トレーラー…いろいろ。

2017-11-03 20:34:16 | トレーラー
まずは東邦の3軸コンテナトレーラー。

車検整備にてハブをバラして…


ベアリングを洗浄機に入れて取り出すと…
1箇所だけアウターベアリングに焼け跡が…


レース側も…


ローラーが全体的に焼けているので、これはプレロードの調整不良かグリス不足でしょうか…
正常な状態はこんな感じ。


幸いにも前回車検はウチでは無く他社での作業でしたが…

アクスルナットを締め過ぎるとベアリングに過度な負担がかかり異常に熱をもちます…
結果ベアリングがオーバーヒートして最悪、車両火災に繋がる可能性も。

こんな状態のベアリングは再使用はしません。

焼けてるのはアウターベアリングだけですが、インナーベアリングとセットで交換します。

いつも頼む部品商さんに在庫もあるとの事なので、早速インナーベアリングの取り外し…


届いた新品のベアリングは防錆油が塗ってあるので1度洗浄機で洗います…






レースを圧入します…


この調整式のインサーターは便利です…


インナーアウターのレースを圧入したらキチンと入っているか確認…



スピンドル側もキレイにしてインナーベアリングを圧入していきます…








更にグリスを…


正直、この手のトレーラーは普段ハブのプレロードは感覚調整でしたが…
今回は1箇所ベアリングが焼けていた事もあり念の為、整備書通りのトルクレンチを使ったプレロード調整を行う事にしました。
自分の感覚を校正する為にもたまには必要かもしれませんね…笑
499N mで締め付けた後、1/8回転戻しで調整します…
(写真撮れてなかった…笑)

なんだかんだで車検整備も完成です。



お次もトレーラー…
自社整備をお持ちの運送会社さんからの依頼でトレーラーABSのチェックランプが点灯しっ放しで消えない…との事。

お客様の整備工場まで出張して対応する事に…

現地に着いてトラクターのメーターを確認すると確かにABSのチェックランプが点灯してます。


早速WABCOの診断機が使えるかな⁉︎と思ったけど現車はクノールブレムゼのABSシステムだったので使えませんでした。
モジュレーターはKB4TAというタイプ。


基本的にはトレーラーABSではWABCOもクノールも診断機が無くても現在故障であれば自己診断で故障コードの確認が可能です。

このKB4TAはトラクターとトレーラーが連結状態でキーON後15秒以内にフットブレーキを3回ペダリングするとABSランプが点滅を始めます…
ペダリングの間隔は1秒以内です。
ちなみにこのKB4TAの場合、4回ペダリングすると過去故障コードも確認出来て5回は故障コードの消去…6回だとシステム表示、更に7回ペダリングすると走行距離も確認出来ます。

で、調べると3-2 右ホイールセンサー信号無し…というコードが…
通常ホイールセンサーはハブに取り付けられたパルスホイールと対向するように磁気コイルセンサが取り付けられており回転するパルスホイールとの磁束の変化で交流パルスを発生させ、その発生したパルス信号から車輪速度を検出してます。

今回のコードはそんな右のホイールセンサーからのパルス信号がありませんよ…というコード。

という事で問題の右ホイールセンサーを点検。
まずはセンサーのコネクタを外し、抵抗を測定…






センサーの抵抗値は1.22kΩと基準値内なのでセンサー自体は問題無さそうです。

次に車輪を浮かせて本当に信号が出ていないかを確認。
オシロスコープでパルス波形を点検します…
このALCA15はオシロスコープ機能とマルチメーター機能が一体になってるので点検も効率的です。


接続した状態でタイヤを回転させても無反応…


ちなみに左のホイールセンサの信号はちゃんと出てます…


となると原因はドラム内にありそうです。


バックプレートを取り外すも、センサとパルスホイールがよく見えない…




こんな事もあろうかと…
ちゃんと持ってきましたよ、ファイバースコープ。


やっぱこの仕事…持つべきものは道具です。笑
で、中をよく調べると…


センサーが異常に抜けてきてます…


これで原因が判明。
センサーが抜けすぎてギャップオーバー…パルスを発生出来ず、結果信号なしのコードを検出したようです。
恐らく今回のチェックランプはいきなり点いたんじゃ無く、しばらく前から点灯していたと思います…
センサの保持もしっかりしてるのでいきなりすっぽ抜けた訳では無く振動で徐々に抜けてきたんだろうと…
それにギャップ過大のコードもあるので本来ならそちらが先に検出されるはずですからね…


配線が通してある穴からなんとかセンサーを押し戻して…




再度パルスチェック。




無事にパルス信号も出ました。
試運転は出来ませんでしたがこれで恐らく大丈夫でしょう…
通常このシステムのチェックランプはキーON後数秒で消えますが、今回のように異常があって点灯した場合は修理した後でもそのままでは消えません。
実際に走行してコンピュータが正常と判断してからチェックランプは消灯します。


という事で試運転はお客様に任せて、これにて終了。
チェックランプが消えなかったらまた電話がかかってくるでしょ…笑


もう夜も遅いし腹も減ったので帰ります…



コメント (6)