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AはK子と放課後デートすることを約束した。
冬の夜長はAにとって妙に落ち着かない夜だった。
夜が明けた。
今朝は清々しかった。
空高く筋雲が幾筋化地平線に向かって伸びていた。
楽しかった高校生活も卒業式がまじかに迫っていた。
朝からの授業はAにとって
集中できない一日となった。
一日中ボーっとしていた。
「あ~かい~い夕日が校舎を染めた~」
卒業式当日みんなで歌おうと練習しているようだ。
Aは1枚の手紙を書いて懐にしたためていた。
「あなたは私にとっては真っ赤な一輪の花、掛け替えのない華です」。
「卒業してもずっと友達でいてくださいませんか?」。
この様な内容だった。シンプルでありふれているけれども
Aにとっては精いっぱいの勇気と今の気持ちの表現だった。
授業が終わると、
約束していたJRのとある駅の待合室に向かった。
わくわくドキドキの連続だった。
待っている時間が気がどうかなるほど長く感じられた。
30分程立っただろうか?
らしき姿が見えた。目を凝らして再度確認した。
やはり彼女に間違いなかった。
Aは微笑んだ!彼女はにこっとして、
落ち着いた様子だった。
待合室のソファーに二人で並んでしばらく談笑した。
というかAはあった瞬間から、我を失っていた。
舞い上がってしまっていたのだ。
「友達になっていただけますか?」再度返事を促した。
「友達ならいいわ!」と返事が返ってきた。
胸がキュンとして、動悸が高鳴った
「良かったら一緒に帰りませんか?」とAは切り出した。
コックリ頷きながらK子は立ち上がった。
まるで歩いているのに宙に浮いたようだった。